「幸福感性」 佳川奈未
「幸福を築く感性とは、自分の内側に目を向ける感性です。」
「幸福感性」 佳川奈未
佳川奈未さんのブログに掲載された、とくに反響の大きかったエッセイをまとめたのがこの本です。
「まえがき」で、いきなりこんな話がありました。
「あなたは、もし腕があったら、何を一番したいですか?」
阪神淡路大震災のあと、傷ついた子供たちを励ますために、神戸でコンサートが行われました。
それは、世界各国から集まった身体に障害を持つ音楽家たちによる愛にあふれたコンサートでした。
コンサートのあと、子供たちが障碍を持つ音楽家の方に、いろいろ質問する時間がありました。
ある一人の少年が、ミュージシャンに音楽と関係ないことを聞きました。
そのミュージシャンは
両腕のない男のミュージシャンでした。
「あなたは、もし腕があったら、何を一番したいですか?」
まわりにいた人はヒヤッとしたそうですが、その腕のないミュージシャンは、こう言いました。
「僕に、もしも、腕があったなら、愛する人をたった一度でいいから、思いきり抱きしめてみたい!」
そして
「だからみんなは、愛する人をしっかり抱きしめてあげてほしい、どうかその腕で!」
「そうか、僕にはやろうと思えば、できることがいっぱいあったんだ!」
そう気づかせてくれた、佳川さんのこの本。
幸せになるということは、自分の内側に向かい、感謝の気持ちが自然に出てくることだったんです。
佳川さんはあとがきに、こう語っています。
「幸福を築く感性とは、自分の内側に目を向ける感性です。」
佳川さんのブログのエッセイですから、体験談や日常感じていることなどが書かれてあるのですが、そのお話のひとつひとつが、佳川奈未流・対機説法
であり、とてもとても重みがあります。
とても心が軽くなった話がありました。
物事や気持ちがいきづまったとき、私はいったんそこから離れるようにします。そうすることで、違う流れがやってくるからです。
もしも、すごく追い込まれて、生きる勇気も出ないほど落ち込んだなら・・・
佳川さんは、このようにしました。
たとえば、会社を辞めたくて辞めたくてしかたなくなって、毎日、朝起きるのも辛くて、家を出たあとの足どりも重く、電車に乗る気力もないようなとき、いまだから言えますが、私は会社をずる休みしていました。
(中略)
私はここで会社をずる休みすることを推奨しているのではありません。
心底辛くなったり、何かにいきづまったときには、いったん休息する勇気を持つことも大切だとお伝えしたいのです。
休息することを知らないと、よくない状況を次へとつなげたり、さらに悪化したものを生み出すことになったり、しまいには自分が倒れたりしていまいます。
結局そのほうが、自分にも、関係するすべての人にも、迷惑をかけることになるのですから・・・・・・。
休息する勇気を持つだけで、そこから救われ、流れを好転させられます!
辛いときにそこから離れる勇気を持つというこの言葉は、僕にとっては有難い言葉でした。
言葉について、こんなお話もありました。
奇跡を呼び込む復活術、それもまた「愛」なのですが、それは「ありがとうございます」と「感謝します」という心と言葉と態度を惜しみなく魂から放つことでもあります。
そうやっているだけで、言っている本人も言われた相手も、心の中に愛がわきあがり、豊かなものが満ち、ひろがり、まるで魔法のように事態が好転するのです。
「無尽蔵」という言葉を、神戸の御住職さまに頂いたお話がありました。
「夢を語る人に、みんなよろこんでついてくるんですよ、人も仕事もお金もね。」
「おかげさまです」という感謝の気持ちと笑顔
そして
愛を言葉として伝え、夢を語ることができる
そうなれば、良いことが奇跡となって、もたらされやすくなります。
そんなことを教えてくれた本でした。
【出典】
「幸福感性」 佳川奈未 PHP文庫