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高学年とのスタンス ~4つの基本テクニック~

はじめに


どんなに落ち着いている学校、学級でも、

  • 接し方が難しい

  • 接し方を間違えると……

という子はいますし、
そういう集団もあります。

ぼくは、過去に苦しい
思いをした経験があります。



中学校に赴任していた
初任校3年目でのこと……

とにかく熱い思いを伝えていればよいと
前ばかり向いていた時期でした。

子どもたちの考えや思いを
ちゃんと受け止めることができずに、

気が付けばクラスの女子たちが
向こうを向いている状態。

受験が近かったということもあり、
授業が崩れることはなかったのですが、

日常や行事ではぎすぎすして
仕事に向かうことが
つらかった記憶があります。


そんな厳しい教員人生のスタートを
切ったぼくでも、

経験を積んだことやアドバイスを
いただいたことで、

子どもたちとの向き合い方の
コツがつかめてきました。

そのおかげで、
高学年の学級経営が得意になり、
毎年高学年をもつことになりました。



児童会や研究主任、特活主任など、
重めの校務分掌をあてがわれるようになり、
教務主任を任されるようになりました。

当時の○県では、
30代で教務主任は
あまりいなかったはずです。


「高学年を担任するからエースだ!」
などというつもりはありませんが、

力技が効きにくい高学年と
うまく接することができるということは、

教員としての力量のうちの
1つではないでしょうか?


今は高学年とうまくいっていなくても
今は高学年指導に自信がもてなくても
やり方次第で「得意」といえるまでになります!


これを読んでくださっているあなたにも、
そんな自信あふれる教師になって、
生き生きと教壇に立ってもらいたいと思っています!



どの先生にも「キャラ」があるので、
一概に子どもとの接し方はこうするといい
とはいえませんが、

普段自分が注意していることを
包み隠さずお伝えしようと思います。


この記事では、

  • 高学年の子たちとの距離感はどうしたらいいの?

  • 高学年の子たちとうまくいかないんだけど……

  • 低学年の担任ばかりだから、自信をもって高学年をうけもちたい!

という疑問や願いをもっていらっしゃる方に
ヒントとなる内容を紹介します。


基本のテクニックは大きく4つです。

  1. 会話を楽しむ

  2. 熱さを見せる

  3. 複数の指導方法をもつ

  4. 期待の言葉をかける

この4つについて、
ぼくの実体験もふまえながら
具体的にお伝えします。


子どもと上手に接して、
よりよい関係を築いてくださいね!



高学年とのスタンスは本当に難しくて、
まちがえると大変なことになりますし、
僕は実際大変なことになりました。

これからお伝えすることは、
その失敗から学んだことでもあります。

また、ここでの内容は、
すべて「傾向」と解釈してください。
個や集団によるので、100%ではありません。


子どもたちは、

  • 自分(たち)のことを好きでいてくれる

  • 自分(たち)に物事を教えてくれる・成長させてくれる

  • 自分(たち)に期待してくれる

先生を望んでいます。


では、どうすればそれが伝わるかを
見ていきましょう!




高学年のスタンス➀会話を楽しむ!


高学年こそ、どうでもいいことを話そう



子どもといっても、高学年ともなれば
人格がある立派な一個人です。
そんな相手との会話を楽しむとよいです。

「正しいことを教えなきゃ」と思っていると、
話の内容も話し方もかたくなります。

自分がやるゲームとか
趣味の話あたりはいいですね。

  • 「○○のところ、なかなかクリアできないんだけどどうしたらいいの?」

  • 「カラオケ行ったら○○を熱唱するよ」

  • 「この前食べたコンビニの○○、めちゃくちゃおいしかったからおすすめだよ」

などなど。

話の内容や言葉づかいに注意しながら
子ども相手の会話を楽しんで、
よい関係を築きましょう。

普段の人間対人間の関係づくりが
しっかりしていれば、
学級崩壊も防ぎやすくなります。



高学年と「お友達」には注意しよう!



「よい関係」とは、「お友達」とはちがいます。
下手をすると「お友達」、度が過ぎると
「なめられている」状況になります。

高学年の指導では、
その距離感が重要であり、難しいところです。

「お友達・なめられている」と
「慕われている」は、

教師をしていてかんちがいしやすい
ところですが、

まったく異なります。


僕の場合でいくと、

  • ややいじられる時もあり

  • こちらからちょっと軽口を言う

  • まじめな時はまじめ(☜ここが信頼につながる

くらいの関係になるとやりやすいですね。

しかし、ここでも、「軽口」は相手の性格や、
それまでのかかわりや、反応を観察しないと、

「面白い、楽しい」と思う子もいれば、
「嫌だ」と思う子もいて、
これまた大変なことになります。

経験的・感覚的なところが大きいです。



高学年にNGな話題に注意しよう!



