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映画評 マッチング🇯🇵
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『ミッドナイト・スワン』『サイレントラブ』の内田英治が原作・監督・脚本を務めた、マッチングアプリでによる出会いから始まるサスペンススリラー。
恋愛に奥手のウェディングプランナーとして働く輪花(土屋太鳳)は、同僚の薦めでマッチングアプリに登録する。マッチングした相手・吐夢(佐久間大介)と会ったが、プロフィールとは別人のように暗い男だった。初デート以来、吐夢は輪花のストーカーと化する。同じ頃、“アプリ婚”した夫婦を狙った連続殺人事件が起こり、輪花の身にも事件の魔の手が迫る。
「マッチングアプリ」を題材にする映画を作る際、どのようなテーマ設定や使い方を考えるだろうか。アプリきっかけの恋愛の是非、ストーカーをするための手段など、想像力を膨らませられる題材だ。しかし、本作はマッチングアプリという最大のフックを全くもって活かし切れない駄作となってしまった。
真犯人がマッチングアプリを開発した動機が、輪花を探し殺すことなのだが、全くもって意味不明だ。殺したかったら、さっさと殺せば良い。探し出す手段としてマッチングアプリは非効率だ。全国民が必ずしも登録してる訳でもなければ、競合他社を利用する可能性もある。リアリティが無さ過ぎだ。
また連続殺人を犯した動機が「マッチングアプリでの結婚に真実の愛はあるのかテストした」と語る。該当しなかった結果、殺害される理屈なのだが、アプリ婚に限った話では無い。世の中には、お見合い婚や出来ちゃった婚もあり、自由婚を得ていたとしても愛が続かないことはざらだ。
環境や境遇、加齢による価値観の変化で愛の価値観は変わることを理解していない真犯人に、「真実の愛」について語る資格がない。雰囲気と見た目だけで中身がない空っぽのキャラクターと言わざる得ない。
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アプリ婚夫婦連続殺人事件と輪花ストーカー事件の他に、25年前の輪花の母親が失踪した事件が関わってくるのだが、詰め込みすぎだ。ただでさえ2つだけでも軸がブレそうなのに、3つ目も加われば、いよいよ何がしたいのか分からなくなる。
百歩譲ってマッチングアプリと25年前の事件に関係性があるのであれば目を瞑れる。しかし、1ミリも掠らないため、マッチングアプリを題材としたサスペンスとして崩壊している。しかも、本作の一番の山場として持ってきてる以上、脚本上の欠陥を指摘せざる得ない。
マッチングアプリの存在によって輪花と吐夢を出会わせ、25年前の事件と対面させる役割にはなった。だが役割としては、以上でも以下でもない。その分、アプリ婚夫婦連続殺人事件は宣伝のフックでしかなく、悪い言い方をすればおまけ程度でしか扱われない。
本作は何をしたかったのか軸を定めるべきであった。マッチングアプリきっかけでストーカーに追い回されるのか、刑事としてアプリ婚夫婦連続殺人事件を捜査するのか、はたまたマッチングアプリの要素を捨てて、25年前の事件を調べてる刑事や探偵になるのか。詰め込み過ぎは駄作への第一歩だ。