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【アカデミー主演女優賞】個人的ランキング②【90位~81位】


今回は、アカデミー主演女優賞を受賞した作品を全部みたので、それをランキング形式で振り返っていこうと思います。
前回の記事はこちら↓


90位 『結婚草紙』 ノーマ・シアラー

受賞 : 主演女優賞
ノミネート : 作品賞、監督賞、脚本賞

他の候補者たち
『悪魔の日曜日』ナンシー・キャロル
『サラアとその子』ルース・チャタートン
『アンナ・クリスティ』グレタ・ガルボ
『ロマンス』グレタ・ガルボ
『トレスパッサー』グロリア・スワンソン
『THE OWN DESIRE』ノーマ・シアラー

 日本ではソフト化されておらず、英語字幕で鑑賞しました。ストーリー、演出は可もなく不可もない無難な感じですが、ノーマ・シアラーの豊かな感情表現が光ります。
 微妙な心の動きを表現したシリアスなシアラーもいいですが、華やかな笑顔が堪らなくいいんです。その笑顔にもそれぞれニュアンスの違いを感じさせます。幸せな笑顔、取り繕った笑顔、やけになった笑顔の表情演技が素晴らしいです。
 シアラーを楽しむ映画という点では大いに賞賛できる映画ですが、特に印象に残る作品なわけではないところが惜しいところです。


89位 『愛を読むひと』 ケイト・ウィンスレット

受賞 : 主演女優賞
ノミネート :
作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞

他の候補者たち
『レイチェルの結婚』アン・ハサウェイ
『チェンジリング』アンジェリーナ・ジョリー
『フローズン・リバー』メリッサ・レオ
『ダウト ~あるカトリック学校で~』メリル・ストリープ

 この年は他のノミニーが弱く、ワインスタインが無理矢理ケイト・ウィンスレットを主演に推し、見事オスカーをさらったとされています。
 本来なら助演で推すべき、というのはまず思うところ。ケイト・ウィンスレットは素晴らしいですが、やはりこの役は助演でしょう。
 作品評価自体も絶賛というわけではなく、体感としてもそこまでという印象でした。ケイト・ウィンスレットの演技自体は素晴らしかったですが、助演なのに主演でとってしまったという意味であまり評価できない作品でした。


88位 『ハッド』 パトリシア・ニール

受賞 : 主演女優賞、助演男優賞(メルヴィン・ダグラス)、撮影賞(白黒)
ノミネート :
監督賞、主演男優賞(ポール・ニューマン)、脚色賞、美術賞(白黒)

他の候補者たち
孤独の報酬』レイチェル・ロバーツ
『THE L-SHAPED ROOM』レスリー・キャロン
『あなただけ今晩は』シャーリー・マクレーン
『マンハッタン物語』ナタリー・ウッド

 ポール・ニューマン主演の本作、正直パトリシア・ニール演じる唯一の女性、家政婦のアルマは主演ではないと思います。出演時間も少ない上に途中退場してしまう。演技自体は素晴らしかったのですが…
 非常に地味な西部劇ではありますが、傑作ではあります。じわじわと迫り来るサスペンスと叙情性、淡々とした語り口が素晴らしいですね。飽きることなく見続けられるサスペンスフルな作品です。
 これもパトリシア・ニール自体は素晴らしいですが、カテゴリーが違うと思います。どう考えてもこれは助演

87位 『バターフィールド8』 エリザベス・テイラー

受賞 : 主演女優賞
ノミネート :
撮影賞(カラー)

他の候補者たち
アパートの鍵貸します』シャーリー・マクレーン
『ルーズベルト物語』グリア・ガーソン
『サンダウナーズ』デボラ・カー
『日曜はダメよ』メリナ・メルクーリ

 エリザベス・テイラーが念願のオスカーを獲得した作品です。ジョン・オハラの同名小説を『バラの刺青』マイケル・マン監督が映画化しました。
 そもそもこの主演女優賞はリズへの同情票によってもたらされたと考えられており、リズのベストではないという声が多い印象です。実際彼女自身もこの作品を嫌っているそうで…
 リズの出演作はあまり観ていないですが、十分魅力的な演技はしていると思いました。少なくとも主演女優賞に値するくらいには。繊細な表情の変化、仕草が素晴らしいですね。
 娘が娼婦であると受け入れられない母親との関係、また幼馴染との微妙な関係も面白いです。しかし肝心のローレンス・ハーヴェイとのケミストリーがあまり感じられなかったのが最大の問題でしょう。話としても単なるメロドラマの粋を出ていなくてつまらない。

86位 『ウィークエンド・ラブ』 グレンダ・ジャクソン

受賞 : 主演女優賞
ノミネート :
作品賞、脚本賞、作曲賞、歌曲賞

他の候補者たち
エクソシスト』エレン・バースティン
『シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛』マーシャ・メイソン
『追憶』バーブラ・ストライサンド
『SUMMER WISHES,WINTER DREAMS』ジョアン・ウッドワード

 日本ではソフト化されておらず、輸入盤で鑑賞しました。普通に面白い不倫ドタバタコメディです。グレンダ・ジャクソンのちょっと強面な感じでコメディをやるとなかなか面白いですね。展開は本当にドタバタ劇、常に忙しそうな感じです。
 主演女優賞とるほどの作品には思えないですが、まあ普通に観られるラブコメディ。グレンダ・ジャクソンのコメディ演技は面白かったですが、『エクソシスト』エレン・バースティンを超える程かというと…難しいですね。

