数年ぶりにドラムをプレイ!セッションに参加して感じたこと
先日の3連休、あるお誘いを受けてミュージックバーでドラムをプレイしてきました。
学生の頃からずっとドラムをプレイしてきましたが、最近は家の都合でプレイする機会が全くありませんでした。
そんな中、シンガーソングライターとして活動している方に、セッションナイトがあるから参加してみないか、とお誘いをいただきました。
プロのギタリストとボーカリストのユニットがホストで、セッションは飛び入り参加歓迎ということなので、久しぶりにプレイしてみようか、と足を運んだというわけです。
かつては10数年ほどバンド活動をしてはいましたが、数年のブランクがどう出るのか、やはり思ったようにプレイできないんじゃないか?と心配もありました。
果たしてどうなったのか…?
今回は、私とドラムについてちょっとお話させていただきます。
ドラマーとしての活動遍歴
私がドラムを始めたのは中学生の頃です。
以前記事にもしましたが、BOOWYやBUCK-TICKといったバンドに憧れた時期。
友達がギターを買った事がキッカケで、バンドを始めることになりました。
私は楽器を持っていなかったので、消去法でドラムを担当することに。
近所の公民館のリハーサルルームにアンプやドラムといった機材があったので、そこを借りて練習していました。
とは言え、「バンドの真似事」のような感じで、ライブができるほど形になった訳ではないですが、それが私とドラムとの出会いです。
中学生の頃はロックとは別にフュージョンも聴き始め、より楽器への憧れが強くなっていました。
その流れで高校時代は吹奏楽部でサックス始めたのでドラムからは離れましたが、音楽的な基礎やアンサンブルについて多く学びました。
そして大学生の頃。
これまたフュージョンへの憧れから、安い5弦ベースを買って大学の軽音楽サークルに入りましたが、それとは別のバンドに誘われて、何故かドラマーとして加入することに。
その後全ての楽器を手に入れて一通りやってみましたが、一番続いたのはドラムでした。
今は違うかもしれませんが、ドラムはギターやボーカルに比べると地味な存在。
自分の楽器を持とうとすると大変ですし、練習場所はもちろんのこと、保管場所、移動方法も確保しなければならない。
そう考えると始めるのにハードルが高い印象。
でも、大概のスタジオにドラムはあるので、スティック一式買ってしまえば始められる手軽さもあります。
いくつものバンドを経験しましたが、時に悩み、それを解決してゆくという中からさまざまな経験をしました。
特に大学時代はスタジオ完備の学校だったので、軽音楽サークルも盛況。
かなり優秀なプレイヤーが多かったので、彼らとのセッションの中で多くの経験を積むことができました。
各々バンドを組み、スケジュールを組んで練習するのですが、自身のバンド練習の予定がない時でも集まって、ジャムセッションに興じてました。
テスト期間も関係なくやってましたね。
大学へはドラムを叩きに行ってたようなもんです。
もちろん学祭のライブに向けて練習してましたし、ライブも楽しかった。
今考えると充実した学生生活でしたね。
社会人になってもバンド活動は続けました。
学生時代のサークルから飛び出して、自分の実力を試したかったのです。
オリジナル曲を演奏するバンドにも入って、下北沢でライブをやったりもしました。
デモテープを作ってライブハウスに持ち込んで、オーディションライブを経て、晴れて出演権を勝ち取ってブッキングライブに出て、チケットを手売りして…と言ったことも経験しました。
あまり長続きしませんでしたが。
学校にも1年通い、則竹裕之さん、外薗雄一さんに師事しました。
そこで基礎を学べたことは大きかった。
ただ、当時組んでいたオリジナル曲のバンドはあまりうまくいかず、より自分のやりたい音楽へ傾倒していくことになります。
当時好きだったアニソンだったり、声優さんの曲だったりコピーするバンドをやってみたい。
今よりもマイナーなジャンルでしたが、インターネットを通じて同じ趣味を持った仲間がどんどん集まりました。
ライブハウスを貸切にして合同イベントをやって、対バンのメンバーと仲良くなって、そこから新たなバンドが生まれ…。
学生時代よりも濃密にバンドに関わっていきました。
プレイヤーもシンガーもレベルは様々。
でも私は優秀なプレイヤーや輝かしいシンガーに恵まれ、楽しいバンド生活を送る事ができました。
しかし、2015年から家庭の都合でバンド仲間とは疎遠になってしまい、ドラムもプレイしなくなってしまいました。
たまにスタジオに誘われたり、個人的にスタジオに入ってプレイしていましたが、コロナ禍がやってきてそれどころではなくなってしまいました。
もう何年ドラムの前に座っていないのだろう?
