【企業インタビュー】副業者とともに、地域を元気にする担い手を育成
若桜鉄道走るのどかな鳥取県八頭町で「地産外商の仕掛けづくり」をテーマにEコマース運営支援事業、WEBサイト構築、運営事業を営む株式会社ダブルノット。今回、企業の代表を務める高林 努さんに副業者採用のきっかけや経緯、採用後に起こった変化などについて伺いました。
ー企業の特徴について教えてください
小規模事業者のネットショップの運営を行っています。ECのプラットフォームとしてただインターネット上に店舗をつくるだけでなく「ネット店長」つまりECサイトの責任者の教育や育成をしていくことに主軸をおいています。
ECサイトでシステムを作ることは、リアルな店舗でいうと「工務店がきれいな店構えを作ること」と一緒です。手法は違えど商品の魅せ方やPR方法など、集客を生むためのマーケティングが必要なことはネットもリアルも変わりません。ECサイトに適したマーケティング手法を考案し、実践するのがネット店長の役目です。
ネット店長はクライアント側で採用する場合と、弊社側で採用する場合があります。弊社でネット店長をたてる場合は、主に30代〜40代の女性社員が責任をもって担当しています。いずれの場合も商品開発から品質管理、マーケティングリサーチなどをネット店長を中心に、クライアントと弊社が一丸となって取り組んでいます。
-副業人材を募集したきっかけと当時の経営課題は何ですか?
弊社は現在4期目(取材時)に入り、鳥取県に1拠点、従業員5人程でECサイトを10店舗運営しておりますが今後、この鳥取県で実践してきたモデルを全国さまざまな地域に展開していきたいと考えています。事業を成長させるために、新たな資金調達と事業計画書を作成しなければならない中で、財務面や資金調達面をサポートしてくれるパートナーがほしいとかねてから思っていました。
資金調達においては、銀行から融資を受けるのでなく、企業から出資を募るエクイティファイナンスに焦点をおいていました。金融業界にいて地方企業や投資業界に興味がある人を探していましたが、鳥取県内や都内で働く人の雇用は難しく、副業者とマッチングできないかと考えたことが副業人材を募集したきっかけです。弊社も成長途中ですので、新しいことに挑戦する気概のある人と出会いたいと思っていました。
-応募状況はいかがでしたか?
掲載してすぐに10名程の応募がありました。
ベンチャーキャピタルからの資金調達に向けた財務諸表の整理と、成長戦略を描くための財務面での助言を求める募集内容だったので、銀行や証券会社の経験がある人からのみの応募だと想定していたのですが、さまざまなキャリアを持つ人からの応募が多かったことに驚きました。
みなさんそれぞれ異なる考え方や仕事のスタイルをお持ちで、お話を伺うのが面白かったです。今回交通費がお出しできないとお伝えしていたのですが、わざわざ鳥取県の弊社までお越し頂いた人もいて印象に残っています。
ー採用基準はありましたか?
経験値の部分でいうと、エクイティファイナンスの知識があり、ベンチャーキャピタルとコミュニケーションをしたことがある人を条件としていました。 また、地方の金融や経済に関心が高い人ということも基準としていました。あとは、自分と考え方が合うかどうかというフィーリングの部分と、継続的に弊社と関わりをもってくれるかという点も軸に選考しました。
最終的には、ご自身も地方出身で地方企業や経済に興味があると話していた金融業界にお勤めの方にお願いすることにしました。
ー副業者と働くことについてどのようにお考えですか?
実は、副業人材については以前から注目しており、前述した「ネット店長」も子育てが一段落した女性に、まさに副業、空いている時間を利用したりテレワークという形で店長の候補をつのり、社員及び店長になることを目指してもらっています。
私自身、東京で20年間ほどIT企業にいて、4年前にふるさとの鳥取に戻ってきて創業したんです。 ターニングポイントは2008年のリーマン・ショックで父の会社が倒産し故郷に戻ってきたことです。そのときにみた鳥取が元気なくて。東京にいる私がなにか地方を元気にするための仕掛け作りができないかと考えました。
その後、私自身はクラウドソーシングサービスの創業メンバーとして企業向けクラウドソーシング導入支援に携わったり、シンクタンクでのキャリアを重ねる中で地銀や自治体が何をしているのか、地方にどんな課題があるのかということがわかってきました。その課題の一つが人材です。これから人口が減少していく社会での人材業界におけるキーワードは高齢者、外国人、女性の3つだと思っています。
このうちの女性の活躍というテーマで何かできないかというのが、元々この事業をはじめるきっかけでした。 また、人が高所得で持続的に活躍していける仕事はなんなのだろうかと考えたときに、デジタルマーケターやリサーチャー人材が必要とされると仮説し、自分がよく知っているEC事業でこの会社を立ち上げました。
今後、会社を成長させ全国に支店を作っていく中で、その支店長は副業者でも良いと思っています。弊社を地方で働きたいと思っている人のひとつの収入源としてもらうことで、地方を元気にしてくれる担い手育成に副業という切り口で貢献していけたらと思っています。副業者と一緒に、新しい働き方や職種を地方に提供していくことを目指していきたいですね!
ー社員も副業者も気持ちよく働ける会社として気をつけていることはどんなことですか?
1つ目は責任をもって任せるということです。雇用形態にとらわれず、事業責任をしっかりと渡しているので、言われたことだけをやるのではなく、収益を確保してどんな世界観を作りたいのかを自分自身で考え、そのアイディアを実行できる環境をつくっています。社員にも都度私の思いを伝えているので、アクティブに楽しんでくれていると思います。
2つ目は、社内環境、特にお金の透明性を明確にしておくことです。弊社では、役員報酬の公表や人事テーブルの均等化など社内のお金の流れを明確にしています。店長は店舗の利益とコストをきちんと把握しなければならない仕事なので、たとえば自分のお給料はどこから捻出されるのかなど、会社内においてもその視点は常にもっていてほしいと思っています。
ーまだ副業人材を活用したことのない企業に向けてメッセージをお願いします。
大切なのは期待値コントロールで、仕事を依頼する企業と依頼される副業者との期待値が調整できていれば、副業者とともに仕事をするハードルが低くなります。
例えば副業者の勤務時間が週に1時間ならその時間内でできることを明確にしておくことで、企業側が期待しすぎたり、副業者側が頑張りすぎたりというアンバランスな関係を防ぐことができます。
Skill Shiftは他のサービスと比較すると、人材のバリエーションが豊富だと思います。様々なキャリアやバックボーンをお持ちの方が多いので、自社企業にはないアイディアや知見を提供してくれるはずです!
ダブルノットの副業者さんにも伺いました!
ー副業のきっかけは何ですか?
私がSkill Shiftに登録した理由は、3つあります。 1つ目は本業の会社が副業を解禁したこと。2つ目は中小企業診断士やファイナンシャルプランナー1級といった資格を持つ上での知識や金融業界にいた経験などをより広く役立てられればと思ったこと。そして3つ目は、自分自身が北海道出身ということもあり、地方企業の成長に貢献できればと考えたためです。
ーダブルノットさんでの副業について
ダブルノットさんの募集内容を見たときに、これまでの自分のスキルを活かしての支援がイメージできたので応募しました。社長と面談したときに、これまでのキャリアが似ていたこともあり、考え方が合うなと感じました。
まだ、副業をはじめて間もないですが、事業計画書の整理や社長とのディスカッションで経営に携われることは興味深く、楽しい時間を過ごしています。今後も継続的に関わっていけたらと考えています。
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