【design】間
私の好きなnoterさんであるhisataroh358さんの恒例企画に『レコードジャケット博覧会シリーズ』というものがある
毎回レコードジャケットと共にその音楽の物語が添えられた記事は興味深くて熟読している
ちなみに私はレコード世代ではなくて、カセットテープ世代である
幼い頃の親の車にはカセットテープを入れりところがあってCDから録音したカセットを聴いた
CDは8センチCDという今はなき(?)小さなものだった
ちなみにはじめて買ったCDはスピッツの【空も飛べるはず』だったと記憶している♫
レコードには縁がなかったが、レコードのジャケットには興味が以前からあった
なんといってもインテリアにもなるジャケットのデザインは洗練されたものが多くアートとしても遜色ないように思う
ディスクユニオンなどの中古レコード屋で、懐かしいレコードを漁っている人をよく見かけるが気持ちはわかる
hisataroh358さんの記事の中で取り上げられていた大滝詠一さんの『A LONG VACATION』がテレビで紹介されていた
ジャケットはイラストレーターの永井博氏
レコードが発売されたのは1981年である
『A LONG VACATION』は永井氏のイラストに歌詞とメロディを乗せる形でつくられたレコードなのだ
永井氏のトロピカルで今もって古さを全く感じさせないイラストは大瀧詠一のメロディにピッタリである
その後もサザンオールスターズなど数多くのレコードジャケットを手がけた永井氏のイラストはシンプルでありながら人を魅了するものがある
『A LONG VACATION』のジャケットはリゾート地のプールサイドが描かれている
しかしリゾート地でありながら人が一切描かれていない
大きな真っ青な空とヤシの木、プールの水面と芝生
それに陰影や水の光が添えられている
ここには日本ならではの『間』が表現されている
『間』と書いて『ま』と読む
敢えて多くを語らない
広い空、プールの水面、芝生
限られた要素に過度な装飾や人物は不要なのだ
そこにある自然の陰影や水面が、見る人によって様々なシチュエーションを想像させる
書かないことで生まれる創造
ここにはまさしく『間』が表現されている
『間』は難しい
私も設計をしていると、ついつい欲張りすぎて『間』を埋めてしまう
すると余白がなくなり、膨らみがなくなってしまう
また会話の中でも、ちょっとした沈黙が苦手でもある
これは会話の中にある『間』の問題である
コミュニケーションに優れた人の話し方には適度な『間』が存在する
この『間』が心地よいと、その人との会話も楽しいものになるのだろう
サッカーでは、激しいボールのせめぎ合いのない試合を”間延びした試合”といったりする
気の合わない人と一緒にいて”間がもたない”経験をしたことは誰でもあるだろう
何かを足すのではなく、引くことで生まれる『間』
デザインだけでなくコミュニケーションにも『間』は生かすことができる
そんなことを考えさせられるジャケットである