再び始めようにもブランクが長すぎて、きっと満足いく演奏はできないでしょうし、リハビリも必要。
でも、今の私にそんな時間はありません。
数年ぶりにセッションに参加してみたら…?
しかし、そんな私の元にひとつのお誘いが。
ミュージックバーでプロの方とセッションができるイベントがあるというのです。
ちょうど3連休なので、1日だけ時間を作ってバーに行くぐらいなら余裕があります。
軽い気持ちで足を運んで、何杯かお酒を飲んで、数曲セッションできるのなら気軽に参加できますし、今どの程度のレベルなのかも確認できます。
お誘いいただいた方に快く返事をして、当日を楽しみに待つことになりました。
会場のミュージックバーは思ったよりも広く、明るい。
ただスタジオではなくバーですから、機材は小規模。
ドラムも小口径のコンボキットです。
それは当然。
これ以上大きなキットやアンプで音を出すと、住宅街の真ん中にあるバーですから途端に苦情が来てしまいますからね。
イベントの趣旨は、バーのマスターが中心になって、知り合ったプロの方を呼んで自由に演奏しよう、というもの。
ユニットで活動しているギタリストとボーカリストのデュオでした。
参加者は10人ほど。
他のパートも、主に知り合いのプレイヤーを呼んで、曲ごとに楽器を担当するというもの。
私のようにお誘いを受けてやってきた人もいます。
他にドラムをメインでプレイする方がいなかったので、私が主にドラムを叩くことに。
それ以外にも、パーカッショニストもいれば、ウクレレを弾きながら歌う方もいます。
全パート揃っていますから、歌うだけでもOK。
楽器隊だけで適当にジャムセッションをするのかと思いきや、曲の演奏が中心。
「次は〇〇をやりましょう」と言われたら、それに即したパートが呼ばれます。
割とロックだったりポップスだったりブルースがあったりとジャンルもバラエティに富んでいて、ギターもアコースティックではなくエレキをアンプに繋げて演るもんですから、ドラムもしっかり出番があります。
とは言え、普段のスタジオやライブハウスのステージ上のように、音量を気にせず爆音で演奏するわけにはいきません。
音量に気を使い、持っているスティックの中でも一番短く、チップ(ステックの先っぽのこと)も小型のものでプレイします。
確か、ジェフ・ポーカロモデルだったような。
1曲目はベン・E・キングの「Stand by Me」。
映画でお馴染みの曲ですね。
当然知っている曲ですから、リズムパターンも感覚でわかります。
曲構成はフリー。好きなだけフレーズを繰り返し、終わり方など目配せで合図をもらいます。
1曲演ってみると、思いのほかしっかり演奏できました。
途中で曲構成に戸惑うこともなく、周りの空気に合わせて最適なリズムパターンを刻み、しっかりフィルも入れる。
あれ?思ったよりできるじゃないか!?
その後は、オリジナルのブルースの曲だったり、レベッカの「Rapsberry Dream」だったり、もんたよしのりさんの「ダンシングオールナイト」だったり…。
割と年齢層は高めのようだったので、子供の頃によく聞いていた曲が並びます。
個人的なハイライトは、ローリングストーンズの「Honky Tonk Women」。
歌詞が目に入ったので、「やるんですか?」って聞いたら、「じゃあやろうか?」というノリ。
ブリティッシュロックのド定番だと思うので、さすがにみんなすぐにできる様子。
「でもカウベルがないですね」と私。
なんせ、曲の始まりはカウベルのリズムなのです。
別になくてもできますし、さすがにカウベルなんて誰も持っていないと思ったので口にしたのですが……
「カウベル、ありますよ!」という信じられない言葉が!
なぜカウベルが?この曲のために用意されたのでしょうか?
ただ、ずっと一定のリズムを叩き続ける必要があるので、手が空いている方に協力してもらうことに。
まさかの豪華なセッションになりました。
私も中学生の頃から好きなこの曲をプレイできて嬉しかった!
気持ちも楽だし、お酒も入っているのもあると思いますが、久々のセッションはやはり楽しい!
そして驚くべきことに、大学のスタジオで延々とジャムっていた頃や、アニソンのバンドオフで初めてプレイする人たちと初見の曲を演奏したり、といった感覚がみるみる蘇ってくるじゃないですか!
