01-03 しゃうとの記憶
しゃうたんの記憶はしゃるるの姉御に抱き寄せられていた所から始まるにゃ
温かかったのにゃ。
物理的ではなく心がにゃ。
こうやって誰かに抱き寄せてもらったこといつぶりだろう、ってにゃ。
きっと姉御の方が熱かったはずなのにゃ。
出会った時のしゃうたんは熱と煙に包まれていたって話にゃ。
姉御の腕が赤く火傷をしていたのを今でも覚えているのにゃ。
しゃうたんを抱き抱えた時、なんで姉御は泣いていたんだろうにゃ〜
『もう大丈夫だよ。よくがんばったね。』
あの日かけてくれた言葉、今でも忘れないのにゃ。
そのあと寝てしまったのにゃ。
安心したのかにゃ〜
目を覚ましてご主人に初めて会ったのにゃ!
「名前・・・はわからないよな。お前はしゃべれるのか?」
そう言っていたにゃ。
お前は?と言うことは他に喋れる猫がいたってことかにゃ?
しゃうたんは喋れないのにゃ。当たり前にゃ。猫なのにゃ。
ただ言葉を理解できるのにゃ。
この大地に来てからなのにゃ。
ご主人は紙とペン、スマホ、色々持ってきたのにゃ
しゃるるの姉御が笑っているところ初めて見たにゃ!
普通猫に紙とペンなんか渡してもおもちゃになるだけにゃ。
でもにゃ。
あいうえおってひらがながたくさん書かれたシートみたいなのを持ってきたのにゃ!
「自分の名前わかるか」
ご主人の問いに
「 わ か ら な い 」
ってシートの上の文字を順番に舐めて答えたのにゃ!
しゃうたんはやっぱり天才なのにゃ!
今になってご主人が最初に名前を聞いた理由がわかるのにゃ。
空の大地に来てすぐだから記憶の欠如が少ないうちに重要なことを聞いておきたかったみたいなのにゃ。
ご主人にとって名前は重要なのにゃ!いや、この世に生きる全てがそうなのかもにゃ
結局しゃうたんは覚えてることがほとんど、いや全くないのにゃ。
でもたまに懐かしいと思えることがあるのにゃ。
開けた野原に浅い川のせせらぎ。風と風車の回る音。
あとは暗い感情を思い出すのにゃ。
言葉では表しづらいけど鉄の冷たい感じ、地下のような寒くて暗い、どこまで行っても誰にも会えない感じにゃ。
あとは熱さにゃ。体に火がついたような感じにゃ。ボロボロと身体の一部が剥がれていく感じにゃ。
これぐらいにゃ。
しゃうたんには具体的な過去を知れる要素がないのにゃ〜
ご主人が名前を聞くのを優先するのも納得にゃ〜
しゃるるの姉御はどうだったんだろうかにゃ〜?
そういえば叫び声ってどんな感じだったのかにゃ?
今度姉御に聞いてみるにゃ!
これだけはわかるのにゃ。
この空の大地に来たのだから逃げたいくらいの現実があったはずにゃ。
それは空ビトの共通した事実なのにゃ。
しゃうたんは逃げちゃったのかって思うことがあったのにゃ。
でもにゃ。
過去に寿命を削ってでも変えたい現実があったとすれば残り1日の命になろうとも自由になれる選択をするはずにゃ
現実から逃げ出す。ではないのにゃ!現実を変えるのにゃ!自分が望む未来ににゃ!
辛いけど望まなければ可能性はないのにゃ!
なぜかはわからないけどこれだけは今も過去も変わらない考えな気がするのにゃ!
どんなに記憶を失ってもその人格に重要な幹は残っているものなのかもにゃ〜
しゃうたんは猫だから猫格にゃ!
いつか自分の名前とどんな世界で生きていたのか知りたいにゃ〜
飼い主はいたんだろうか?、野良猫だったんだろうか?知りたいこといっぱいにゃ!
今度ソラ様にでも聞いてみるにゃ!
最近思うのにゃ!
姉御、ご主人とご飯を食べて喧嘩して一緒に川の字で寝てる今がとっても幸せにゃ!
過去のしゃうたんにこんな未来もあるんだよって教えてあげたいにゃ!
にゃー!
姉御が朝ごはんできたってにゃ!
今日は焼き魚食べたいって言ったから多分そのはずにゃ!
じゃあ、ばいにゃ!
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