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短歌:もう一度かたつむり便

そう、君は「手紙出した」と言ったけど東京からは六日もかかる/銀猫
そう、きみは「てがみだした」といったけどとうきょうからはむいかもかかる

ええとたぶん、中身はわからないけれどLINEやメールじゃ伝わらないこと/銀猫
ええとたぶん、なかみはわからないけれどらいんやめーるじゃつたわらないこと

六日後に届いたらすぐ封を切ろうきっとやさしい時限爆弾/銀猫
むいかごにとどいたらすぐふうをきろうきっとやさしいじげんばくだん

 次世代短歌(短歌マガジン)で企画している「毎月短歌16」の連作部門において、選者の姿煮さんから「赤のアクアパッツア賞」と評をいただきました。ありがとうございます。

 この三首の連作は、こちらの二首連作の一首目を修正し、

あらたに三首目を作って「かたつむり便」と名付け、投稿したものです。

 姿煮さんのこちらの記事にあるPDFファイルにて、講評をいただいております。よろしければ、ご訪問くださいませ。

 前に挙げた「かたつむり便」にも書いていますが、東京から足掛け六日掛かって郵便が来たのは、ほんとうのことです。
 この間の前ケータイ時代の待ち合わせの話にも似ていますが、それ以前には固定電話すらない時代があった訳で、そんな時代の恋人同士の手紙のやり取りは、いまの世界から見るとまどろっこしいに違いありません。その時代の人たちにとっては、もちろんモバイルなんてないし、手紙の配達に数日かかるのは当然のことではありますが。

 そう考えると、わたしたちのこの時代においては、郵便(宅配メールも含めて)という伝達手段は既に嗜好品の域に入ってしまったのでしょう(物資輸送は別です)。いくら物価が上がったとはいえ、先頃値上がりした郵便の値段は、もはや必需品の域ではなくなったように思えます。

 手紙のやり取りのインターバルも、気持ちを落ち着かせるにはいい時間だったんだけどなー。いまの、LINEにしてもメールにしても、送ったらすぐに読まれるかもしれない切迫感って、生き急いでる気すらしてくるわたしは、古の人種です。

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北乃銀猫
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