本格的に始めてから10数年プレイし続けた経験が生きたのでしょうね。
一度体に染み込ませると、なかなか抜けないものなんだなぁと感心してしまいました。
確か「土曜ソリトンSIDE B」で、高野寛さんがこんなことを言っていました。
「今は打ち込みが流行ってるけど、せっかく打ち込んで作った曲もセーブし忘れて何かの拍子でデータが飛んでしまったら台無し。でもギターは一度体に覚え込ませてしまえばいつでもプレイできるので、こんな贅沢なことはないですよね」
あれから約30年ほど。
あの時の高野さんの言葉を身をもって体感することになるとは…。
今までと同じようにプレイできることがわかったのなら、プレイにも力が入るというもの。
サビのフィルとか思わずいつものように叩いてしまって、近所迷惑にならなかったかな…??
それでも、一緒にプレイした皆さんも楽しんでいただけたようで、「すごいね」「本当にブランクがあるんですか?」なんて声をかけていただきました。
そして、プレイを通して意気投合するのもセッションの楽しいところ。
連絡先を交換した方もいましたし、最初は誘ってくれた方としか話せなかったのに、終わってみるとほとんどの方と打ち解けたり。
アンサンブルのインプロビゼーションと、演奏を通しての出会い。
セッションの楽しさを数年ぶりに思い出した、楽しい時間でした。
これからの活動
再びバンドを組もうとなると、定期的に練習が必要ですし、バンドとしてまとまってきたらやはりライブがやりたい、という欲求が出てくる。
ただ、今の状況ではそれが難しい。
時間もパワーもあるけどお金がない若い頃とは大きく変わってしまったのです。
でも、一夜限りのセッションなら気軽に参加できます。
なんとか都合をつけて夜にバーへ繰り出せば、演奏を楽しみたい仲間が集まってセッションが始まる。
言葉にすると大人な雰囲気ですが、きっと今の私にはこれぐらいの音楽の楽しみがちょうど良いのでしょう。
事情により音楽から離れる事になりましたが、共にセッションしてくれた方々が喜んでくれたり、かつて一緒に活動した仲間が「また一緒に演りたい」「またsigeさんドラムが聞きたい」と言ってくれるのであれば、少しずつでも続けられたら…と考えるようになりました。
多くのスケジュールを活動に割かなければならないバンド活動に復帰するのは無理ですが、たま〜にセッションに参加する、ぐらいの活動なら今後もできそうです。
また時間を見つけて参加してみようと思います。
長く続けていたことが「経験」として蓄積されたおかげで、とっさのセッションにも対応できた。
思っていたよりもイメージ通りにプレイできたことが驚きでした。
また、どれぐらい出来るのか心配していましたが、このレベルまでできればもう心配することはないでしょう。
新たな発見がいくつもあった1日でした。
発見といえばもうひとつ。
これはあまり良くない傾向ですが…。
木材は湿気に弱いもの。
何年も使わずに置きっぱなしだったスティックが、経年劣化でプレイ中に折れてしまうかもしれないので、バーに行く前に新たに1セット購入することに。
いつも使っているモデルに近いものをチョイス。
VicFirthの5B。
メーカーごとに細かな違いがあるものの、スティックは太さや長さにある程度の規格があり、私は手の大きさから大体5Bを使っています。
そして、VicFirthはアメリカのメーカー。
国内メーカーも作っていますが、ドラムに関する製品のほとんどは輸入品です。
選んだスティックをレジへ持って行ってびっくり!
2400円もする!?
以前は1200円程度だったのに!!
数あるメーカーの中でもVicFirthのスティックは高い方でしたが、この価格には驚きました。
恐らく、他のメーカーのものも同じように値上がりしているのでしょう。
調べてみると、ネット通販ならやや安いようです。
それでも2000円弱。
これは恐らく、資材費や燃料費の高騰と円安の影響でしょう。
我々世代は10数年前の相場を知っているので驚きますが、今の若いプレイヤーはこの相場しか知らない可能性がある。
スティックは消耗品ですから、なんだか今の若い人プレイヤーたちが可哀想になってきます。
早く戦争が終わってほしいし、円安傾向も終わりを迎えてほしいですね。
タイトル画像はセッションの時に撮影しました。
元々記事にするつもりはなかったので、参加者やバーに許可を得なかったため、あまり詳細は書けませんでした。
今度セッションに参加できる機会があれば、ちゃんと許可をとってレポートのような形でお届けできれば、と思っています。
■お知らせ
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ドラムの話もこれから充実させていこうかな、と思ってます。
興味のある方はこちらも是非!よろしくお願いします。