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-寿司屋のこばなし− あがりのこだわり のはなし

私には、長年支えてくれる大切な仲間達がいます。
その中でも、寿司に欠かせないお茶を提供してくれるのが、
白玄堂の白尾尚美(しらおなおみ)さん。
彼とは約20年のお付き合いになります。

白尾さんとの出会いは、私が一心鮨 光洋にいた頃、ある友人が
「この時代に、ものすごくお茶に情熱を注いでいる人がいるよ。」
と紹介してくれ、ぜひお会いしたい!とお願いしたのがきっかけです。
実際にお会いすると、彼は宮崎で“お茶王子”と呼ばれるほどの爽やかな青年。背が高く、端正な顔立ちで、その場で淹れてくれた煎茶は、これまでに味わったことのないほど美味しく、強く記憶に残るものでした。

一般的に寿司屋では、寿司の味を邪魔しないお茶を使うのが定番。「寿司屋といえば」でイメージされる方も多い、粉末のお茶です。業界的にもそうでしたし、私の店でも特にこだわるわけでも、コストをかけるわけでもない状況でした。ですが、白尾さんのお茶を飲んだ時、
「もっと良いお茶でお客様をおもてなししたい。この感動を共有したい!」
と思いました。そこから白尾さんとともに、私の寿司に合う最高のお茶を探し続けてきたのです。

私の相変わらずのこの思いつきに(笑)白尾さんも快くお付き合いしてくださいました。そこからまた、いつもの通り試行錯誤の始まりです。(笑)
寿司にあうお茶として提案していただいた中からどのお茶にするか。そしてどの形で飲むのが一番なのか。トライ&エラーを経て、私たちは無農薬の天然玉露とも称される「あさつゆ」に行きつきました。しかも「あさつゆ」をリーフのまま、急須で煎茶として淹れるというものでした。

私の寿司似合う最高のお茶

そこにこだわると、どうしても、急須で煎茶として淹れなければ、それが叶わなかったのです。しかしこれは非常に難しい挑戦でもありました。
煎茶の淹れ方を何度も練習し、お客様に最高の一杯を提供できるようにトレーニングを繰り返しました。そしてようやく、店のあがりとしてお出しできるレベルに到達したのです。

このあがりに変えてしばらくたった頃、遠方から来店されたお客様から、ご来店後にお手紙をいただきました。

「そちらでいただいた最後のお茶が、ホテルの部屋に戻っても余韻として口の中に残り、とても幸せな気持ちでその後の時間を過ごせました。こんなに上質な食事体験をしたのは、本当に久しぶりでした。」

この言葉を目にした瞬間、私は飛び上がるほど嬉しくなりました。

そんな出会いを経て今日までの約20年間、私は白玄堂のお茶を使い続けています。その間、白玄堂の白尾さんはあの頃の情熱はそのままに、絶えず走り続け、新しいマーケットを開拓。今ではアメリカ・ニューヨークを中心にお茶を輸出するまでになられました。もちろんお茶の可能性を広げることにも手を抜かず、今なお進化を重ねています。
そんな彼がいたおかげで、私もここまで成長することができたと思っています。

美味しい寿司に欠かせない、美味しいお茶。

これからもお客様に最高のひとときを届けていきたいと思っています。
そのために浮かんだアイデアは積極的に挑戦していきたいと考えています。ですが、これらを形にするのには、白尾さんをはじめとする、多くのプロフェッショナルの力をお借りしています。皆様の協力あってこそ実現できる
【お客様への最高のひととき】
お客様に喜んでいただく時間は純粋な喜びと共に、多くの仲間の協力に心から感謝する時間でもあります。
この時間がもっともっと増えるように引き続き精進してまいります。

是非一度、当店のお茶を体験にいらしてくださいね。

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