地域の支援対象者を正しく認識できているか?①
① ~日々の支援から感じる制度の壁~
私には発達障害と精神障害があります。
その経験を支援に活かそうと思い資格を取得し、
2010年からソーシャルワーカーとして主に就労支援に携わってきました。
ニート、ひきこもりの就労相談の場では、
支援の必要がある生き辛さを抱えていても福祉や医療に繋がっていない人が沢山いました。
「就労」という窓口だからこそ出会える部分もあると思います。
しかし、現実はとても理不尽でした…
相談者が自分と向き合い、
「福祉サービスを利用しよう」
「医療機関で検査を受けてみよう」と思っても、
相談者を福祉サービスに繋げようとすると、
「敢えて障害者になる必要はないのでは」
「障害とか気にせずまずは頑張ってみたら」
といった反応が地域の支援機関から返ってくるのです。
福祉の相談窓口にいる人や、医療機関で働く人は、
日々、症状や障害の重い方と関わることが多いです。
目の前にいる「とりあえず地域で暮らせている人」というのは、
支援の必要がないと感じるのかもしれません。
でも実際にはとても困っています。傷ついていたり、支援や治療を必要としています。
経済的なひっ迫や精神疾患を発症するなど、状況が悪化、複雑化しないと支援に繫がることができない現実にとてもモヤモヤしますね…
人員不足や人材育成が追い付かないといった大変さを抱える中で、
今以上に支援対象者を広げるのは目の前の支援の質を下げてしまうリスクがある、という考え方もあるかもしれません。
私は2015年から約6年間、障害者就労支援の分野でも働いていました。
実際に福祉制度の中に入って動いてみると、また違った視点が見えてきます。
「障害者」という看板がハードルとなり、
制度の狭間にいるような相談はひきこもりやニートの就労相談窓口に比べると少なくはなりした。
しかし、子どもの将来を悩む親、一般雇用で失敗して相談に来る人、
障害者手帳取得まではしたものの、現実を受け止めきれない人、
今後の就職活動に悩む人…
いわゆるストライクな障害福祉相談ではないような相談もありました。
確かに制度にすぐ結びつかない相談ですが、
やりようはいくらでもあります。
むしろ、しっかり整理することが障害者福祉側の仕事だと思いました。
受け止める側の認識次第で
「支援を受けられるかどうか」が左右されてしまうのです。
本当にこのままでよいのでしょうか。
統合失調症やうつ病患者の背景には発達障害が隠れていることも多々あります。
精神疾患の予防支援として早期発見・早期治療という概念がありますが、
その対象者の認識の中に、
「地域の生き辛さを抱えた人」
「発達障害は未診断だけれども特性ゆえに苦労している人」
はどれくらいの割合で入っているのでしょうか。
支援者にとっての「支援対象」として、
正しく認識してもらう必要があるように感じます。
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