「知ることより考えること」 池田晶子
「他人を気にして、他人と幸福を競おうとするから、人は不幸になる。」
「知ることより考えること」 池田晶子
僕は考え込みました。この本を読んで。
しばらく考えていました。
考えても、考えても、やっぱりわからない。でも、考えないといけないと、また考えました。
池田晶子さんの言葉は、書かれている言葉を額面どおりに受け取ってはいけない。逆説的にも考えなければならない。深く、深く、考えないといけない。
辛辣な言葉がありました。
自身(池田晶子さん)の考えを
押しつけているのではないか
という言葉もありました。
しかし
そんなことを超越して、心に深く突き刺さるものがあるのです。
本当に人は、どこまで深く考えているのだろう。
考えていると言いながら、僕自身は全然考えられていないということを、読んでいる瞬間につきつけられました。
僕は考えるというそのものに、
全然至っていないということ。
池田さんの言葉を浴びつづけていると、言葉が感情に変換され、文字という記号が自分の体の中心に確実に「?」という根をおろします。
その「?」とはなにか?
生とは?
死とは?
考えることとは?
今ここに存在しているということは、当たり前のことなのだろうか? 不思議ではないのか?
外からの情報や、今まで生きて学んできた当たり前が今の自分をつくり、それがごく当たり前として成り立っている。
しかし
思索することによってその当たり前が揺らぎ、もののみごとに崩壊してしまう。
考えること。
考えるとは「本質の洞察」を行うことだと池田晶子さんは言います。
宇宙の神秘もそうですが、身近なことを考えると、自分が今ここに存在すること自体がとても神秘だと思いませんか?
人間、生まれてきたことによって必ず死ぬ。
今生きていることは、幻想の中に生きていることなのではないかと、近頃よく考えるようになりました。
今を幸せだと感じる。
このことが、幸せなんだと思っています。
不安になって、いろいろ先のことを考えてしまいますが、なるべく先のことは考えないようにする。
今この瞬間、生きていることに喜びを感じ、自分が活き活きとするようなことを見つけるようにする。
人と比べない。比べてしまうことによって、嫌な思いになるし、そうなるなら比べない方が幸せを感じる。
過去を振り返ったとき、
「どうにか今までやってきたんじゃない!」
「辛いこともいっぱいあったけど、今こうやってここに生きているじゃない!」
だから何とかなりますよ!
先のことは先で考えたらいいし!
考える(本質の洞察)ことをするということは、生きている上で「怖さ」を軽減できるのかもしれない。
考えて、考えて、怖さを軽くすることで、幸せをより実感できるようになるのかもしれない。
そのことをこの1冊を読んで、深く考えたのです。
最後に
嫌な思いを回避するには、こう考えればいいのではないかと、この言葉を心に刻みました。
【出典】
「知ることより考えること」 池田晶子 新潮社