幼少期に強いストレスを受けたことがわかる、子どもの行動3つ
本日は、子どもがストレスを受けることによる脳への影響、またそれに伴う子どもの行動の特徴について、ポール・タフ『成功する子 失敗する子ー何が「その後の人生」を決めるのかー』に学びます。
・ストレスを受けた子どもの行動3つ
まず最初に、ストレスを受けたことがわかる、子どもの3つの行動から見てみましょう。
下記の行動を見て、身の回りにパッと思い浮かぶ子どもはいますか?
行動の特徴① じっと座ることができない
行動の特徴② ショックから立ち直ることができない
行動の特徴③ 大人の指示に従うことができない
これらはすべて、感情の調節機能を司る、脳の「前頭前皮質」が影響を受けていると考えられます。
・ストレスを受けると17倍も○○が増える
カリフォルニアの総合病院の職員であったバーク・ハリスは、
700人の患者を対象に、ACEというアンケートを行いました。
ACEとは、子ども時代の逆境を10個のカテゴリーに分けたアンケートで、具体的には、暴力や性的虐待、身体的/感情的ネグレクト、両親が離婚/別居していた、家族の中に刑務所に収監されている者がいた、精神疾患を患っている者がいた、何かの依存症だった者がいた、など家庭の機能不全にまつわるものです。
このアンケート結果は、驚くべき結果を示しました。
ACEの数値がゼロだった患者の間では、学習や行動に問題が見られる者はわずか3%だったにも関わらず、
ACEの数値が4以上の患者の間では、学習や行動に問題がある者が、51%にものぼったのです。
その差、なんと17倍。
つまり、このアンケート結果からは、
幼少期にストレスを受けると、ある程度の年数が経っても、学習や行動に問題が見られることがわかりました。
・ストレス→脳への影響→行動への影響というカラクリ
ストレス心理学者によると、
ストレスから最も強く影響を受ける脳の部位は、感情の調節機能を司る、前頭前皮質という部分。
つまり、子どもの問題行動の背景には、
ストレスを受ける→前頭前皮質に響く→感情の調節機能が弱まる→衝動を抑制できない→問題行動を起こす
というカラクリがあることが分かったのです。
また、感情や衝動をコントロールできなくなることから、ストレスを受けると成績低下に直接作用することもわかりました。
・実は50%の子どもが指示に従えない
ポール・タフによると、ある全国調査では、
幼稚園教諭の46%が、自分のクラスの子どもの半数が指示に従うことが出来ないと答えているのだそう。
「クラスの約半分」って、30人いたら15人にしか指示が通らないということ。
学級経営の難しさを物語っています。
・日本で教員をやっている私の現場感覚
個人的には、「まさにその通り!」という感覚です。
「プリントをしまってください。」「椅子を机の上にあげてください。」
そんな簡単な指示でも、一度の指示で理解・行動できるのは、多くてもクラスの半数程度だと思います。
そう考えると、残りの半分の子どもは、成長過程で何らかのストレスを受けてきたのかもしれません。
教員として、どこまで踏み込むべきなのでしょうか…。