85位 『追想』 イングリッド・バーグマン

受賞 : 主演女優賞
ノミネート : 
音楽賞(劇・喜劇映画)

他の候補者たち
悪い種子』ナンシー・ケリー
『ベビイドール』キャロル・ベイカー
『雨を降らす男』キャサリン・ヘプバーン
『王様と私』デボラ・カー

 ロッセリーニとのW不倫によりハリウッドを追放されたバーグマンの復帰作となった作品です。ゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞、アカデミー賞では主演女優賞と作曲賞にノミネートされ、『ガス燈』以来12年ぶりに二度目の主演女優賞受賞を果たしました。
 てっきりメロドラマかと思っていたらガッツリ時代ものでした。バーグマン入魂の演技は流石スターといった貫禄です。一方で映画としてはなんとなく足りない印象が残りました。終盤が駆け足なのが気になります。
 バーグマン、ユル・ブリンナーの演技はいいのですが、メロドラマなのか陰謀ものなのかサスペンスなのか、どの要素も今ひとつ足りない。メロドラマにしては二人が惹かれ合う過程が丁寧とは言いがたいですし、サスペンスとしてはハラハラする要素があまりありません。
 美術や衣装はよかったし、駄作とは思わないですが、リトヴァクにしてはスリルのない凡作だと言えるでしょう。

84位 『ダーリング』 ジュリー・クリスティ

受賞 : 主演女優賞、脚本賞、衣装デザイン賞(白黒)
ノミネート :
作品賞、監督賞

他の候補者たち
いつか見た青い空』エリザベス・ハートマン
『サウンド・オブ・ミュージック』ジュリー・アンドリュース
『コレクター』サマンサ・エッガー
『愚か者の船』シモーヌ・シニョレ

 ジュリー・クリスティはこの年デヴィッド・リーン『ドクトル・ジバゴ』にも主演し、一躍世界的スターになりました。
 「奔放な女性の計算高い出世」というイメージが先行する作品ではあるが、実はジュリー・クリスティ演じるダイアナはプリンスと結ばれることが目標ではなく、出世も目的ではありません。
 本当の意味での生きがいや人生の目的がないから何をしても、どこにいても満たされない。そんな女性を見事に演じていました。
 ジュリー・クリスティの演技や作品自体は並だなと思います。演技への評価というより、今年ブレイクした女優賞というような存在感で獲得した主演女優賞なのではないでしょうか。

83位 『コケット』 メアリー・ピックフォード

受賞 : 主演女優賞
ノミネート :
なし
他の候補者たち
ブロードウェイ・メロディー』ベッシー・ラヴ
『マダムX』ルース・チャタートン
『煩悩』ベティ・カンプソン
『手紙』ジーン・イーグルス

 サイレント期からのレジェンド、メアリー・ピックフォードがオスカーを獲得したラブストーリーです。
 英語字幕版さえないので1割くらいしか聞き取れませんでした。機会があれば再挑戦したい一本です。
 とはいえストーリー的にはなんとなくリアリティがなくふわっとした印象。端から見ていてもそこまで評価されるべき作品には思えませんでした。
 メアリー・ピックフォードは流石の美貌とコメディセンスを見せつけます。はしゃいだ彼女の宝石のような輝きは素晴らしいですね。         

82位 『ブルースカイ』 ジェシカ・ラング

受賞 : 主演女優賞
ノミネート :
なし
他の候補者たち
ネル』ジョディ・フォスター
『愛しすぎて/詩人の妻』ミランダ・リチャードソン
『若草物語』ウィノナ・ライダー
『依頼人』スーザン・サランドン

 ジェシカ・ラングが5度目のノミネートにして初受賞を果たした作品です。
 簡単に言えばお人好しのトミー・リー・ジョーンズが悪妻ジェシカ・ラングに振り回されるという話です。そこに核実験のサブストーリーが挿入されるのですが、それが中途半端なのが気になるあたり…
 ジェシカ・ラングはとにかく素晴らしい。この役を自然にできるのは彼女しかいないだろうと思います。作品としては言いたいことがある映画ですが、主演女優賞は納得の作品でした。
 ジェシカ・ラングはいつも素晴らしいのですが、とはいえ本作がベストワークかというと疑問です。『トッツィー』とか『女優フランシス』とか『ミュージックボックス』とか傑作でとれずにこれで獲ったのはなんとなく納得がいかない気がします。

81位 『遥かなる我が子』 オリヴィア・デ・ハヴィランド

受賞 : 主演女優賞
ノミネート :
原案賞
他の候補者たち
逢びき』セリア・ジョンソン
『白昼の決闘』ジェニファー・ジョーンズ
『世界の母』ロザリンド・ラッセル
『仔鹿物語』ジェーン・ワイマン

 オリヴィア・デ・ハヴィランドはオリヴィア・デ・ハヴィランドはちょっと苦手なんですよね。真面目すぎる感じ。硬いというのかな。演技も佇まいも。本作もそのイメージを覆すものではなかったです。
 とはいえ演出はよかったし、この役にはハヴィランドの硬さは合っているかも。後半、目の前に息子がいるのに伝えられない、その目の演技はよかったです。
 アーカイブから字幕なしで観るしかなかったので大半のセリフは分からなかったのが残念でした。音と映像がどんどんズレていってしまった。あと編集がちょっとおかしいところがあるのが気になる。ちゃんと日本からも観られるようになって欲しいな。
 全部理解できたわけではないですが、ハヴィランドは頑張っていたし、ノワールっぽい人間ドラマでいい映画だとは思います。

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