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【蒸留日記vol.50】アン女王のレースことノラニンジンを蒸留してみる!
この頃になると道路脇のあぜや街路樹が植えられてる緑地帯の下にわんさか生えてる、ある雑草がおります。
見た目は6月上旬記事にしたアキレアにそっくりな花なのですが、アキレアではない似た花がわんさか咲いてきます。
なんといっても、毎年目に入らないことがないくらいありふれた雑草で、気になりすぎたので蒸留してみました〜という軽いノリでやったお話。。。
アキレアに似てたというのもあって、オイル採れるか試してみたんです。
■北海道で生きてて見ないことが無い雑草「ノラニンジン」
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北広島市郊外の廃道わきを覆い尽くすノラニンジンの花畑。
場所が場所なら、こんなにアホほど生えてくる雑草です。(ハーブだとは思っていない)
こんなに生えてたらひとまず蒸留してみたくなりますよね。おいらはなりました。
まぁようは今回の蒸留素材の収穫地はここなんですが、北海道…主に札幌周辺のこの時期見られる白い花といえば、ほぼノラニンジン。
さっきからニンジンニンジン言ってて、スーパーに売ってるニンジンと何か関係があるの?というと、大いにあるんです。
ノラニンジン=野菜ニンジンと同じ植物!ニンジンの原種!
なのです!!
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「にんじんの花」などとググると、ほぼこの花しかでてきません。
普通ニンジンは花が咲く前、若いうちにすっぽ抜いて収穫しちゃうんですが、花が咲くと英語圏でレースフラワーと呼ばれる白いポワポワした花が咲きます。
それもそのはず、
普段食べてるにんじん学名 → Daucas carota subsp. sativus
今回扱うノラニンジン学名 → Daucas carota!
ケッツにサブスピーシーズと栽培種表記がつく以外はまんまおなじです。
いわゆるノラニンジン(Daucas carota)は、食えるように品種改良される前のにんじん原種なのです!!!!
※ちなみに、ノラニンジンの根っこは細すぎて食用にするには足らないそう
だから太くしたんだろ、ってね。。。
ちなみにちなみに、ノラニンジンと聞いてもう一つ思いつく野草のヤブニンジン。
こちらも同じセリ科植物ではありますが、学名がOsmorhiza aristataです。Daucas(ニンジン属)ではないのでまったく別の植物です。
日本にニンジン原種が大量に生えている理由は三つ葉のクローバーやアキレア・ミレフォリウムと理由は同じ。
ヨーロッパから輸入された牧草の中でタネとしてやってきたからです。
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タネの繁殖戦略がめちゃくちゃ優秀で、動物の体毛なんかにくっついて運ばれる戦略をとったノラニンジン。
子供の頃友達の足回りや裾まわりにコレがめっちゃ付いてて、取るのめんどくさいだろうなぁ〜…と卑下していた思い出があります(笑)
そういう意味でもわりとこれには近づきがたい印象を持っていたノラニンジン。
毎年毎年腐るほど白いお花が生えてくるんだったら何か活用できんかなぁ〜〜〜と思いついたのが蒸留してやろうということです。
アキレアに瓜二つ!
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青いオイルの採れるアイツにめっちゃ似てるんです。
アキレアシーズンのとき、コイツかノコンギクかの見分けでめちゃくちゃ苦労しました。
素人が見るとほぼ同じにしかみえないはずです。
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ほら、ほらほらほら!
フレア状に緻密に開くこの花の構造!
放射状に小さい花が開く様は別科別属ですがここまで似たものになります。
ノラニンジンの見分け方
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ノラニンジンにはおもしろい特徴があります。
真っ白い花が開ききった頃、(モノによって)まん中にぴょこんと数mmサイズのちっっっちゃな赤黒い花が咲きます。
これおもしろいですよね。
どうやらこの赤黒いちっちゃな花がつくことが、ヨーロッパ圏での Queen Anne's Lace(アン女王のレース)という童謡?逸話となっているそうです。
レースを編んでいたアン女王が指に針を刺してしまい、滴った血が真ん中のコレ!というお話だそう。。。
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詳しい節理はわかりませんが、時期が揃えばわりとどの花にもアン女王の滴った血がついています。
みんな花の真ん中にぽちぽちと。。。
■じゃ、蒸留してみますか〜
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この時期とにかくそこかかしこに大量に咲いているので集めるのに苦労はしませんでした!
