【蒸留日記vol.17-2】キタゴヨウの葉っぱだけを蒸留する!
前回、キタゴヨウの松ぼっくりだけを蒸留し松ぼっくり精油を採ったのに対し、今回は葉っぱのみからの新鮮な精油を抽出してみます!
はたして香りや色味、採れる量は変わるだろうかッ!?
ではLet's Distillatio〜〜〜〜〜n!
■キタゴヨウマツの葉っぱを蒸留する。
先の松ぼっくり精油の記事でも述べたように、ゴヨウマツ類はたくさん仲間がおります。
九州代表のヒメコマツやら、東北代表のハッコウダゴヨウマツやら、北方種のキタゴヨウやら、朝鮮半島代表のチョウセンゴヨウなど。。。
なかには葉っぱが真っ白な変種もいるそうですよ…!!
これらをひっくるめてゴヨウマツと呼びます。(いわば総称)
その名前の通り、葉っぱの付け根を観察するとしっかり5本で針葉がついてるんですね!(上記画像)
ほかの日本でありふれたアカマツやクロマツは2本で、平成林業の蒸留マガジンで人気なストローブマツ(北米原産)は5本だったりします。
-材料調達編-
キタゴヨウの葉っぱは前回の松ぼっくりと同じ場所から回収しました。
街路樹からブチブチ大量にむしり取るのはいただけないので、大雪で落ちた枝葉からもらうことで環境負荷を抑えます。
25L釜を満杯にできるくらいのボタニカル量は確保できた感じ!
あれだけの大枝が折れていれば、葉っぱも困らないほどGETできます。
遠目でぱっと見、トドマツ葉っぱを思わせるサイズ感ですね。
前回の成果から半信半疑だけど、松ぼっくり精油の少なさを見返す分、葉っぱ精油は採れてほしいですね!
が、しかし・・・
■精油はどれだけ採れた?
あーーららやっぱり。。。
蒸留時間の長さのわりに、うすーく若干色づいた精油が溜まっています。
キタゴヨウは松ぼっくりに続いて、葉っぱからも精油はあまり採れませんでした。
ボタニカル材料は釜を満杯にするほどの量詰めたはずなんですが、そもそもオイル分を持っていなかったようです。
ヘルシーなやつなんですねゴヨウマツって。
-香り・アロマの特徴は?-
歩留まりは2.5mLほどでした。(っくぅ〜〜〜〜!)
おもしろいことに、①松ぼっくり精油と②葉っぱ精油では、香りが全く違っていました!
前回抽出した松ぼっくり精油が芳醇な香りなのに対し、
葉っぱ精油はマツ類おなじみのパインアロマ感に加えて、若いトマトのような酸っぱいアロマがあります。
ここが最大の特徴であり、部位による違いでしょう!
トマトのような酸っぱい香りは刺激臭に近い部類のアロマなので、おそらく分子構造が小さく軽い芳香物質由来のはずです。
松ヤニとして長時間外部環境に晒されていた松ぼっくり精油と比べて、葉っぱの細胞内部に格納されていた精油成分は酸化されておらず新鮮で、そういった精油のおかれている環境の違いが香りの差を生んでいる可能性もありますね!
酸化作用によって酸素がくっつくと分子の重量は必然的に重くなりますから…
■総評!
これを先にハッキリ述べておきます。
これがハッキリとわかりました。
精油の特徴としては、マツ属のなかでは珍しく色づいたまろやかな香りの精油が採れることです。
それはほかのマツ類にはみられない、ネロリドール(Nerolidool)を含むからだとか…
そして抽出部位によっては、アロマの表情がぜんぜん変わることもキタゴヨウ精油の魅力のひとつじゃないかと思います!
しかし精油がぜんぜん取れないので、販売ベースにはなかなかできないとは思いますが。。。
P.S.
地元でニオイヒバの落ち葉スポット探しをしていた道中、キタゴヨウのボッキリ折れた大枝が落ちていたスポットを発見しました。(以下画像)
葉っぱと松ぼっくりからはぜんぜん精油が採れないのはわかったんですが、写真のとおり、幹(木部)からは当然であるかのように透明で新鮮な松ヤニがだらだらと滴っていました。
しかしカラマツ木材の輪切り蒸留から得られた知見として、木部は蒸すだけじゃぜんぜん精油は出ないっぽいので、茹でてみようかと思ってます。
ゴヨウマツから精油を採るなら木部からが最適なのかなぁー?
と思った次第でした!(この枝貰おうか…)
【水蒸気蒸留マガジン】