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せっかく川で拾われたので

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自叙伝書いてます。毎週日曜と祝日の20時頃更新(予定)。自分の経験してきたことが、なにかを考えるきっかけになれば幸いです。
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記事一覧

第一話 「拾われた子供」

「ママお金ある?」 貧乏な家に生まれた私は、小さい頃どうしても欲しい物がある時に、母にい…

しし.
5か月前
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第二話 「保育所時代」

当時私は、保育所に通っていた。毎朝母が漕ぐ自転車の後ろに乗り、母の大きな背中を感じながら…

しし.
5か月前
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第三話 「三つ子の魂百まで」

「三つ子の魂百まで」ということわざがある。 「幼少の頃に形成された性格や人格は、何歳にな…

しし.
5か月前
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第四話 「シャンプーブラシ」

私は、フケ症だ。 中学の思春期の頃には、気になり過ぎて、洗面所でフケをひたすら気が狂った…

しし.
5か月前
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第五話 「入学」

ただただ苦痛だった保育所時代が終わり、私は最寄りの小学校に入学することになる。最寄りとい…

しし.
4か月前
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第六話 「崩壊」

その日学校から帰ってきた私は、近所の仲の良かった友達と二人で家の前で遊んでいた。母は仕事…

しし.
4か月前
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第七話 「転校」

よくわからない。よくわからないが、いつの間にか私は転校していた。 確か一年生の二学期になる頃には私は転校生となっていた。なぜ学校が変わって、なぜ引っ越しをしたのか、小学校一年生の私には到底理解出来なかったが、母は嬉しがっていた様子だったので、家族にとってこの引っ越しは良い出来事なのだろう。 引っ越し先は、これまで住んでいた町から駅二つ分離れた所だ。家が少なく、田んぼに囲まれた、いわゆる田舎だ。そんな中でも比較的町寄りの方に建てられていた平屋の貸家に、母と、兄と私、そして新

第八話 「留守番」

私は物心がついた時から留守番ばかりしている。それもそうだ。私は拾われた子供なのだから。他…

しし.
4か月前
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第九話 「妹の誕生」

母は再婚したと同時に妊娠もしていたようで、私には父親違いの妹が出来る事になった。七つ年上…

しし.
3か月前
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第十話 「地獄の始まり」

妹が生まれ、半年ぐらい経った頃からだろうか。夜な夜な母と義父が言い争う声で目が覚めるよう…

しし.
3か月前
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第十一話 「猫ふんじゃった」

苦痛だった家での生活とは裏腹に、学校での生活は楽しかった。友達もすぐ出来て、クラスのムー…

しし.
3か月前
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第十二話 「名字」

「名前」というのは、自我を確立させる上で最も重要であり、名前を間違えられるととても不愉快…

しし.
3か月前
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第十三話 「義父から得たもの」

先に言っておく。義父から得たものなど、何もない。見た目はヤクザ、酒癖は悪い、母に暴力を振…

しし.
3か月前
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第十四話 「疎外感」

一人部屋にこもって勉強や自作のゲームをするのに夢中になっていた一方で、集団で何か一つの事に取り組むのが嫌になってきた。特に嫌な思い出として記憶に残っているのは、図工、なわとび、運動会である。子供なら誰でも喜びそうな時間だが、私にとってはただただ苦痛の時間だった。 その日の図工の時間は、折り紙で鶴を折ろうというものだった。先生が教壇に立ち、工程を順に説明していく。最初は簡単だった。隣の子と楽しくしゃべりながら、和気あいあいとしたムードで進行していった。すると、急に難易度が上が