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短歌:意味は"I love you."だから

おおげさな言葉ではないそのせいで勇気がいるの 「君が好きだよ」/銀猫
おおげさなことばではないそのせいでゆうきがいるの 「きみがすきだよ」

 この短歌は、Xで開催されている「単語で短歌」の、お題「好き」でポストしたものです。

 夏にも同じようなことを考えていて、既に一説講じていますね、わたし。

でも、また似たようなことを書きます。お許しを。

 最強の愛の告白は「愛しています」ではなくて、「好き→大好き」と「大切なんだよ」だと思っていますが、もうひとつ最強なのを思い出しました。

「お慕い申し上げます」

 確か、美智子上皇后陛下が、ご結婚前のあの有名な記者会見で、当時の明仁皇太子殿下(現上皇陛下)のことを「お慕い申し上げております」(語尾など細部未調査)とおっしゃったと記憶しています。さすがにリアタイの年齢ではありませんが、時代の節々で録画を見るので、そのときに「お慕いするかあ」と、感じ入った覚えがあります。

 いまとなっては、少し古風ですよね。
 現代だと「慕う」は恋情ではなく、師弟関係や先輩後輩関係の方がしっくりくるように思えます。

 ところで、あれがイギリス王室メンバーの結婚記者会見だとしても、遣う言葉は "I love him/her." だろうな、と思う訳です。

 英語で love を言い換えられそうな表現にはいくつか思い当たるものがありますが、like は明らかにテンションが違うし⤵、adore, be crazy about, cherish あたりは、逆にテンションが違う感じがします⤴。「もう夢中!」的なニュアンス。
 日本語の「大切なんだ」的なのはたぶん、be special to ではないかしらね。

 時代劇の恋愛沙汰のセリフは、女子はたいてい「お慕いしています」で、男子は「惚れている」ですね。
 やはり「お慕い申し上げます」を古風と感じるのは当たりだと思いますが、わたしはこの言葉の中に、いわゆる炭火のような情を感じます。

 ああ、この時間だから、またまとまらなくなってきたぞ。

 まとめを試みます。
 言語の翻訳は一筋縄ではいかなくて、I love you.の直訳的な「愛しています」は、日本人にはなかなか馴染んでいないんじゃないかな、と前のエッセイと大差ない話です。「好き」「大好き」「大切だよ」で、充分伝わるんじゃない?

 ということでしょうか…

 そうなると、「好き」にはとても幅広い意味ができてしまうから、告白には勇気がいるんだよ、というのが、短歌のお話です。

 夜中の一発書き、危険だ。

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北乃銀猫
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