−寿司屋のこばなし− 一高のガリ のはなし
さぁ!とことん語らせてください(笑)
先日Instagramで紹介した「一高のガリ」について。
どうしても長くなってしまうので、こちらで思う存分語りたいと思います(笑)
「一高のガリ」としてお出ししているこちら。
珍しい形でしょう?
このガリが出来るきっかけは今から20年前。
福岡市を代表する寿司屋、中央区薬院の「山中」さんに
初めて訪れた際のガリとの出会いからでした。
当時、ガリといえばスライスされたものが主流。
その中で、山中さんで出された棒状のガリは驚きでしたし、
何よりもその美味しさに感動しました。
同時期、私がいた一心鮨本店では
業者様からの出来合いのガリを使用していました。
しかしこの山中さんのガリに触発され、すぐに改良を決意。
ガリの原材料となる、生姜、酢、砂糖など、ひとつずつ選定していく中で、知人の料理屋さんから柳川連合市場にある「高山漬物店」さんを紹介して頂きました。
餅は餅屋。漬物なら漬物!
というわけで早速、取り寄せをして「一心鮨のガリとしてお出しするなら?」を目指していきました。
ガリは簡単に言ってしまえば生姜の甘酢漬け。
生姜そのものの味や風味によって甘酢のバランス、漬け込み方は変わりますし、何より一番重視すべきははすしとの相性。
それらを踏まえた上で、やっぱり形は変えたい!(笑)
山中さんで出会ったガリのような、
感動させるような味と食感を目指したい。
(どうも、こういうチャレンジが楽しくなってしまう性分のようです。)
ただ形を変えるとなると、お客様が口に運ぶときのことを考える必要があります。食べ応え重視で大きくしすぎてもいけないし、かといって小さすぎては目指すガリとは程遠い。食感や味わいは残しつつも、より食べやすくを目指し、大きさはもちろん、カットの仕方にも細かな工夫を施すことにしました。こうして新しいガリができたのは、私が一心鮨光洋で働く頃でした。
※働いていた時期などはこちらを読んでみてくださいね。
新しくできたガリ。
最初はお客様、特に常連様に受け入れていただくのに時間がかかりました。ですが、少しずつ「おいしい」という声をいただけるようになり、定着するようになり、中には「売って欲しい」というご要望まで頂けるようになりました。
新しいガリが受け入れられて嬉しい反面、新たに課題が出てきました。
それは自家製であるために、店としては仕込みが増える、ということ。
レシピ的に一度に大量に仕込んで、漬け込みをしないといけない。
さらに漬け上がるまでの管理や保管場所など、さまざまな面で店で作る負担が大きくなっていました。
色々なことを考慮した結果、外部の方へ依頼を検討していたところ、
またまたご縁をいただき、手作り味噌やお団子などを販売している婦人会の皆様をご紹介いただきました。
そんな手作りの達人の皆様に、私が生み出したレシピでのガリ作りだけでなく、販売向けに商品化のご協力までいただけることとなりました。
このおかげで、店でお出しするのみならず
「お持ち帰りしたい。」
「お渡ししたい人がいるのでお土産にしたい。」
といったリクエストにもお応えできるようになり、今では「一心鮨光洋」の看板商品「繋ガリ」として展開するまでに至りました。
このように看板商品になるまでには多くの時間と試行錯誤もありましたが、それ以上にたくさんの方とのご縁、支えてくださった方々など、本当に数えきれないほどのお力添えがありました。
(本当は試行錯誤の詳細や商品化の過程も、もっと語りたいのですが、女将にくどいと怒られそうなのでこの辺にしておきます。(笑))
なにより、今でも一高のガリと言えるこちらをお出し出来るのは、
このガリを愛してくださる皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。