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映画評 FLY!フライ!🇺🇸

(C)2023 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

ミニオンズ』『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のイルミネーション・スタジオによるオリジナルの長編アニメーション。カモの一家が、初めての大移動に乗り出すファミリーアドベンチャー。

小さな池から一度も出たことがなかったカモの一家は、ある日、移動中の渡り鳥が立ち寄り、自由で逞しい姿を見たことで、外の世界へと羽ばたく旅に出ることを決意する。一家は、カリブ海の楽園ジャマイカを目指す大移動に乗り出すことになるが、多くの危険が待ち受けていた。

カモの一家が旅をしようと思った動機は二つ。一つは、幾千錬磨の試練を潜り抜け逞しく凛々しい姿への憧れ。もう一つは、同じ場所に留まってしまえば、だらしなく惨めな姿になる危機感。この二つを組み合わせると、同じ場所で自堕落な生活をするのではなく、外へ出て様々な経験・チャレンジをして成長しようというメッセージが込められてると見ていい。

外に出ることはその分、危険がつきものではあるが、乗り越えた先に成長のカタルシスがある。だが、外の危険はそれほど描かれない物足りなさが残る。特に自然界が甘い。捕食生物に狙われるシーンも無ければ、雨宿り程度で大雨を潜り抜ける。製作陣は『ファインディング・ニモ』を参考にすべきであろう。

都会に紛れ込むシーンも少々物足りなさが残る。建物や自動車だらけで上手く飛べない演出は素晴らしかった。しかし、メインで描かれる話は、シェフに捕まっているオウムを助け出すこと。もはや都会は関係ない。動物にとって都会はどのような場所なのかのリサーチ不足が露呈しアイデアの引き出しが乏しいものになっていたのは否めない。彼らの成長や乗り越えるべき壁なんてものは、そんな程度だ。


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乗り越えるべきハードルが低いのはまだ可愛い方。本作の最も深刻な癌は『くもりときどきミートボール2 フード・アニマル誕生の秘密』を放物とさせられるかのような、ヴィーガンの思想を押し付けられているようで気持ち悪い。

というのも、カモの一家が出荷されるアヒルを助け出そうという展開があるのだが、アヒルを食用にする人間は悪で、尚且つアヒルが食べられそうになるなんて可哀想かのような描かれ方をする。食事そのものを否定しかねない、食倫理的引っ掛かりがノイズになる。確かに人が命をいただく行為は、残酷なことなのかもしれない。だが、残酷だから、アヒルが可哀想だからという理由で、食生活を辞められるほど、社会生活は甘くない。

もし本作のターゲットがカモを始めとする家畜であれば、人間には近づかないでおこう。人間に対して反旗を翻し自由のために戦おうというメッセージにはなったであろう。しかし、そんな映画が成立するのであれば、映画史に残る革命だ。

本作を鑑賞するのは基本子供連れの一家。もし子供が本作から影響を受けて「可哀想だから肉は食べない」なんて言い出し、その状態で大人になろうもんなら栄養失調だ。ヴィーガンプロパガンダで子供たちを洗脳しようとする作り手の意図が見えてしまう。ヴィーガンは体つきがしっかりしてからでないとリスクしかない。誤った価値観で洗脳しようとする映画であると警鐘を鳴らしていきたい。

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