芸人さんのエッセイは「物事を新しい角度で捉える方法」を教えてくれると気づいた
僕はお笑いが大好きなので、オードリーの若林さんの「ナナメの夕暮れ」や、かまいたちの山内さんの「寝苦しい夜の猫」など、芸人さんのエッセイをよく読みます。
芸人さんが書く文章って面白いですよね。
日常の何でもない出来事をユニークな視点で捉えて、あんなに面白おかしく変換できる力はホントにすごいなって思います。
そんな僕がある日、お笑いコンビハライチ・岩井さんのエッセイ「僕の人生には事件が起きない」を読んでる時に、
芸人さんのエッセイは面白いだけじゃなくて、「物事を新しい角度で捉える方法」を教えてくれるんだなと実感した出来事がありました。
カフェで遭遇したピンチ
(ここからちょっとエッセイっぽく頑張って書いてみます)
いつもよく行く、自宅の最寄り駅前の
「カフェ・ド・クリエ」
僕はここで読書をするのが好きだ。
スターバックスとかに比べるとお客さんの数もほどほどで、店内も過度にオシャレすぎず、落ち着いた雰囲気。
BGMも、後で思い返すと「何か流れてたかなあの店?」となるくらい絶妙に気にならない。
若い方〜お年寄りまでいるお客さんの年齢層、ベテランのお母さんのような柔らかい雰囲気の店長をはじめとした家族みたいな店員さんたち。色々な部分が何もかも、本を読みたい僕にとって「丁度良い」のだ。
そんな最高のお店なのだが、どうしても気になるお客さんが2人いる。
1人は、いつもぼーっとして机に座り、天井の1点を見つめ続けるなど謎の行動をする、毎回同じホコリだらけのニットを着て来店する男性。
もう1人は、着席から5分ほどたつと必ず、電動歯ブラシのごとく小刻みな貧乏ゆすりをくりだす黒縁メガネのおじさん。
どちらかに隣の席に座られると、絶妙なバランスで成り立っていたお店の雰囲気が崩れ、何故かとたんに集中して読書ができなくなってしまう。
「今日はいませんように」と祈りながらカフェに入ることも多かった。
ある雨の日の休日、まだ店内が空いてる朝の時間に読書のためにカフェへ行った。
天気の悪いせいかいつもよりさらにお客さんも少なかったので、両脇が空いているテーブル席に座り、ハライチ・岩井さんのエッセイ「僕の人生には事件が起きない」を読んでいた。
するとそこへ、天敵の1人「とにかく一点集中男」がいつもの埃まみれのニットを着てやってきて、ナチュラルに僕の左隣りの席に座った。
「何故!こんなに他にも空席があるのに!」
席を移動するか迷ったが、岩井さんのエッセイが面白かったのと、もうコーヒーを半分ほど飲み進めてしまっていたので我慢することにした。
それから1、2分後。これまで同時にお店に存在することなんてなかったはずなのに、2人目の天敵「電動貧乏ゆすり歯ブラシおじさん」が店内に入ってきたのを、僕は周辺視野で捉えた。
「何でことだ!頼む、どうか僕の視界には入らない席に座ってくれ!」
そう心で念じながら恐る恐る、ゆっくりと本を読んでいた顔を上げると、すでに目の前にその男は立っていて、吸い寄せられるように僕の右隣りの席に着席した。
「終わった。。」
そして5分後、いつものようにおじさんの電動歯磨きが始まった。
「何だこの四面楚歌(二面楚歌?)の状況!」
流石にこうなったら仕方がない。コーヒーもまだ残っているけれど席を移動するしかないか。
そう思った時、ふと今読んでいるハライチ・岩井さんのエッセイの話が頭に浮かんだ。
岩井さんはエッセイの中で、自分の人生には芸人としてどこかで話せるようなエピソードが中々起こらず
神様、頼むから波乱万丈な出来事を僕に起こしてください
と懇願していた。
そんな中でもエッセイを書くために、常に日常生活の中で題材を探していたら、どんなことに対しても自分の視点を持てるようになったと綴っていた。
そのことを思い出したら急に、
「『僕の人生には事件が起きない』よりも『事件が起きる』方が面白いのかもな」と思えた。
そこで僕は「この最悪な状況も悪くはない、むしろラッキーと思ってこの状況を楽しもう」と、今の状況を新しく捉えなおした。
すると不思議と、2人に対してのネガティブな感情がポジティブなものに代わり、席を移動せず本を読み続けることができた。
何だかこれからは天敵2人がいつ現れても、もう大丈夫かもしれないと思えた。
物事を新しい角度で捉える力
岩井さんのエッセイをまさにその時読んでいたおかげで、絶体絶命のピンチ(言い過ぎか)も客観視することができて、上手く乗り越えることができました。
しかもこうして起こった出来事を、文章にする余裕まで出てきたんです。
岩井さんは本の終わりに
僕は、事件が起きない僕の人生を、ここから見たら結構面白そうだな、という角度を見つけて皆さんに見てもらえたらと思う。
と書いていました。
きっと芸人さんはこの、
「出来事を客観視して物事を新しい角度から捉える力」が優れてるから、面白い文章をたくさん書けるのだろうなと思いました。
日常の何でもない出来事を通して、芸人さんのエッセイは読み物として単純に面白いだけじゃなく、考え方や物事の捉え方の幅を広げるのにもとても役に立つなと、改めて実感した話でした。