バイクの輸入商社からSCM SaaSへ。困難なテーマを選んだ理由とは - リチェルカ起業エントリ #1 -
こんにちは、リチェルカの代表の梅田と申します。
今回、シード調達のタイミングに合わせて、苦手で避けてきた物書きにトライすることになりました。
自分は露出が苦手で人前に積極的に出たいタイプではなく、飲み会やイベントも基本気後れしてしまう性格ではあるものの、リチェルカのやっていることや、自分のバックグラウンド、今の会社のフェーズなどどれを取っても客観的に面白いかも・・とようやく思えたため、重い腰を上げる決心がつきました。笑
タイトルにある通り、今自分がこの様なことをしている事自体、数年前から考えるとあり得ないと自分自身が感じるところであり、今回はキャリア形成という観点も含めて稚拙なnoteではありますが読んでいただけると嬉しいです。
(書き始めたらとてつもなく長くなってしまったので何回かに分けて掲載します)
リチェルカとは
名前の由来はイタリア語の「RICERCA」。探求・探索という意味の単語をRECERQAという造語にしたためました。
20年以上変わらない業務システムの常識を再構築 (RE-build) するために
今までの常識や自分たちの当たり前に対してQ&Aを絶えず続けていく(= ∞) ことで
本質的な答えを導く企業でありたい意志を社名に表現しました。
何でイタリア語だよって思われたと思います。
余談ですが、自分は元々イタリアってあんまり好きではなくて、というのも適当な国民性のイメージと、歴史的に見てもWWⅡで足引っ張ってる印象が強くて、自分の父がドイツに駐在していたこともあってヨーロッパといえばドイツでしょ!という謎のドイツ贔屓だったのですが、自分のライフスタイルの変化によって今では日本の次にイタリアが好き!ってくらいイタリアに親しみが出てきています。
SCMという高い山に挑むキッカケ
TM Motoとの出会い
話は変わりますが、私はバイクが大好きで、好きすぎて32歳からレースの世界に飛び込みました。
元々、AI inside時代のチーム員たちがバイクに乗りたい、と言い始めたのがキッカケで、そこからツーリングなんかをしていたら気づいたらこんなところまで来てしまった流れです。
そんな自分が2021年末に出会ったのがこの『TM Moto』というメーカー名の、イタリア製ピュアレーシングマシン。
バイク好きの方でもきっと初耳だと思います。とにかくパワフルなのに、良く曲がる。めちゃくちゃ速くて、今まで味わったことのない体験に「何で日本で誰も知らないんだ、めちゃくちゃ勿体ない」という想いを強く抱きました。
詳細は後日掘り下げたいと思いますが、そんなこんなでこのTM Motoの輸入元「株式会社うえさか貿易」の事業承継に至ります。
仕入れて、在庫して、売るってシンプル
最初は楽観的でした。
AI insideの当時の売上が45億円、数千社いる顧客を管理してきた自分だから、世の中的に言えば零細企業といえるうえさか貿易のオペレーションくらい回せるでしょ、と簡単に考えていたのです。
商流は至って簡単。イタリアから仕入れて、在庫して、注文が来たら納品する。
開発の優先順位を考える必要もないし、プライシングも仕入価格に送料足して販売店さんの取り分を加えたら定価。AWSのインスタンスをどうするーとかスケーリングとコストの両立がーとかそういう悩みもなし。シンプルじゃないですか?
