実家、欲しいですか?
「実家にお住まいになるんですか?」
「実家には住まない、住めないですね。
物凄く田舎なので下水道が整備されていないんですよ」
とある日。
定年を迎えた方との会話。
定年を迎え完全退職をしたので、約50年ぶりに生まれ育った故郷で暮らすとの事だった。
お話を聞いてみたら、実家には住まずに賃貸を借りるとの事。
「実家には住めない」
実は、こういう方は結構多いと実感している。
誰も引き取らない実家
地方から都心に状況された方の多くが、「実家には住めない」と言う。
その理由は、地方ならではの事情がある。
都心がどんなにゴミゴミしていても、地方がどんなに空気が綺麗でも。
高齢になればなるほど、「今更帰れない」という状況になる。
昔ながらの家であれば長男夫婦が結婚当初から同居していて、そのまま実家を引き継ぐケースも多い。
一方で、近居に別世帯を構えていたり、子供が全員都市部へ出ていたりすると空き家のまま延々と放置されていたりする。
「兄弟の誰かが引き継ぐ」
「整理したいけど、勝手にはできない」
そんな事を言ってるうちに、子供世代もどんどん年をとって孫世代まで放置されていたりする。
私の父方の祖母が住んでいた、物凄く田舎にある家も叔父が今1人暮らしをしている。
叔父には子供がいないので、叔父亡き後は一体誰があの家を引き継ぐんだろう?
引き継がないとしても、誰が片付けて処分するのだろう?
家に愛着がある人ほど
定年された方の親世代(80代以上)の方とお話すると
「家を残してあげたい」
というセリフもよく聞こえてくる。
私がそういう会話をする相手は、皆さん都心部・首都圏の方なので先ほどの「地方」「田舎」ではない。
都心部・首都圏の方は「家があれば助かるだろう」と、子や孫の事を思って「あげたい」と言ってくれている。
確かに助かる。
だけど、子や孫は別の場所に家を買っていたりする場合も多い。
どちらかの家を手放す、貸す等フレキシブルに運用できれば良いけど、実家に大量の荷物が残っていたら整理も大変である。
持たない暮らしのススメ
自分の荷物を極力減らしておく。
これは大前提として、更に言えば「家」そのものも「持たない」方が良いのでは?と思う事がある。
私の母方の祖母は、県営アパートで一人暮らしをしていた。
祖父と2人で住んでいた頃は、築50年のボロボロアパートだったけど80代に入る頃に建て替えが進み、バリアフリーの新築アパートに変身した。
私が住む町にも沢山の「県営」「市営」住宅があるが、ここ数年で「建て替えラッシュ」が起きて、みんなピカピカな新築に変身した。
分譲マンションと違って、共有部分の掃除を住民が協力して行う等大変な部分もあるけれど、そうやって「ご近所さん」と知り合いになる事も年を重ねる程重要になるだろう。
何よりも、家に不具合があれば「管理してる人」に対応してもらえる。
逆に持ち家を持つ人程、高齢になっても「そろそろ水回りを改修したい」とか「あと〇年したら塗装やり直す」とか、メンテナンスを永遠と続けなければいけない。
公営住宅という選択肢
勿論「住み慣れた家」が一番だろう。
だけど、公営住宅に住む人とお話すると驚きの家賃で快適な生活をしてる人が沢山いる。
とか。
決して「地方」ではない、首都圏で。
勿論「収入基準」があるので、誰でも入れるわけじゃない。
逆に人によっては「高くなる」というケースもあるけれど。
ただ、「公営住宅に住む」という時点で荷物が大分少なくなっている筈。
更には、親亡き後には「速やかに退居」しなければいけない。
「期限が決まっている」となれば、子供も集中して片付ける。
公営住宅と言うと、役所かどこかへ出向いて手続きするのかと思ったけど今はHPで普通に物件を探したり手続き方法が確認できる。
国も大量に残る「空き家」の対策として、早急に対策が必要な空き家には税率を高く設定して対策を促す措置を取る事にしている。
売却や賃貸を希望した空き家は、こんな風に「空き家バンク」で公開されている。
流石に「地方」が多い印象だけど、中には「築5年」とか「羨望良好」とか、物凄くゆとりのある間取り等、「ちょっと住みたいかも」と思えるような物件も多くあった。
色々調べて感じる事は
「家」にしても「物」にしても、「自分の所有物は、自分で始末する」という意識を持った方が良いよねって事だ。
もうすぐ、年の1/4が終わろうとしている。
年末に大掃除ではなく、子供の春休みに合わせて私もまた「持たない暮らし」になるための点検をしたいと改めて思う。
今日も有難うございました。