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「ゆっくり、いそげ」 書評

ゆっくり、いそげ カフェからはじめる人を手段かしない経済
著者 影山知明

著者の影山さんは現在東京の西国分寺に「クルミドコーヒー」という喫茶店の店主をしている。
食べログのカフェ部門で全国1位にもなったお店だ。
影山さんは過去にマッキンゼー&カンパニーを経て、ベンチャーキャピタルを設立、カフェとは縁遠い人物だった。


「ゆっくり いそげ」

言い換えれば急がば回れ
のんびりやっていればいいということではない。
ひとつひとつ、一歩一歩に全力を尽くす。

私自身、早く成長しなければ、1日も無駄にせずたくさんのことをやらなければと、無駄に気持ちだけ焦って要らない疲れを溜めていた。

今23歳だが、30歳になるまで時間が無い。やばい。
大きいことをやらねば。今のままでいいのか。どうやってお金を稼ごうかなど。

変な話だが、その漠然とした焦りで地に足付かず、今この瞬間にできることに目が行っていなかった。

本を読むにしても、noteを書くにしても、筋トレにしても
今すぐの成果を求め、先のことが全く見えていなかった。
そんなすぐ成果が出るはずもなく、気持ちだけ焦る。
成果が見えないから三日坊主に終わる。または中途半端な成果しか出ない。
この繰り返し。

今の私の敵は「焦り」
1日は意外と長い、という認識を持つ。
その上で今この瞬間に自分が出来ること。
地に足付けて、一つずつ全力でする。


「ビジネス」と「スロー」

・ビジネス
時間をかけず、労力をかけず、コストをかけず、出来るだけ効率よく商品、サービスを生産し。お金を稼ぐ。

・スロー
スローフード、スローライフ、スローシティなど
進展する資本主義へのアンチテーゼがある。
競争社会から離れ、少ない消費で、少ない収入でも等身大の充足感を実現する暮らし方。

どっちかを取るのではなく、著者は中間を実現したいと思っている。
お金がすべてという発想ではないが、便利さも時にはぜいたくも求めたい。


資本主義における成功とは前者のビジネスに価値を置いたもの。
お金を稼ぐという手段が目的と化しているのではないか?
そうなると、人や人間関係が全て手段と化してしまい、人を利用価値でしか判断できなくなる。

会社にとってお客さんは利益を得るための手段
お客さんにとっても会社はサービスを受けるための手段
会社と従業員の関係もそうなる。
より利益を得るための手段であり、給料を得るための手段。

夜誰かとご飯を食べに行こうとなっても
頭に浮かぶのは「この人と付き合っておくと、仕事上いいことがありそうな人」だったりする。

このように利用し、利用される関係が広がっていく。


「お金はあくまでも受け取るための手段」

働く目的は、より良い社会を実現することであって、自分が与えた価値の感謝として受け取るものがお金。

自分がお金を支払う際も
おいしい料理を食べられた、素敵な家を建ててくれた、乗りたい車を与えてくれた感謝としてお渡しするもの。

感謝が目に見える形になったものがお金である。

IT 化が進み
家にいてもスマホ一つで欲しい商品が家に届く。
スーパーでも自動で会計ができる。
オンライン上で自動でお金が引き落とされる。

確かに便利な世の中になったが、どこか淡白でさみしさを感じないだろうか

意識的に感謝の気持ちを持たないと人間関係も商品も
ただ自分が満足するための手段に成り下がる。



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