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在野のグッドほとけ#3 名古屋-新四国八十八ヵ所巡り

名古屋・覚王山駅の北に日泰寺というお寺がある。タイ語が色々なところに書かれた珍しいお寺で、国内の寺院では面白い立ち位置で存在している。ただ今回はその周辺で昔から行われている(ちょっとカオスな)「覚王山新四国八十八カ所霊場巡り」を取り上げたい。

覚王山新四国八十八カ所霊場巡りとは

日泰寺の門前にあるスタート地点

新四国八十八ヵ所巡りは、日泰寺の参拝者を増やすために明治頃に始められた。四国の八十八ヵ所巡りに見立てた札所(お堂)を日泰寺周辺に作り、再現した「ミニ四国」を順番に回ることで、功徳を積もうというものだ。

これがなかなかカオスで、わずか数キロの範囲内に八十八ヵ所ものお堂が建っており(実際の数は不明)、それぞれのお堂は別の方が管理しているので、何ともオリジナリティのあるカオスな空間が展開されているのだ。

お堂の形式がバラバラで面白い

まずは建物を見ていこう。各札所には番号が割り当てられているのだが、それぞれが独自のスタイルのお堂を立てている。この写真だけでも、瓦屋根に扉あり、瓦屋根で扉なし、バラック風、野ざらしなど様々である。

奥にずらっと並んでいるのも全てお堂

柱が水色のあずまやのような形式のものもあったり、

33番札所

もう完全に家になっているお堂もある。狭い範囲に恐ろしい数のお堂が建っていて、しかもそれぞれが全く違うデザインであることは非常に珍しい。お祀りされている仏像にしても、個性の幅がすごい。

個性が爆発する石仏群

1番札所

スタート地点である1番札所はこういった形。お堂の形はかなりオリジナリティがあるが、仏像としてはスタンダードな印象。もう少し進んでいこう。

こなれ感のある弘法大師

22番札所の弘法大師

この弘法大師像は、お守りされている方の想いからかニット帽をかぶっている。絶妙なこなれ感と差し色。一昔前のファッション誌に出てきそうだ。

ちなみにめちゃくちゃ小さいので、見に行く方は見落とさないように。

きれいな衣の化粧仏

六十四番と六十五番の間

化粧仏(彩色が施された仏像)が置かれているお堂がいくつかあった。なぜか実家で見かける仕切り?みたいなものがかかっている(台所とリビングの境目とかにかけるやつ)。紺色が淡くてきれいだが、この信仰の形も普通のお寺だとなかなか見かけない。

凛々しいまゆげのお地蔵様

ついに顔を書いてしまうお堂まで出てくる。多分一旦真っ白に塗ったらお顔がのっぺらぼうになってしまったので、書き足したのではないだろうか。

やたら眉毛がりりしいのが気になる。星飛雄馬か?

石仏ありったけ集合

四十四~四十六番札所

みんな集合してカオスになってる場所もあった。身の回りの石仏全部集めてみたような空間。

よくみたら仏像大集合の中にメタルスラッグのモブキャラみたいな帽子の被り方をしている方も。

↑参考、メタルスラッグのモブ

いろんなものがお堂の中に

三十八番札所

いよいよカオス。お堂の中に色々なものを全部入れてしまったところもあった。

これはお参りしても良い状態なのか?

ただワンコはウェルカムと言っていた

各所ここまで個性的だと、終点にどんな仏像が待っているのか気になってくる。

終点はリアルなお坊さんが迎える

八十八番札所の一番奥

ラストはまさかのリアルなお坊様の像。こちらも弘法大師像なのだろうか。

今にも動き出しそうなリアルさである。あるいは八十八ヵ所をめぐる巡礼者の姿なのか。

おわりに

信心がそれぞれの家庭の形で自由に表されていて、大変興味深い石仏群だった。ここ以外にも、毎年子供たちがお地蔵さんに色を塗り替える地域もあるようだ。元々は参拝者増加のために明治時代に後付けで作り出した取り組みのようだが、面白い形で文化が発展し、現代に伝わってきている。(最も、参拝者の方もかなり少なく、また堂守の方々も引退していっているとのことだが。)

個人的に好きだったのはスタート地点にあったこちらの弥勒菩薩像。表情が仏様の顔というにはかなり人間的で、もしかしたら身近な誰かをモデルに彫ったんじゃないだろうか。これだから石仏は面白い。

インスタアカウントも更新中、要チェック。

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