コーヒーの味は鏡のようだね
時間があると、いつも行く場所があるんだ。
仕事で行き詰まった時、じっくり考えたい時、アイデアを絞り出したい時、少し環境を変えて読書を読みたい時。そんな時は決まって馴染みのコーヒーショップに出かけます。
「いらっしゃいませ」
いつもの店員がいつもの笑顔で出迎えてくれる。
新人のアルバイトも入店してた。息子と同じくらいの年齢だろうか。
僕はいつもコーヒを2杯注文します。
ブラックコーヒーを2杯。砂糖もミルクも入れません。
ただのブラックコーヒー。
でも、いつも不思議に感じる事がある。
毎回コーヒーの味が違うのです。きっと味そのものは変わっていません。飲み手の僕の感じ方が変化しているのだと思う。
だって同時に頼んだ2杯のコーヒーの味も違うから。
コーヒーの味って不思議なんですよ。
イライラしている時と、ゆったり落ち着いている時と明らかに味の顔が違うんだよね。
イライラして飲んだひと口目は、やっぱり苦い。
でも、落ち着いた後に飲んだコーヒはスッキリ感が漂う。
嬉しい事があって飲む時のコーヒーなんて典型的です。
初めから甘さを感じるのですから。
「マスター、コーヒーの味って不思議だよ」
「ん?どーしたのいきなり」
「コーヒーの味って変わるね」
「そーなんだよね、何年もコーヒを入れていて分かったんだ。コーヒーの旨さは豆自体の旨さだけではないって」
「どういうこと?」
「確かに豆の挽き方や淹れ方で随分違うんだけど、店の雰囲気だとか、流れている音楽でも変わちゃうんだ、運んでくれる人によっても当然違う」
チラリと入店したばかりのバイトを見て笑った。
「だからこの店のコーヒーは美味しいんだね、今日は格別に」
そう付け足しておいた。
「でもね、ゆーじさん、最後はお客さんで決まるんですよ」
「何が?」
「飲んでくださるお客さんの気分でガラリと味が変わっちゃうんだ」
「やっぱりそーだよね」
コーヒーの味は自分を写す鏡みたいなのかも知れない。
いつもブラックコーヒを注文するのだが、悲しい時や辛い時はなんとなく砂糖やミルクを足してみたくなるから。
でも、嬉しい時に飲むコーヒーは砂糖なんて本当に要らない。
これは間違いない。
コーヒーの味から学ぶ事がある。
物の見方ってやつです。
ちょっと言い過ぎみたいですが、そんなこともないのです。
物を見るときは、色や形だけで判断してはミスジャッジします。真ん中だけ見ていては本質を見誤る可能性が高い。物事を見極めるためには、真ん中だけでなく、周囲をよく見て本質を逃さないことが大事ってことなんだね。
コーヒーの味は変化します。
一緒に飲む人、周りの雰囲気、そして自分の気持ち。
全部が揃って初めて奏でるのよ。
なるほど。
だから妻が入れてくれるコーヒーは美味いんだな。
美味いと言わないと、次に飲むときは苦しく感じるから。
最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
そろそろ衣替えです。体調管理を怠ってはいけません。🍁
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