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槙島驟
2022年9月27日 20:29
「ねえ『涙うつし』って知ってる?」「ナミダウツシ?」 大学の食堂で町田薫が思い出したように私に話しかけてきた。彼女は大きな口でカレーライスを食べながら頷いて、まだリスのように膨らんだ頬のまま「ひああい?」と首を傾げた。「飲み込んでからにしなよ、私はもう今日は授業ないし、薫は次三限ないんだからゆっくり話できるじゃん」 呆れた私はスマホSNSアプリを起動させ、その海に身を泳がせた。ニュー
2022年9月6日 20:33
人を殺した。 いや、正確には「殺してやった」のだ。目の前に転がってる女の死体は、つい先程まで俺に向かって笑顔を見せていた生きた肉の塊だった。自分で殺したくせに、俺の腰はすっかり抜けてしまったようだ。呼吸は浅く、心臓は早い脈を打っている。その音は耳のすぐ近くで鳴っているかのようで、彼女を殺した俺の両手は手汗でびっしょりと濡れて、小刻みにぶるぶる震えている。手相の溝で汗がキラキラ光るのが無駄に綺麗