【蒸留日記vol.14】ニオイヒバの落ち葉からもオイルは採れるのか?
●働かざる者食うべからずとは言うけれど。。。
無職歴もいよいよ1年近くなり、プラス収入は無いにしろ毎日自炊はしなきゃならんので生活費で貯金が削がれていく毎日を過ごしています。
しかし5月には生産量増強を見越してラベンダー畑の大改修イベントが控え、いよいよ生活資金がキビシイ状況になってきたので札幌エリアでお仕事探してたんです。
頭髪に¥4000課金し、渾身の面接に挑んできたのですが、、、
どうやら「履歴書は不要である」と郵便で返送されてきました。
これ以上あなたの経歴書類は使用しません …… すなわち"落第"を意味するんでしょう。
何かの手違いで採用が決まってたのならば嬉しさこの上ないのですが、¥4000と新品リクルートシャツを投じた面接も虚しくこれ以上駒が進むことはなさそうです。
資金稼ぎの再就職活動は資本金を減らしたあと、再び振り出しへ。。。
地元に広げてしまった40品種300株のラベンダー研究農園を、出稼ぎで何年も放置するワケにはいきません。
自分が北海道人として誇りを持ち、北海道観光経済へ献身する、自分自身の生き様なんですから。
彼女も長らくご無沙汰な自分にとって、自分の手の内で育つラベンダーはもはや依存相手(パートナー)なんです。
なので管理の手が届かなくなるほど遠くに出稼ぎに出るワケにはいかないんです。
ラベンダーとともに生きるために、稼業(ライスワーク)を持たなければならないのですが、このご時世、この時代、大都市一極集中がそれを難しくさせてます。
ラベンダーを枯らして心身打ち砕くか、ラベンダーとともに人生を閉じるか、、、どちらかという瀬戸際です。
トーキョーのヒトっていいなぁー。
拾い上げてもらったクリエイター事務所にお金出してもらってSNSコンテンツ作り続けられる生活ができて。
それが農業人のおいらでもあやかれる方法があればなぁと。
●夕刻近く、雪の上をフラフラと。。。
上記のように、ここならば働ける!と覚悟決めた仕事の面接も落とされ、精神的にキたエフゲニーマエダは近所の廃線跡の雪の上をフラフラと放浪。
目に映る針葉樹を、
「サワラだ…」「ストローブマツだ…」「トドマツかぁ…」「おアカエゾだ」「ありゃドイツトウヒか…」
などとブツブツ呟き数えながら西日のほんのりとした温かさを頬に受け、悲しくなりました。
そう悲壮にまみれてほっつき歩いてたワケです。。。
(サワラたくさん生えてればなぁ、オイル採ってみたかった)
で何を思ったか、街の反対側にある大きな排雪場へ車を走らせてました。
まるでスキー場ゲレンデのように大きく広がった除雪山のてっぺんから地元の街並みを眺め、小学生の頃からなんら変わらない街の景色を眺めつつ、
「俺だって大きくなりたくなかったよ、ずっとあの頃のままでいたかった」
などとボソボソ呟いてました。雪山のてっぺんで。
客観的にこれらをみると相当来てるっぽいですね、精神的に。
石油王以外に生まれ、ライスワークを持たないままでいるとどうやら人間はこのようにおかしくなっていくもよう。
こう自分を客観的に観察することしかできません。
ただ無心に、雪解けが始まって埋まらずに歩けるようになった雪の上をザクザクと歩き回り、木の種類を確かめて歩いてました。
フラフラと。。。
そこで"ヒノキっぽい大木が集まって植えられている場所"に出たんです。
僕の地元の三笠市は開拓の歴史が濃い街なので、本州や外国から持ってこられた外来樹が多々植えられていたりします。
でヒノキっぽい木々のまわりに緑色の葉っぱが散って落ちているのを発見。
このときはまだ『ヒノキなのかニオイヒバかどっちなんだろう?』くらいにしか思っておらず、葉っぱを拾ってはまじまじと眺めてたんですね。
葉っぱの裏を爪でまさぐると、プチッという感覚が伝わります。
次に香ってくる"甘く明るいレモン"のような匂い。
ニオイヒバ(Thuja occidentalis)の葉っぱでした!
