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書評『日常に侵入する自己啓発』① A-

学生が卒業して働きはじめるとき、一部の人間にとってはこの自己啓発本ってやつが必要になるみたいだ。それは、0であったものを1にするためのものでそれまで社会的に何かを生産することを求められてこなかった「モラトリアム」にいた人々をいわゆる「社会人」にするための教育カリキュラムとして使われているようだ。

自己啓発本に対する批判は、体系的なものを見たことがなかった。それは、私の学術分野における論文漁りが下手くそなせいかもしれないが、書籍レベルでまともに批判している本が見当たらないことによるイメージだった。

6年前の著作になるのだが、私の「自己啓発本に人はどう相対するべきか」」という問いに対して十分な答えを示してくれそうなのが『日常に侵入する自己啓発』であった。

後に書きたいと思っていたのだが、学術分野について書籍を漁るときは基本書を3冊以上通読すべしというのがセオリーである。例えば、この『日常に侵入する自己啓発』であれば「社会学」を基本として構成されるため、門外漢の私が言及するためには「社会学」の基本書を3冊こなさなければならないのが佐藤優氏の『読書の技法』における主張であり、その部分には同意できる。

この点に関しては、基本書の一冊目の通読7割で止まってしまっているがそこは好奇心のおもむくまま読みたいという私の勝手な願望により許されたい。

少し話が脱線してしまったが、1万冊以上読んできた私の勘がこの本は大丈夫だと言っている。(往々にしてこういった勘はあてにならないのである。)ガチプロの研究者からは袋叩きにあいそうだが、そこに関しては社会学系の基本書を後に3冊読んで書評としてあげることを免罪符として許されたい。

予防線はこのくらいにして、本題に入ろう

第一章 ハビトゥスとしての自己啓発①

筆者は「ブルデュー社会学」の理論的枠組みから自己啓発本について読み解いていこうとする。

「日常生活の中に落とし込」まれ、「習慣化」され、「感性」」のような個人性の奥深い領域で発動するとされるこうした望ましい諸動作…(中略)…は…(中略)…「『主体』が自らに働きかけ」、「自分の時間を支払」い、その結果「まさに身体化され『その人物』に完全に組み込まれた所有としての特性、すなわちハビトゥス」…(中略)…の一部をなすものだと考えられるのである。
ー『日常に侵入する自己啓発』p6

なるほど、「ブルデュー社会学」についてある程度深く学ばなければならないようだがとりあえず一旦おいておこう(笑)。

このテキストを具体例から考えてみるとき、自己啓発本に書かれている「法則」から行ってみよう。自己啓発本かなり読んだはずなんだけどね、重要じゃないと思っているからすぐ忘れるようである。

その中でも私の中に残っていたのが「give&take」である。個人的にはこの言葉大嫌いなのだが、(大嫌いではあるが世の中にそんな感じのものはあるんだろうなとは感じている。そして大嫌いだから覚えているのかもしれない)これでいいだろう。

「give&take」が【「日常生活の中に落とし込」まれ、「習慣化」され、「感性」」のような個人性の奥深い領域で発動するとされるこうした望ましい諸動作】になるというのは、「いつもだいたい人と接するときは、何かしてもらったらお返しとしてなにかするようになる。」といったことである。

仕事してもらった後に後輩に缶コーヒーをおごってあげたりとかがこれにあたる。

これを「ブルデュー社会学」では【「『主体』が自らに働きかけ」、「自分の時間を支払」い、その結果「まさに身体化され『その人物』に完全に組み込まれた所有としての特性、すなわちハビトゥス」】と呼ぶようである。

なるほど、なんか頭痛くなってきそうな内容である。言い換えるのであれば、自分から自分に働きかけ、自分の時間を支払い、その結果ちょうど体の一部になるようにその人の特徴となるようなものがハビトゥスであるという感じだろうか。

なるほどね、確かに「ブルデュー社会学」がそう言っているのであれば理論的枠組みとしてはこの点において同じなのだろう。

おわりに ~この書評終わる気がしないぞ(笑)~

最初の一節を引用してかみ砕いただけなのだが、なるほど他の人に分かりやすく伝えるというのは骨が折れるようである。というかもうちょっと分かりやすく書いてくれ(笑)

次回からはもうちょっと対策を考えよう。もうちょっと前置きを短くするとか、もうちょっとあとがきを短くするとか、自分の頭の中のおしゃべりを少なくするとか。

あと営業的な目線からいうと「だから何?」という視点はあるのだが、そこは今後の課題ではある。教授たちがあんまり社会に役立つとかは考えないほうがいいように、こういうのは一般の要請と迎合することがあだとなる。

個人的には応援してもらえると書評をつづけやすいような印象もあるのでよければnoteのフォローとスキよろしくお願いいたします。

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