なら国際映画祭レポート DAY0&1
DAY0
皆さん、なら国際映画祭はご存じでしょうか?
東京国際映画祭やフィルメックスなど映画ファンには有名な映画祭と比べると知名度の面では劣るでしょう。しかしなら国際映画祭に出品後に一般公開されて好評を博したり、各国のアカデミー国際長編映画賞代表に選ばれたりするケースも少なくないのです。
今年も世界の映画祭で評価された粒ぞろいの作品が集まりました。
ということで今年は初めてなら国際映画祭に出向き作品を鑑賞していきたいと思います。
バタバタと荷造りをして図書館で本業(?)の資料を確保し東京駅へ。新幹線で京都まで行き、JR奈良線で奈良へと向かいます。明日から三連休ということもあるのかなかなか混んでいましたがなんとか座れました。
そして旅館へ到着、定食屋さんで晩ご飯を食べ映画を一本鑑賞、就寝です。おやすみなさい。
DAY1
本日は13時からの上映なのでゆっくりホテルで過ごし、買ってきた朝ご飯を頬張ります。
そして13時から観たのはインターナショナル・コンペティション出品の『パーマネント・ピクチャー』です。
非常に不思議な映画でした。アントニアとカルメンという二人の女性を中心に、パッチワークのように紡がれた作品です。簡単にこちらが把握できるような一本軸の通ったプロットはなく、断片的な描写が続きます。
それが単調にならないのは画面の力でしょう。何故だか引きつけられる映像力がある作品でした。
家族や社会階級、女性として生きること…そうしたテーマを混ぜこぜにして映像に落とし込んでいます。
脚本に『マジカル・ガール』などのカルロス・ベルムトが入っているのですが、あまりその成分は感じませんでした。ただ一筋縄ではいかない語り口というのはベルムトの成分かもしれませんね。
一旦宿に戻りメールチェック、しばらく休んでもう一度会場へ。
16時から観たのは同じくインターナショナル・コンペティションの『失った時間』です。
これまた変な映画でした。「今一体何を見せられているんだ?」と困惑するばかりの展開なんですが、観ていて非常に心地いいんですよね。ヒーリング・ムービーとでも言いましょうか。
失った父親、時間、そして記憶を辿っていく物語で、過去と現在を曖昧にする独特な語り口が最高です。
欲を言えばラストにもう一捻り欲しかった感はありますが、監督のスローでアート的な演出がみられて満足です。
また、アジア映画において「森」というものが持つ意味は多岐にわたります(アピチャッポン、ラヴ・ディアスなど)が、これまた本作も「森映画」の系譜に連なるものだと思います。
見終わってカフェで一休み。早めの夕食を食べて三本目に備えます。
19時から観たのは同じくインターナショナル・コンペティションの『サートゥ/うさぎ年』です。
フィルムで撮られたという撮影が素晴らしい!ラオスの自然や風俗を非常に美しく捉えています。
内容としてはやや説明過多なロードムービーかな、と思っていると良い意味で裏切られました。
不発弾の問題や北朝鮮からの亡命といったラオスが抱える社会問題も盛り込んだなかなかの意欲作でした。
出てくる人々はほぼ皆善人、気持ちよく観られる作品です。今回のコンペの中では娯楽映画寄りかなとは思いますが、こんな作品があってもいいじゃないかと思います。
ということで本日の鑑賞は終了!宿に戻って休みます。おやすみなさい!
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