御座候をたべて、時代に想いを馳せる朝。
昨日の朝ごはん。
あまりお腹が空いてなくて、冷凍庫にあった御座候をレンチン。
あつあつのあんこにヤケドしそうになりながら頬張れば、心落ちつく幸せな甘さが広がる。
先日百貨店で用事を済ませたあと、久しぶりに御座候の列に並びました。
いつ見ても職人さんの手さばきが美しく、待っている時間がまったく苦になりません。
均等に「スッ スッ スッ」と生地を流したかと思うと、あんこを「スーッ」とキレイにならし、これまた均等に「スッ スッ スッ」と入れていく。
生地が黄金色に焼けた頃を見計らって、もう一方の生地を重ねる。それはそれは熱いだろうに、1ミリも表情を変えず。
次々と焼けては買われていくので、常に焼きたてがいただけます。
御座候初体験の旦那さんと、赤と白を2個ずつ買いました。
《焼き立て》に弱い私たちは、家まで待つことができず、帰りの車の中で1個ずつ食べることに。
久しぶりに食べた御座候は懐かしく、「そうそう、これこれ!」と言いたくなるような、期待を裏切らない味でした。
旦那さんも気に入って、「やっぱりあんこ美味しいね!もうケーキより御座候がいいわ。」
と大絶賛。
(もちろんその後ケーキも食べていますが)
ところで、この御座候。
私は72円だと思っていたのですが、支払いの時に価格を見ると95円になっていました!
いつの間に値上げしていたんだろう。
これだけ美味しくて95円も安いのですが、72円のつもりだったので、少し違和感を覚え調べてみました。
御座候の会社概要によると、昭和30年の開業時はなんと10円!
それから高度経済成長に差し掛かり、2年〜3年に一度値上げを繰り返し、平成3年に70円に。
その後しばらく価格は変わらず。
(私の記憶はここでストップ)
動きがあったのは平成20年になってから。
平成20年に80円(税込)
平成26年に85円(税込)
令和元年に95円(税込)
と、ゆっくりなペースですが価格を変えています。
2〜3年に一度値上げしていた時代。
頻繁な値上げは、高度経済成長と名がつくほど経済が急成長し、物価があがり、さまざまな価値や価値観が変わったことを表しています。
そして値上げしなかった空白の17年間を経て、
平成20年以降、スローペースで値上げするこの10年ちょっとの期間はというと、ゆるやかに経済が成長していることを物語っているのでしょうか。
まったく実感はありませんが…。
御座候の長い歴史の中で、時代や価値観が変わっても御座候の美味しさは変わらない、ということだけは確かで、私に安心感を与えてくれるのでした。
さて、私の記憶がなぜ72円で止まっていたかと言うとが、御座候の価格遷移でわかりました。
高度経済成長を知らない私は、72円の時代に育ちました。家族でたまに百貨店へ行くと、帰りに決まって御座候を買っていました。
先日と同じように、職人さんの手さばきに見惚れながら列に並んで…
その頃の記憶が深く刻まれているんですね。
大学生以降、華やかなお菓子に惹かれ、御座候とは距離を置いていたので、値上げしていたことを知らず、この歳になって御座候の美味しさに立ち戻り、今に至ります。
ところで、御座候は一般名称だと思い育ったので、回転焼きや大判焼きと言う物があることを、大人になって初めて知りました。
なんと呼ぶのかとか、中にクリームは邪道とか、あんこはやっぱり小豆じゃなきゃとか、いろいろ論争はありますが。
どんな名前であれ、どんな味であれ、この類のお菓子は、これからもずっと愛され続けることは間違いないでしょうね。