映画の「リング」💍しか知らないあなたへ
一世を風靡した「リング」
たくさんのシリーズ、スピンオフ、リメイクを呼び、ハリウッドまで進出したジャパニーズホラーの金字塔とも言えます。
私は原作の大ファンです。
映画化されたときは、喜びながらも憤りも感じました。
ってか、いまさらリングについて??
と、私も思っています。
が、いまだからこそ、世代が変わったと感じる”いまだからこそ”言いたい!
という想いから綴ります。
「リング」のあらすじは・・・・・・
もう、いいですよね。
オチまで、ほとんどの方がご存じだと思いますので、勝手ながら進めさせていただきます。
「リング」のモデル
貞子の母「山村 志津子」にはモデルがあります。それが
「高橋 貞子」、「御船 千鶴子」、「長尾 郁子」
この3名が有名です。
それぞれが
「千里眼」「透視」「念写」
などの超能力、霊能力の基礎として、そして
それぞれがメディアのバッシングを受けている
という共通点があります。その原因が
作中の「伊熊 平八郎」
彼のモデルとされているのが
「福来 友吉」
彼は心理学者、超心理学者。東京帝国大学助教授、高野山大学教授。文学博士(1906年)(学位論文「催眠術の心理学的研究」)。念写の発見者とされています。
伊熊 平八郎も学者という、いで立ちからも福来 友吉ではないかと思われます。
原作「リング」主人公
主人公は貞子ではありませんし、浅川 玲子でもありません。
「浅川 陽一(あさかわ よういち)」
女性でもなく、霊感なんて一切ありません。
普通の家庭を持ち、普通の新聞記者。普通の男性です。
普通じゃないのは「高山 竜司」だけ。
普通じゃないといっても、高山も特殊能力はありません。伊熊 平八郎のように超心理学、形而上学にもっぱら「興味」がある、いわば「変態」なだけなのです。
本物の能力があったのは「貞子」
普通の人間が「貞子」と関わり、翻弄されていく物語なのです。
そこがまた、リアリティを感じる部分なんですよね。
人間臭いキャラクター
浅川も高山も、なんなら長尾先生(原作では重要人物)も、全員が人間臭い!
が、そこが好きなんです。リアリティなんです。
人によってはそこを険悪する人もいそうですが。
昔からスティーブン・キングが好きだった私としては、濃いキャラ設定が大好物で「相性」が良かった一因かもしれません。
キャラが薄い、あえて消していく作品も多く、いまではその傾向にあると思います。作品全体の雰囲気、世界観の維持という視点もあるかと思いますが、没頭感としてはキャラづくりは大切だと感じざるを得ません。
「らせん」
じつはこの「らせん」が一番好きです。
「リング」、「らせん」、「ループ」
この三部作が祖なのですが、「らせん」で度肝を抜かれ骨抜きにされたのです。
映画版「リング」と同時上映の「らせん」
監督・脚本 飯田 譲治 大先生
原作ファンから一言。最高でした!!
レビューや当時の評価なども
「わからない」=「つまらない」
が多く、まぁ、それが世論であり、しかたがないのもわかります。
しかし原作ファンからすれば「よくやった!」と同じ原作ファンなら言ってくれると思います!
「らせん」はそもそもウイルスという設定や前作リングとのつながり、暗号解読、全てが複雑すぎます。
しかし、よくもまぁそれをたった二時間以内でまとめ、映画版リングの影響で展開や設定も異なるさなか、原作の忠実感と、そして自身の「テレビ版リング」とも離れすぎず、全ての絶妙さがひしひしと感じられて苦労と想いが伝わりました。
のちに知ったことなのですが
「NIGHT HEAD」「Gift」「ドラゴンヘッド」も
飯田 譲治 大先生
だったのを知りました。全部大好きです。
「面白い」とおもう作品には、ほとんど作者が同一になる。これが「相性」だと実感した一つの経験です。
※補足
らせんの主人公 安藤 満男 役の
佐藤浩市さん
私のイメージ通りでまた武者震いました。
相性
因みに、誰も聞いてないでしょうが、個人的に
スティーブン・キング
代表作「グリーンマイル」「ミスト」「ミザリー」
ジェームズ・ワン
代表作 「SAW」「インシディアス」「マリグナント」
デヴィット・フィンチャー
代表作 「SE7EN」「ファイトクラブ」「ゲーム」
言いだしたらもっとあるんですが、ティム・バートンとか・・・
面白かった!誰が作ったの?!