ホワホワとした白い花をひたすら詰んで25Lバケツに放り込んでいく作業。
ざっと1時間くらいでしょうか?
バケツを満杯にする程度、素材重量1313グラムを集めることができました。
実際ホワホワしてて軽いので1キロも集まった自信がなかったのですが、25Lも集めると1キログラムは超えるようです。
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意外と甘いTheお花!というような香りが漂ってくるので、甘い香りのオイルが採れるといいなぁ〜とか願いながら蒸留釜に叩き込みました!
アキレアのときは茎がゴン太な素材だったのでひたすら細かくしましたが、ノラニンジンは…細かくする必要はないよねという判断でそのまま蒸留としました。
贅沢にもお花だけですからね、素材部位。
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蒸留器から漂ってくる、どことなく嗅ぎ慣れたスーパーのにんじんコーナーの匂い+ハーブ的な匂い…
にんじんは花を蒸留してもにんじん的な香りがしてくることに驚きました。
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さらに驚きは続き、蒸留開始からものの20分30分でしっかり油層が確認できてしまいました。
まったく期待してなかったのに、にんじんの花からオイルが採れてしまいました!
しかし抽出ペースはラベンダーほど速くは感じなかったので、しっかり目の2時間は蒸留器を回してみました。
■蒸留結果は…!?
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セパレータに溜まるノラニンジン精油が美しかったのでついパシャリ。
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これまた全くの予想外!なんとオイルがしっかり採れてしまいました。
しかも我がブログ・noteの価値基準である蒸留1回あたりのコモンラベンダーの精油抽出量よりもラクに多くのオイルが採れてしまいました。
これは5mLアンプルなのでだいたい4.5mL以上、5mL未満といったところでしょう。
こんなもんだとは思っていなかった。。。
調べれば、ノラニンジン精油は世の中に存在するっちゃ存在するので・す・が、、、
値段が高すぎるので、蒸留経験してる人間からするとめっちゃ抽出量すくねぇんだろうなぁ…と予想が立ちます。立っていました。
しかし花からでも1キロ分から5mL近く抽出できてしまうようで、種子由来のオイルとはまた香り違ってくるんじゃないかーとも思っていたり。。。
■総評!!
素材重量を計算していることだし、いつもの収油率を計算してみますかぁー。
4.5mLないし5mL以下となったので、間をとって4.7mLとして計算して見ましょう。おそらく誤差範囲はプラマイ1mL程度のはずです。
抽出結果[4.7mL]÷ 素材重量[1313g]×100 = 0.357%
あれ、見間違いでなければ、ラベンダーよりも低い数値ですねコレ。
ラベンダーの1/10の収油率です。
ということはラベンダーの10倍採るのが大変ということに。。。
あれれれれ…
まぁなにはともあれ、オイルが採れるなら活用先が増えるので良しですね。
次に肝心なのが、ノラニンジン精油の香り、アロマ。
これビビったのが、あれに似てるんです!
アカマツとかストローブマツなどのパイン系精油に!
それもそのはず、誰でも参照できるノラニンジン精油の構成成分をみると、松系の主体成分であるα-Pineneが同様にノラニンジンも20%ほど含まれているそうな!ソース:こちら
他にはゲラニオールの酢酸体である酢酸ゲラニルが40%ほどを含んでいてこのαピネンと酢酸ゲラニルが精油の半分以上を構成しているようです。
となると、香りはマツ精油とかバラなどのフラワー系に似てくるよねーということがいえますね。
決してニンジンくさいわけではないのでご安心を!
![](https://assets.st-note.com/img/1660739249244-vvGu8nQ4vs.png?width=1200)
ではでは、やたらめったらに生えてる白い花の雑草ことノラニンジンを蒸留したら見事オイルが採れたよ!という回でした〜〜〜!
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