悪い例があります。

これは、ぼくの話ではないのですが、
子どもとの距離感を縮めたいがあまり、

自分がお付き合いしている
彼氏や彼女のことを
全体の場などで話すことです。

高学年の子どもたちは、
教師のプライベートな話を
基本的に喜びます。

先生の「先生ではない一面」
「人としての一面」を見られた気がして、
親近感がわくのでしょう。


年頃の子どもたち、とくに
いわゆるクラスの中心にいるような子たちは、

興味津々でその話を聞いたり
深く質問したりするかもしれません。


しかし、さすがにこの類の話は
プライベートすぎるかなと思いますし、

高学年だけに内容が
エスカレートするリスクも考えられます。

思春期の敏感な子どもたちには不向きですね。


また、そういう話が苦手な子が
いることも事実です。


クラスの中心的な子どもを
引き込むには手っ取り早いですが、

『勝負すべきはそこじゃない』



教師が楽しく話していれば、子どもたちは、

自分(たち)のことを好きでいてくれる

という思いにつながります。


話す内容によっては、

自分(たち)に物事を教えてくれる

という思いにもなります。


何気ない会話に、ちょっとずつ
物の見方や考え方をはさみこむのです。


例えば、台風がきているとしましょう。
子どもたちは休校になるのでは?と
内心わくわくします。


そんなとき、

「台風がきているね。休校になるかもって期待しているんじゃない?休校になったらうれしいでしょ?先生も、休校は、たまった仕事ができてちょっとうれしい時があるよ。でも、被害があったりしたらその地域の人たちは大変なことになるし、自分たちがそういう目にあっても困るよね。まったく被害がないなら休校もいいんだけどね」

のように話したことがあります。

  • 休校は、あなたたちと同じでちょっとありがたい

  • でも、被害にあう(地域がある)ことはまったく望まない

という2つのことを話すのです。



  • 先生も休校はうれしいんだなという親近感

  • 大人として休みがうれしいだけではなく、地域社会のことも考えるんだなという学び

を両立させることができるのではないでしょうか。



高学年とのスタンス➁熱さを見せる!


高学年に思いは通じる!



自分の中にある熱い思いを
態度で見せたり語ったりすることで、

  • 自分(たち)に物事を教えてくれる

  • 自分(たち)を成長させてくれる

という思いにつながります。


高学年ともなると、子どもたちは、
つねに熱い先生は苦手なことが多いです。

特に最近では、熱苦しいと
敬遠されるかもしれません。

会話を楽しんだり、
ちょっとふざけたりする中に、
ときどき「熱さ」をもりこむとよいです。



高学年におススメは学級通信



ぼくは、好きで学級通信を
書いていましたので、

通信に熱い内容を入れて、
短学活(朝の会や帰りの会)で
語る場面がありました。


普段の短学活では、先生の話のときに

  • 「とくにありませんので、気を付けて帰ってね」

  • 「今日は」・・・「なんと」・・・「給食がカレーです」

などとふざけるときがあるので、
いいギャップになると思っています。


日ごろ、一緒になって会話を楽しんだり、
ふざけたり、軽口をたたいたり、
ときにはいじられてみたりする中で、

真顔で熱くド正論を話すことはとても有効です。

普段とのギャップがはげしいほど、
子どもたちの心に響いていきます。



高学年とのスタンス➂複数の指導方法をもつ!


高学年にまじめ一辺倒は……



まず、「指導がまじめ一辺倒」
「いつでもド直球」では、
なかなか受け入れられないことがあります。

むずかしい年頃の高学年(特に女子)には、
いろいろな指導法をもって
対応していく必要があります。


高学年(中学生)ともなれば、
それなりに人生経験を積んで、

よいことも悪いことも
だいたい分かってくる年頃。

何か悪いことをしたら、
たいていは分かっていて
やっていることが多いです。


分かっているのにやってしまうのが人であり、
思春期のもやもやとしたゆれる心
でもあろうかと思います。


相手によりますが、
ド直球でいいときと、そうでない時があります。


例えば、時間が守れない場面を
考えてみてください。


学級の多くがしゃべったり
席を離れていたりして
1分ほど授業開始が遅れたとします。

そのとき、どのように声をかけますか?