あ、こいつかぁ、あ、これも?これも?
ってね。あるあるです。
飯田 譲治 大先生も、その一人って話です。
テレビ版「リング」
フジテレビ系列にて放映されていたテレビ版「リング」
知る人ぞ知るって作品。
連続ドラマの方じゃないですよ。
脚本がまた
飯田 譲治 大先生なのです。
映画版よりもこちらの方が原作に忠実で、原作ファンならこぞって「こっち!」と仰ることでしょう。
主人公 浅川役 高橋克典さん
貞子役 三浦綺音さん
高山役 原田芳雄さん
キャラ、役者としても大好きな長尾先生役 田口トモロヲさん
演技力は然ることながら、作品の華としての雰囲気、キャラが立っていまいた。
例えるならパイレーツオブカリビアンのジョニーのように。
※映画版「リング」を卑下しているわけではありませんよ。
ドラゴンボールのピッコロが5本指になったこと、ランチさんが居なくなったこと、飯田 譲治 先生の「Gift」が再放送されないことなど、コンプラや倫理委員会が絡んでくるのも分かります。理由を知りたい方は是非⇩へ
※ここからは少しネタバレ
まだ見ていない!原作を読みたい、という方はソッ閉じしてください。
両性具有
いまでは「性同一性障害」「ジェンダー」という言葉のほうが馴染みぶかいかと思います。
リングというお話の重要ポイントがこの「両性具有」です。
貞子という美しく魅力的でかつ、霊能という特殊能力がありながら、肉体的、物理的にも”稀”を兼ね備えてしまったということが全ての始まりであり、自身の遺伝子を残すことができない、種がつながらない、輪(リング)がつくれないという悲しい物語。
もう一つ重要なのが「天然痘ウイルス」
天然痘とは日本で猛威をふるったウイルスであり、唯一、根絶ができたウイルスとして有名です。
現在で天然痘ウイルスは
ジョージア州アトランタにあるCDCの施設
ロシアのコルツォボにある国立ウイルス学・生物工学研究センター
に保管されているようです。アメリカとロシアの二か所ですね。
このような隔離、保管されているという状態も、貞子が井戸のなかに落とされ、忘れ去られるという状況と似ていませんか?
父親とされている伊熊平八郎は、この天然痘に感染し身体を壊してしまう。その入院中に因縁の長尾という男が担当医として貞子と出会うのです。
天然痘に限らずウイルスの基本行動が「種の繁栄」「増殖」
貞子の想い、要望、目的がウイルス一致してしまうのです。この伏線が、らせんでは回収されていくのも興奮するポイントでもあります。
全体を通して
わたしは全体、この三作品を通して
「リング」は二次元世界
「らせん」は三次元
「ループ」は四次元、いや、多次元世界をも意識した作品だと感じて
作者 鈴木 光司 大先生
には恐ろしさをも感じました。
「ループ」のお話がそもそもぶっ飛んだ、読者の思考をまさに「裏切って」きました。らせんまでの既存ファンはすごい世界観に驚きを隠せなかったと思います。
しかし、作品公開の時期
・「ループ」初版発行 1998年1月23日
・映画「マトリックス」公開 1999年
・哲学者ニック・ボストロム
シミュレーション仮説の論文を発表 2003年
専門家ではないので、そういった仮説がずっと前からあったのかもしれませんし、分かりませんが
代表例
・ジェイムズ・P・ホーガン 『仮想空間計画』 1995年初版
・ウィリアム・ギブスン 『記憶屋ジョニイ』(映画『JM』)
といった作品は現実世界、我々の意識(三次元)を仮想世界へ
という観点です。
最後に
リングは、あくまでも物語としての「現物」・・
らせんでは、その物語が私たちの世界へと影響していく「現実」・・
ループでは、外で起こっている事柄、ループこそが現実の世界という「現存」・・・
五次元認識論すら感じるのはわたしだけでしょうか。
「多様性の損失」
現在の私たちの中に、貞子、リングウイルスはすでに感染しているかもしれません・・・・・・
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