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娘ビジョンの因果ァティブアナリシス
毎朝のタフなビズと言えば、娘(2歳半)を保育園に連れていくことだ。
遊びの権化、自由王国の不死王女である我が娘である。
その小さな全身から滲み出すフリースピリッツは周囲の磁界を歪ませんばかりのボルテージをたたえており、「保育園にいく」という、「こちらの都合」の力場の干渉にこゆるぎもしない。
つまり、
「もう時間やしお着換えして、保育園いくで!」
「いややや! ドンブラザーズにドンブラスター持たせてから行くもんな!」
「じゃあ、おとうちゃんもいっしょにやるね! みんなドンブラスター持ったら、行こうね!」
「うん!」
(ドンブラザーズの5人衆に拳銃型変身デバイスを持たせる)
「よっしゃ! みんなドンブラスター持てたね! じゃあ、お着換えして、保育園行こか!!」
「いややや! パズルするー!!」
「えー、いや、もうー!」
ということだ。
彼女の王国では遊びは最も優先すべき嗜みであり義務であり、彼女そのものを形作るアティチュードである。国外からの干渉で容易に中断させることはできないのである。
そしてこうだ。
「わかった! じゃあ、パズルしよう! そしたら保育園いこうね」
「うん!」
「じゃあ、その間、おとうちゃんお着換えさせるからね。パズルしといていいからね」
「いいよ!」
娘、ドンブラザーズのパズルを始める。
「今日はキュアプレシャスちゃんの靴下やで。履かせるからちょっと足あげてー」
「えっ、いやー!」
娘は靴下を履かせようとした足をばたつかせぼくの手を振りほどく。
「えー! 昨日、あしたプレシャスちゃんの靴下履こうねって言ってたやん」
「キュアスパイシーちゃんがいいの!」
「スパイシーちゃん昨日履いたから洗濯してるで」
「ええ? せんたくしてないよぉ」
「いや、してるよ。ほら、毎日服お洗濯するやろ? で、昨日スパイシーちゃんの靴下履いたやろ? だから今日洗濯してるねん」
「えー? せんたくしてないよ。スパイシーちゃんのくつしたあるよ。スパイシーちゃんのくつしたがいい!! プレシャスちゃん、いや!」
「えぇー」
というふうになる。
時間は迫る。遊びは終わらない。靴下が決まらない。
娘と会話していて思ったが、すでにわかっていることとして、娘には娘の価値観があり、彼女が感じる事象は彼女の中にのみ存在する因果律で認識されている。
なので、「スパイシーちゃんの靴下は昨日履いたから今日は洗濯しているため着用アブルではない」なんていうぼくの因果律は通用しないのだ。
「何故なのか」を説明するのは、この場ではナンセンスだと思った。
わかっていることは、娘の王国では「楽しいこと」が最も価値を持つ、ということだ。なればやることは絞られる。
「えーん、えーん! 今日わたしを履いてくれるって思ったのに、スパイシーちゃんが良いって言われて悲しいよぉ!」
ぼくは、キュアプレシャスの靴下を両手に着用し、くつしたプレシャスちゃんにインスタント御霊をインストールした。
「ええ? スパイシーちゃんがいいよぉ」
「えー!! そんなぁ……もう、バカバカバカバカ!」
両手のくつしたプレシャスちゃんが、娘のほっぺたを0.5Kcalくらいのパワーでぽかぽかパンチする。
「きゃっきゃ! もうおとうちゃんやめてよぉ!」
楽しそうに笑う娘。
「じゃあ、プレシャスちゃんのこと履いてくれる?」
「うん!」
ッしゃあっ!!
そうして娘の対・気分じゃない靴下へのリアクティブアーマーを解除することに成功したため、無抵抗の両あんよにキュアプレシャスちゃん靴下を履かせることに成功する。
なんやかんやしているうちに、パズルも完成したようだ(15ピースだからね)。
そしてその勢いのまま、服も着替えさせると、先ほどまで遠く重たく見えてた家のドアの向こうに無事出ることができた。
そして登園成るッ!!
大変だけど、日々娘の王国とのマスコンバットバトルを行うことは、娘のいろんな反応が見られるコミュニケーションでもあるためすげぇ楽しいです。
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