そして精油袋のような組織が葉っぱの裏にあることに気づきます。
落ちてから今まで雪中に保存されてた葉っぱなら、オイル採れるかも、、、!!
気づけば買い物袋を車からとってきて、無我夢中で葉っぱを素手で拾い集めるエフゲニーマエダがいました。
悲しき無職の男が雪の上に散らばった落ち葉を、必死こいて拾い集めてるのです。
●買い物袋いっぱいに溜まったニオイヒバの落ち葉
太陽が水平線下に落ちてもなおしばらく、空が青くなるまで、雪の上で目につく葉っぱは一通り拾ってました。
なのでそれなりにズシッとくるほどの重さに。。。
ニオイヒバ も意外と葉っぱ散るもんなんだなぁ〜と思わされました。
針葉樹って、基本的に古くなった葉っぱしか落とすイメージがなかったので。
しかし小1時間ほど拾い集めた一見緑色をした落ち葉が、寿命がきた古い葉っぱだったとしたらオイルの含有量も少ないものになるなぁと案じていました。
古ければ水分とともに油分も揮発してカラカラになってしまいますからね。
25リットルある蒸留釜にあけてみると、意外な物量でした…!
まさかこんな物量を雪の上で拾い集めてるとは思わず。。。
ニオイヒバ(Thuja occidentalis)といえば山など自然環境には一切生えず、住宅の庭木であることがほとんど。
なので、オイルを採ろうとすると雪で折れた枝や剪定現場に出くわしたら声かけて譲ってもらうなどでしか得られない植物素材!
しかしそのような貴重なニオイヒバが落ち葉として入手できるとなると、アロマオイル作りの状況がかなり好転することになります!
落ち葉でのオイルづくり=究極のエコ!
落ち葉は、伐採枝葉とちがって毎年毎年決まった量生えてくる再生資源です。
樹木をはじめ植物が光合成をして二酸化炭素と水から自分のからだを作り上げるように、毎年新しいものを大量に作り上げます。
樹木を切り倒して得ている資源ではないので、落ち葉からオイルが作れるとなると毎年安定して得られる究極エコな可採資源ということに!!!
これをサスティナブルとか持続可能化とかっていうんですよね?
緊張の瞬間、、、落ち葉からオイルは得られるか?
蒸気が冷却管まで通り、蒸留水が滴るといよいよ答え合わせの瞬間です。
オイルセパレータ内に広がる液面に、エッセンシャルオイルの油玉がどれだけ浮かぶかでニオイヒバ落ち葉が活用できるかできないかが決まります。
セパレータに蒸留水が溜まりはじめた上の画像だと、見えづらいですが大きく丸い油玉が浮かんでいます。。。
しっかりエッセンシャルオイル、精油が抽出されました!
どうやらニオイヒバの春落ち葉でもオイルは採れるようです!
◆落ち葉にエッセンシャルオイルはどれだけ含まれていたか?
なので1時間あまり葉っぱを拾い集めた結果、これほどのエッセンシャルオイルが手に入りました。
オイル層が薄くへばりついてるワケではないので、悪くないYield(採油量)です!!
研究資金があればミリグラム測れる器具持ちたいんですけどね。
今回蒸留での、最大の発見…!
そして本日得られた何よりの情報収穫は、
ことでした!
省力化や脱化石燃料、エコや持続可能性が叫ばれるこれからの時代において、おそらく農林産業においての"エコの進歩"を見出せたと思ってます!
そしてこのまま夏を迎えれば土に還ってしまう運命だった落ち葉から、ニオイヒバのもつ個性的なアロマを都会の皆さまに何らかの形でお届けできればと願って思うばかりです…!
落ち葉からオイルが採れることを発見したので、次にあることも思いつきましたので次回の予告とします。。。