見出し画像

映画評 フォールガイ🇺🇸

(C)2023 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

1980年代に放送されたテレビドラマ『俺たち賞金稼ぎ!!フォール・ガイ』を『ブレット・トレイン』『ワイルド・スピード スーパーコンボ』のデビット・リーチ監督によって映画リメイク。

大怪我を負い、休業状態であったスタントマンのコルト(ライアン・ゴズリング)は元カノ・ジョディ(エミリー・ブラント)の初監督映画で現場復帰する。しかし、スタントダブルを請け負う主演トム・ライダーが失踪してしまう。行方不明のスターを追っていくうちに、思わぬ陰謀に巻き込まれていく。

アカデミー賞にスタント部門を設ける動きがここ近年前進しているように、アクション映画における真のMVPはスタントマンだ。スポーツ選手顔負けの運動神経や反射神経、危険に自ら飛び込む勇気があるからこそ、大スクリーンでアクション映画を楽しむことができる。

本作は、スタントマンから監督となった異色のキャリアを歩んできたデビット・リーチによる「スタントマンはカッコいい」という情熱のこもったラブコールが散りばめられている作品だ。

70メートルのカージャンプやギネス世界記録を更新したキャノンロール、どうやって撮影したんだと言わんばかりのヘリコプターでのファイトからのハイフォールなど、数々のアクションは、腕利のスタントマンらによって作り上げた技術の賜物と言えよう。

また、コルトが陰謀に巻き込まれた際、スタント技術でピンチを乗り切り、解決に導いていく展開も面白い。超人的な動きや咄嗟に危機を察知し適切な動きをとれる判断力は、スーパーヒーローのようだ。

どのアクションも見劣りせず見応えのある出来を叩き出せているのは手放しで賞賛できると同時に、コルトはじめスタントマンを影の立役者に留めておくのが勿体無いと思えるくらい、カッコよく映し出すことに成功している。


(C)2023 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

監督の前作にあたる『ブレット・トレイン』はアクションは素晴らしかったもののシリアスな展開とコメディ要素が上手く融合できておらずチグハグ感が否めなかったが、本作はラブコメが軸となっており、シリアスな展開との融合に成功させている。

元カノのために動き、ゆくゆく元カノと寄りを戻したいだけにも関わらず、撮影現場では恥を欠かされ、怪しい男たちに追われ、命まで狙われる。散々な目に合うコルトの姿には哀愁が漂うと同時に、不憫すぎてどこか笑えてしまう。

撮影現場で繰り広げられるコルトとジュディのやり取りは夫婦漫才を見ているよう。喧嘩をしつつも、何だかんだ心で繋がっている安堵感に浸れる。ラストは絆が強固となった2人が力を合わせて繰り広げる復讐劇となり、カタルシスの解放とアクション映画としての迫力を存分に発揮したシーンとなっている。

メタギャグも健在だ。アクション映画を用いたギャグを多数取り入れてるだけでなく、スタントマンの立場を逆手に取るものや全米映画俳優組合のストライキを放物とさせられるものまで手広い。リーチ監督による映画業界で第一線で活躍されてるスタントマンへのリスペクトがギャグの中にも込められている。

いいなと思ったら応援しよう!