ド直球な指導だと、

  • 「授業時間が短くなります。早く席につきなさい」

  • 「いつまでしゃべっているんですか!チャイムがなりおわっていますよ!」

というような声かけになります。


得策ではありませんが、
どなって席につかせることも
あるかもしれません。

はずかしながら初任の頃のぼくはこれでした。

普段の様子によっては、
こういう言い方も必要な時もあるでしょう。


しかし、いつもこれでは子どもたちも
「またか」「うざ……」となってしまいます。



下手をすると、

「自分(たち)のことを好きでいてくれる」の逆に、

「自分たちのことが嫌いなのかな」と
思わせてしまうかもしれません。

ですから、ときには、ちょっとちがった
変化球をもっているとよいです。

  • 「1分始めるのが遅れたから、先生も1分延長し~よう」

  • 「今度から授業延長しても文句言うなよ~~」

日ごろの関係がものをいう時もありますが、
きっと苦笑いしながら
「え~やだ~」と場が和むことでしょう。



高学年とのスタンス④期待の言葉をかける!


高学年でも期待されたい!



子どもたちは、期待されると、
それに応えたいと思う子が多いものです。
期待してくれる人は好きです。

大人でもそうではありませんか?

とくに、純粋な期待の言葉は、
はげみにもなります。


かなり有効な手段です。


ぼくの場合は、例の通り
学級通信を利用します。

学級通信のよさは、
子どもたちの向こう側にいる
保護者にも伝わることです。


文章を書くことが得意でない方は
面倒かもしれませんが、おススメです。



さて、どんな言い回しになるかというと、

  • 「普段○○なあなたたちだから、今回もきっとうまくいくと思っている」

  • 「前回は△△だった。でも、今回はちがう。きっと○○になると確信している」

  • 「いい意味で、あなたたちのことは心配していない」

  • 「きっとすばらしい最高学年になると信じている」

などです。


熱さとも重なりますね。


本心から出る言葉が一番ですが、
ときには思いがあふれて芝居がかった感じに
なっていてもいいでしょう。

時期や場面を考えて、
意図的に言葉をかけると、より効果的です。

そう、「意図的」が大切です。
打算とはちがいます。



高学年にこそ意図的な言葉がけを!



教師なら、

  • クラスをこうしたい

  • この子を、こう伸ばしたい

  • こういう方向に向けてあげたい

という願いをもつはずです。


その願いに沿って行う指導が

「意図的」です。

打算的な悪い意味ではありません。


  • クラスとして方向を変えられそうな大事な時期に意図的に活動を仕組む

  • この子のこういう姿があったから意図的に声をかける

このような意図的な指導が
大きな教育効果を生みます。

そういった意味で、
意図的な期待の声かけは大変効果的で、

うまくいくと、
その子の生き方さえも
変える可能性があります。



  • 行事の前に・最中に・終わってから

  • 授業の中で

  • 短学活で

  • 学活で満を持して

  • 個別指導の中で

  • 教育相談の中で

  • 三者面談の中で

  • 他の教員からの何気ない伝達として

いろいろな場面が想定できます。
「ここだ」と思う時に実践してみてください。

あたればすばらしいですし、
はずれても、それがあなたの経験になります。


教師は、経験がものをいう職業です。
どの職業でもそうですけどね。


「刑事の勘」なんてドラマでよく言いますよね。


いくつもの経験が、刑事の勘ならぬ
「教師の勘」になっていきます。



おわりに



いかがでしたか?

子どもという生身の人間が相手なので、
これをやれば100%うまくいく
という方法はありません。

そのやり方が合う子もいれば、
合わない子もいます。

そのときそのときで、
相手の反応や表情などを観察しながら
最善の方法を身につけていくものだと思います。


相手が高学年ともなれば、
それもむずかしいときがあります。

でも、その方法を複数知っているのと
いないのとでは大きくちがうでしょう。


何年もかけて発見するという
効率の悪いやりかたよりも、

我々が知っていること、
身につけたことを発信して、

試してもらって、身につけてもらった方が
効率がよいと思っています。


ぜひ、実践してみてくださいね。
感想や体験談もお待ちしています!



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トーイ


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