【PTA記録】学校の上空40メートルへ、自作のロケットを飛ばしてみた。
「フライングするなよー!!」
小学校の校庭に引かれた白線の前に、沢山の子供が「ダッシュ」の姿勢で並んでいる。
校庭の隅にある発射台には、1メートルの巨大ロケット。
「3、2、1…」の掛け声の後、ボタンを押したら巨大ロケットは校庭の40メートル上空へ飛んで行った。
一斉に走り出す子供達。
私は、こんな青春ドラマみたいなシーンがリアルに起きる事に感動していた。
念願のロケット教室
母になる前から植松努さんが好きだった。
TEDのスピーチを見て感動し、著書も読んだ。
リアルな講演会を聞きに行った事もある。
植松さんの「思うは招く」という言葉を、子供にも覚えておいて欲しいと思い年末にはオンライン講演会を長男と一緒に視聴した。
そんな植松さんは、会社の敷地で月に1回「ロケット教室」を開催している。
私は何年も前から「いつかここに子供を連れていきたい」と思っていた。
でも場所は北海道である。
「月に1回・定員40名」という枠に入れるかどうかも定かではない。
中々簡単には行けないよなーと、HPを見ていると「全国ロケット教室」というものが目に入ってきた。
植松電気のパートナー団体が全国各地で開催しているのだ。
その中に、近隣の団体さんを見つけた。
「コレだ!!!!!!!!!!!」
私は見つけた瞬間に代表の方へメールを送った。
それと同時にPTAの方へLINEも送った。
そう、その日は「今年度のPTA最初の集まり」を終えた夜だった。
「何かやってみたいイベントはありますか?」と聞かれた時、その場では思いつかなかった。
でも、見つかった!
ロケット教室だ!!
「ロケット教室やりませんか?」
それが4月の事だった。
「実施の方向」で動き出したのは5月中旬か6月頃。
学校、地域、休日に校庭を使用している野球チーム、消防。
最終的に誰の「OK」を貰えば実施できるのか?誰も分からず探り探りだった。
できるのか?できないのか?
PTAさんと団体さんの伝書鳩状態になりながら戸惑う事も多かったけど携わっている人の「やりたい!」マインドで何とか実施にこぎつけた。
まだ構想段階だった時、PTA会長が言ったセリフが忘れられない。
「僕、男の子なんでロケット飛ばしたいんですよね」
それな!
保護者だって、PTA役員だって。
立場なんか関係なく、「ロケット飛ばしてみたい」のだ。
好きの集まり
当日はPTA役員が数名。
団体さんは8名程でやってきた。
団体さんは全員がボランティア。
小3の男の子、高校生、社会人、そして70代の女性までいた。
全員がそれぞれ別の仕事(学生)を持っていて、「ロケット教室が好き」という志だけで繋がっている団体さんである。
凄い。
ボランティア団体?で、こんなに異年齢が集まる集団は中々ないのではないだろうか。
準備が始まると年齢なんて関係なく、子供も大人も対等だった。
そしてそれぞれに細かく仕事を割り振られているワケでもなく、現場の様子を見て各自が能動的に動いていた。
「ロケット教室」がスタートすると、教頭先生もやってきた。
うちの教頭先生はスラリとした高身長の女性。
タレントの山瀬まみさんみたいな可愛らしい雰囲気の方だ。
教頭先生はニコニコしながら子供達の様子を見て、役員のススメで教頭先生も自らロケットを制作していた。
「難しいですね~」と笑う教頭先生に、役員の男性が作り方を伝授していた。
「教頭先生」と「保護者」
そんな事は関係ない様な空気だった。
緊張の打ち上げ
ロケット制作を終えて全員で校庭へ出た。
このロケットは紙とプラスチックでできているけど、火薬を使って飛ばす「本物のロケット」と全く同じ構造だ。
発射台に2機セットして、ボタンを押すと一気に上空40メートル(マンション12階位)の高さへ飛んでいく。
スタンバイしている子供達は全員よそ見をする暇もなく、1発目の打ち上げを真剣に見ていた。
大きな音と共に飛んでいくロケットは、物凄い速さだった。
速すぎてスマホで撮影していてもあっという間に追いきれなくなる。
ロケットを飛ばした子供達は、自分のロケットをキャッチする為に飛ばした瞬間に走って行く。
ロケットが飛ぶ瞬間も。
ロケットをキャッチした瞬間も。
その場にいた全員から歓声が聞こえてきた。
単純だけど、この「迫力」にみんな夢中になった。
制作途中「ロケット飛ぶかなー?」と心配している子がいた。
そう、皆「自分だけ飛ばなかったらどうしよう…」と緊張もしていたのだ。
そう、みんな自分のロケットは本当に飛ぶのかドキドキしているのだ。
子供達が全員飛ばし終えた後、教頭先生もロケットを飛ばした。
教頭先生もロケットを無事に飛ばし終えて安心し、興奮している様子だった。
「飛びました~!有難うございました」と制作を手伝ってくれた役員さんに挨拶する教頭先生はとても可愛らしかった。
そしてフィナーレは、PTA会長が作った1メートルの巨大ロケット。
参加した子供達全員が巨大ロケットが発射すると同時に「キャッチ」する為に一斉に走り始めた。
発射前はとても大きく見えたけど、上空へ発射したら一瞬で小さくなった。
ロケットが落下して子供がキャッチすると、その場にいた大人全員が「おぉ~~!!」と大興奮だった。
何これ。
楽しすぎる!!
団体さんスタッフとしてやってきた「他校に通う小3の男の子」が教頭先生を見て驚いていた。
そうだよね。
「普通」はないよね。
後から団体さんに聞いた話によると、同市内の小学校・校庭でロケット教室を開催するのは初めてだと言う。
実はこのロケット、本当は「消防の許可」すら要らない安全なロケットなのだ。
よっぽど狭い校庭じゃない限りどこでも飛ばせそうである。
それなのに「実施許可」が中々でないそうだ。
きっと許可が出ないのは、単純に「面倒だから」「前例がないから」ではないだろうか。
うちの小学校の校長先生、教頭先生は、きっと「素敵な先生」なのだ。
そしてPTAのメンバーも、他にも色々な仕事があるにも関わらずこの日まで色々な面で協力し合った。
団体さんも、貴重な休日に交通費のみで駆けつけてくれた。
「なんのために?」の目的はそれぞれ違うかもしれない。
それでも全員が童心に帰って楽しんだ。
年齢も立場も関係なく、飛んでいく姿を見て大喜びした。
来年は先生が異動したり、PTAのメンバーが変わってできないかもしれない。
「今年だけ」かもしれない。
コロナ禍だったらできなかった。
今年、このメンバーで開催できた事は奇跡だ。
こんな幸運な機会に携われて本当に良かった。
次回予定している別のイベントも、こんな達成感を味わえるように頑張ろう。
校庭で飛ばすシリーズ(笑)↓
今日もありがとうございました。