みんな大好き、食品添加物〜食品の裏側
著者は食品添加物の元トップセールスマン。
食品添加物の神、魔術師とも呼ばれる専門家でセールスマン時代には食品製造業者に大量に商品(食品添加物)を卸し、製造作業の効率化や品質、売上の向上に多大な貢献をしていた。
それがあることがきっかけで廃業し、現在では以前の経験から食品製造の舞台裏をあかし、食品添加物に関する講演やこうした執筆活動をしている。
食品添加物。
便利だけれど人体に有害だという認識は、多かれ少なかれ誰もが持っていることと思う。(かくいう自分も、比較的気にするほうだったと思う)
だがしかし。
ここまで深刻だとは。
驚愕の内容です。
この著者のスタンスにとくに好感がもてるのは、ただ「食品添加物=悪」と断罪するのではなく、現代人はそれらから多大な恩恵を受けている。そのことは認めた上で、自分が購入し、飲食するものの正体を知る必要があると説いていること。
バランス感覚というのでしょうか。(だから、無添加=善とも言い切っていない。無添加でも質の悪いものはあると)
Youtubeにある動画(博士の異常な鼎談)では司会に「よくあそこまで内情を暴露できましたね。大丈夫なんですか?」的なことを聞かれていたけれど「あそこまでにしておいてくれてよかった」とむしろ感謝されたとか。
いかに闇が深いかを示すエピソードではないでしょうか。(だからこそバランス感覚が必要なんでしょう)
自分のところで作っているものは食べない(または食べるなと)工場長や経営者についても、背筋が凍る思いです。そんなものが宣伝や広告、見せ方(成分表示の仕方等含む)次第で(印象操作)嬉々として購入され、消費されているとは。(ここらへんも洗脳かと)
しかし著者は「消費者が完全に被害者かというと必ずしもそうではない」と言います。
安くて便利ならばと、なんの問題意識も持たずに食品を買う消費者の側にも責任はあるのです。消費者が少しでも「安いもの」「便利なもの」「見かけがきれいなもの」を求めるからこそ、つくり手はそれに応じるしかないという現実もあるのです。
食品添加物アドバイザーを廃業した著者ですが、いまでも添加物の使い方をたずねてくる業者があるとか。
そして、こう答えるそうです。
教えてもいいですよ。
でもそれと引き換えに、魂を売ることになるのですよ。
職人としての魂、食をつくる人間としての魂、それを売ることになるのですよ。その前にあなたの『まごころ基準』にもう一度問いかけてみてください。
例によって例のごとく、具体的な内容には触れませんが、興味のある方は是非読まれることをすすめます。
具体的に食品添加物(名称、役割、効能や有害性)についても詳しく丁寧に解説されていますし、文章もとても平易に書かれているので読みやすいです。
そして、一読するだけでも何かしら日々の食に対して自分自身への問題提起の機会となると思います。