#2 【社会科の授業実践を晒す!】〜協同・協働の違いとは?
おはようございます、お久しぶりです、スケボー先生です。
2学期ももう終わり冬休みですね。私は仕事、大学院での国際バカロレアの勉強、そして自身の進路へ向けての取り組みなど、ここ1ヶ月はなかなかnoteに手がつかずここまで来てしまいました。
さて、話はさかのぼること約2ヶ月前、「より良い授業にしていくために、様々な意見をもらいたい、批評してもらいたい」という目的で、このような記事を書きました。
今回は第2回目ということで、また自身の授業実践を振り返りつつ、言語化していこうと思います。
授業で大切にしていること(再掲示)
前回、「私が授業で大切にしていること」ということで以下の要素を挙げました。
前回は「"I do, We do, You do"の流れで行う」〜「探究学習・課題解決型学習のエッセンスを取り入れる」について解説をしました。
今回は次の要素「協同・協働した学びを取り入れる。」に焦点を絞って解説していきます。
①何のための協同・協働学習か?
そもそも、私が協同・協働学習を授業に取り入れる目的は何か?
それは、協同・協働学習を通して探究学習や課題解決型学習を発展・促進させるため、そしてその探究学習によって断片的な知識を覚えるだけではなく、概念を理解し、その理解を他の教科にも転移させるためです。(概念型の授業や概念理解については国際バカロレアに大きく関わる部分でもあるので、また違う記事で詳しくまとめたいと思います。)
私の授業における目標は、最終的に生徒が1人で探究学習を行えるようになることです(IBのMYPではPersonal Project、DPではExtended Essayなど)。しかしいきなり1人で探究学習をしていくのは難しいので、グループで協同・協働しながら探究していく方法や姿勢を身につけてさせる狙い・目的があります。
②そもそも協同・協働学習の違いとは?
昨今、日本の教育界でもよく聞く「アクティブ・ラーニング」ですが、授業を行っている皆さんは協同学習(cooperative learning)と協働学習(collaborative learning)の違いを意識していますか?
(学習指導要領では「協働的な学び」という言葉が使われており、意味合い的にはこれから説明する「協働学習」を指していると思われます。)
協同学習(cooperative learning)とは、教える側が学習グループのメンバーに意図的な役割や課題を与え、その課題に効率よく(各メンバーが責任を持って役割を果たして)取り組む学習
一方で協働学習(collaborative learning)とは、PBLのように学習者たちが自ら課題を設定し、その課題に向けて協働して取り組む中で理解を深める学習
というような違いを私は意識しています。言い換えれば、協同学習と協働学習の違いは、どれだけ教師が学びの方向づけに積極的に関与しているかどうか、もしくは生徒に学びをどれだけ委ねているかどうかにあるのではないでしょうか。
また協同学習に関してはD.W. ジョンソンが提唱する5つの基本要素についても様々な論文で言及されていますが、ここでは割愛させてもいます。
加えて、先ほど「協同・協働学習の目的は探究学習のため」と述べましたが、エリクソンらは著書『思考する教室をつくる概念型カリキュラムの理論と実践』において、その探究学習を2種類に分類しています。
先述した協同・協働学習の違いと今引用した探究学習の種類を合わせて考えてみると、1つ目の「構造化された探究」においては協同学習が、そして2つ目の「導かれた探究」には協働学習が適しているのではないでしょうか?
このように、私は探究の種類に応じて協同・協働学習の使い分けを意識しています。
もし詳しい方がいらっしゃいましたら、ご意見お聞かせください。
③協同・協働学習の実践例
それでは、実際に私が取り組んでいる協同・協働学習の具体的な事例についてもお話しします。
まず協同学習にはジグソー学習など様々なものがありますが、グループ内でタダ乗りさせない(何もせずに終わらせない)ためにも、様々な要素を役割分担して徹底させています。
これらの役割には「重さ/負担さ」の差がありますが、公立学校のように様々な学力の生徒達がいる環境では特に有効だと感じました。
例えば極端に学力が低い子でも、タイムキーパーならグループのために貢献できる。そうすると、ボーっとする時間が減り、グループのために貢献したという自己効力感も育まれました。
また役割は固定化せず、様々な役割をローテーションでやるように伝えています。それぞれの役割で求められる要素が異なり、生徒はこうした様々な役割・要素を経験することによって協働学習や「導かれた探究」でも自然と自分の役割は何か、できることは何か、と少しずつ考えていきました(意識するように私の方からも声がけをします)。
日々の協同学習を通して、協働学習や「導かれた探究」に発展させていきたいと考えています。
続いて協働学習についてです。
協働学習の事例として、以前行った1年生後半の地理の単元における探究学習を取り上げます。
探究学習では、生徒は以下のプロセスで協働していきます。
探究する課題やテーマの設定。
その課題やテーマに関する情報の収集。
探した情報の整理・分析。
探究した結果を発表・共有し、相互評価をする。
次の探究(残された課題)の分析。
この1つ1つのプロセスについても奥が深く、ここでは全てを書ききれませんので、またこれも違う機会で詳しく書きたいと思います。
ちなみに、探究学習や課題解決型学習で参考にさせてもらっているのは『学びの技 14歳からの探究・論文・プレゼンテーション』(2014、後藤芳文・伊藤史織・登元洋子、玉川大学出版部)です。
初めての協働学習や課題解決型学習(探究学習)を終えて、生徒からは「授業評価アンケート」を取りました。
1クラス分、このアンケートには反映されていなかったので回答数が少ないですが、それを加えても概ね7割の生徒が探究学習や「協働的な学び」を楽しいと感じていました。
「いつもの単元と変わらなかった」という2割の生徒は、「(先生によって)課題が設定されてあった方が、仲間とも協力しやすいし調べやすい」という意見が多く、「協同学習」や「構造化された探究」を望んていたことがわかります。
逆に楽しくなかったと答えた生徒は、「テーマ設定が難しかった」、「グループの人が協力してくれなかった」といった意見でした。こうした生徒をどれだけサポートできるかが今後の課題です。
また具体的に探究の学びのどこが楽しかったのかも、自由回答で聞いてみました。
文字が小さくて見えづらいかもしれませんが、探究学習が楽しかった点として「自分たちで」、「協力」、「協調」、「深めていく」といったキーワードが散見されました。
こうしたキーワードが、まさに協働学習の特性を表しているのではないでしょうか。
最後に
久々の記事で長文になってしまい申し訳ありませんでした!
それと同時に、最後まで読んでくれた人はありがとうございました!
今回も「授業で大切にしていること」の要素を全てまとめることはできませんでした。
そこで、残りの要素である「教えるだけではなく、学びや気づきをファシリテートする」、「総括的評価・形成的評価・学びとしての評価を使い分ける」、「仕事・作業はなるべく効率的にする」についても、次回の記事にまとめます。
もし興味がある方は、ぜひ次回の記事・完結編もお読みいただければ幸いです。更に率直な感想なども頂ければと思います。