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せっかく川で拾われたので

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自叙伝書いてます。毎週日曜と祝日の20時頃更新(予定)。自分の経験してきたことが、なにかを考えるきっかけになれば幸いです。
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2024年9月の記事一覧

第十五話 「なんにもない」

当時私には何もなかった。あったのは、兄の机に並んである本と、自作のゲームのみである。本を…

しし.
2か月前
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第十六話 「アブダクション」

あれは、秋の夜長に起きた出来事だった。 ふと、目が覚めた。障子越しに月の光が差し込んでく…

しし.
2か月前
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第十七話 「兄と妹」

兄と妹とは七つずつ歳が離れている。私は中間管理職として、兄から見る母と義父との関係、妹か…

しし.
1か月前
4

第十八話 「記念撮影」

最近、夫婦喧嘩が多い。 喧嘩の内容は、ほとんど、「母に対する嫉妬」である。 母の遅番の仕…

しし.
1か月前
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第十九話 「雨天の霹靂」

私は、小学四年生になっていた。学校は相変わらず楽しかった。三年生から四年生に昇級する際に…

しし.
1か月前
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第二十話 「新天地」

新たな引っ越し先は、隣町の、母の実家と同じ市内にある、これまた古びた平屋の小さな木造住宅…

しし.
1か月前
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第二十一話 「天から地」

順風満帆に思えた新生活だったが、早くも瓦解し始める。そもそも、違和感はあった。義父に何も告げず逃げてきたわけだ。追われないのだろうか。探し出されて殺されるのではないか。それに、そういえば名字もまだ義父の名字のままだ。決着はついていないということか。 そうは思いつつも、学校生活の楽しさに不安はかき消されていた。 そんな希望と不安の入り混じる日々の中、遂に不安が勝る日が訪れる。ある日のこと、茶の間で母に告げられる。結論から言うと、義父がこの家に来てまた一緒に住み始めるそうだ。