バイクは沢山のパーツの集合体なので、それぞれのパーツを年代別に在庫して、加えて消耗品たちをアフターパーツで揃えて、、という感じで、当初は営業1名とメカニック1名を採用して事業運営にあたっておりました。
歪みの顕在化
そんなこんなで半年くらいたった頃、ITスタートアップのノリで働いていたメカニックが「彼女に強い反対をされていて、彼女との時間を優先したい」と相談してきて、退職に。すっごく優しくて良いメカニックだったので、とても惜しかったけど背中を押す形になりました。
当然、残った仕事は営業と私の二名で回すことになり、ドミノのように営業の若手も大変すぎて退職したい、と。
そりゃそうだよな、、バイク業界でこんな働いてる人あんまいないよな、、と申し訳なさを感じつつ、残ったものは圧倒的な業務量。当然回りません。
当時、iMAMIRAi株式会社という、Web3 × IoTな会社を立ち上げて半年くらいのところであり、超大手企業からの受注もあって相当な多忙な中、一緒に付いてきてくれた共同創業者の野田に「ごめん、A社案件少しだけ止めてうえさか貿易のDXに付き合ってくれ・・」とお願いしたことで、リチェルカが始まることになりました。
そしてピボットへ
SCMシステムマーケット調査
当初はiMAMIRAiに工数を割くためにうえさかのDXを検討したわけなので、とにかくググって問い合わせ、をしまくりました。
元々ワークスアプリケーションズにいたので、土地勘はあれど、ワークスは大手企業向け、僕らは零細企業、ということで調査の必要がありました。
20社近くお話を聞いて、実データを入れてトライアルも何社か行ってみた結果気付いたのは「これで良いんだっけ・・?」ということ。
というのも、多くのシステムを見た結果以下のポイントに集約されたからです。
中小企業向けSaaSは、脱Excelや業務効率化が主目的
→事業承継時にシステム化を行っており、今回はその高度化が目的。特に、何が儲かっている、だったりこのブランドの取り扱いは辞めるべき、などのインサイトを得られるデータ(=仕入〜在庫〜販売までの一貫したデータ) を溜めにくい。詳細なデータを溜め込むためにはワークスのCOMPANYのような、大手〜中堅向けのERPパッケージが必要
→億を超えるコストでそもそも無理、だし、10年前とプレイヤーが一切替わっておらず、UI/UXが (大変失礼で恐縮ですが!!) 絶望的。
HUEの亡霊
調べれば調べるほど、ワークスが2014年頃にブチ上げて大きなムーブメントを起こしたHUE (クラウドが懐疑的だった時代に、SaaS、AI搭載、コンシューマーライクなUI/UXを謳っていたワークスの神プロダクト。大企業のCIOレベルがこぞって期待して下さっていた。社内も熱狂に包まれていた。でも、上手くいかなかった。この話は別回でしっかり深堀りしたいと思います) って凄かったんだな、人事はSmartHR、会計で言えばマネーフォワードやfreeeが世の中を変えていったけど、SCMにおいては10年経った今でもHUEに並ぶプロダクトは出てきていないんだということを悔しく想い、自分が如何にワークスの、HUEの亡霊に囚われているのかと気づいた時に、この気持ちはもう騙せないなと強く使命感めいたレベルで実感し、SCM SaaSに挑もうと決意しました。
(参考までにHUEのスクショが載っている起業LOG SaaSのリンクを貼っておきます。これ、2014年とか2015年ですよ、凄くないですか?)
最後の決め手
とはいえ、この領域はNTTデータ、アクセンチュア、アビーム、フューチャーアーキテクトなど、名だたる素晴らしい企業たちの主戦場であることも当然知っていたわけなので暫くは社内だけで慎重に議論、検討を進めていました。
そんな自分の背中を押してくれたのが、HashPortのCEO、吉田さんです。
自分が本当に尊敬する天才で、人間的にだいぶ偏りはあるけれど、魅力に溢れた素晴らしい男の吉田さん。
この話をしたら、「めっちゃ良いじゃないですか!絶対それやった方が良いですよ!だって、今までのキャリアのConnecting the dotsじゃないですか!」と。
吉田さんが言うなら、もう覚悟決めて飛び込もう、そう決めて、iMAMIRAi株式会社を株式会社リチェルカへと改名し、SCM SaaSの開発を始めたのでした。
↓続きます↓
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