顔ニモマケズ 〜乗り越えた悩みが大きければ大きいほど、人は魅力的になれる〜 【読書感想】
▪️「どんな自分とも、折り合っていく」
その大切さ、大変さ、そして得られる強さ
▪️読み終わると、この本の表紙を見ただけで、
明るい気持ちになれる
▪️水野敬也さんの本だから、間違いなく面白いです!!
▪️語られた言葉には、多くの人の悩みを
解消する普遍性があった
▪️あなたの人生をより幸せにしてくれる方法が
本書の中にあると思います
『はじめに』
不安と神経症の時代。
宮崎駿監督がある作品で
現代社会をそう表現しました。
世界22ヵ国を対象に
外見に関するアンケート調査を行った。
「自分の外見の美しさに満足している」
と回答した人が最も少なかったのが、
日本でした。
いかに日本人が外見に拘り、
コンプレックスを持っているかがわかります。
本書に登場する9名の方々は、
生まれつきの病気や障害で
外見、顔に症状を持っています。
それはこの日本ではとても生きにくい
特徴といえてしまいます。
9名の方々に共通する過去があります。
それは「いじめ」です。
そんなハンディキャップを抱えた皆さんが、
素敵な笑顔を浮かべています。
それはなぜか。
「自分の悩みと折り合った」
「自分の悩みを割り切った」
僕はそう解釈しました。
語られる言葉が、まっすぐ心に沁みてきます。
言葉に説得力があります。
そして、本書の執筆は水野敬也さん。
「夢をかなえるゾウ」の作者。
最強の自己啓発小説の作者。
面白いに決まっているじゃないですか。
感動するのは、もう確定です。
辛い悩みを抱える人が身近にいたら、
僕はこの本を手渡す。
本書に必ず誰かの心を勇気づける言葉、
人の心を動かす言葉があると信じているから。
それでは、読んでくれた方々に、
言葉の燈が灯るように、
全力で書きます。
『こんな方に読んでほしい』
・年齢を重ねることで自分の魅力が
失われるんじゃないかと不安になっている人
・「人からどう思われているか」
が気になってしまう人
・周囲の人間関係に悩んでいる人
・恋愛に自信を失っている人
・自分の欠点やコンプレックスが気になる人
・他者とのコミュニケーションが苦手な人
・いじめに悩んでいる人
・外に出るのが億劫で部屋に
引きこもりがちになっている人
・「やりたいこと」や「好きなこと」が見つからない人
・今の自分の環境や状況を変えたい人
・やりたいことがあるけど
勇気がなくて踏み出せずにいる人
『物語1 ベストでない環境と、どうやって折り合うか』
看護師さんがこう言ったんです。
「君は、いつも自分のことばかり気にしているけど、
君を大事に思ってくれている人のことを
考えたことはあるの?」と。
かなり厳しい口調で言われました。
顔の症状に対する考え方を
変えるきっかけをくれました。
専門学校の先生。
就活の面接後に言ってくれた。
「顔のことを言われた時は、
自分でフォローしてアピールしていかなければ、
君の良さは相手には伝わらないんだよ」
と教えてくれた。
それからは面接で顔のことを聞かれたら、
顔の症状をPRに結びつけるようになれました。
顔の症状で気持ちが落ち込んでも、
マラソンのトレーニングをすると
必ず一度リセットされるんです。
マラソンには日常では得られない達成感がある。
素直に走るだけ。
「受け入れるというより、折り合っていく」
折り合っていくという姿勢は、大きな希望になる。
完全に受け入れることは難しい。
折り合いをつけられるかは、自分の考え方かもしれない。
「折り合い」という言葉を見つけた
中島さんが本当にすごいと思いました。
「中島さんから学んだこと」
・人目を避けるのではなく、外に出て夢中になれるものを探す
・運動など悩みをリセットできる
よりどころを持つ
・完璧な状態を目指すのではなく、
今の状態を与えられた環境として受け止め、
その状態のまま進み続ける。
『物語2 恋愛に踏み出すために必要なもの』
お母さんは私を特別扱いせず、
いろいろな場所に連れ歩いてくれた。
自分の体験を一人芝居で表現された。
顔の症状がなければ作れなかった芝居なので、
この芝居が人を元気づけたり励ますことが
できていたとしたら、それは本当に嬉しいことです。
勇気を持つということは、本当に難しかったです。
それでも一歩踏み出してみたら、
想像もしなかった素晴らしい出来事が待っていた。
「川除さんから学んだこと」
・外見以外の部分で自分には多くの魅力が
あることに気づき、その魅力が伝わりやすい
場所を見つけた
・自分が苦しんだ経験を使って、
人を元気づけたり、勇気づけられないか考える
・一度挑戦してダメでも、何度も挑戦する
・勇気を持って行動しても、
必ず報われるわけではないが、
行動することで、想像もしなかった
素晴らしい体験に恵まれることがある。
『物語3 自分に不利な状況を、どう覆すか』
他者に自分に対するフォーカスは
ズレているもだと気づくことで、
目のことは気にならなくなったのだと思います。
挫折は就職面接かもしれない。
目の症状をどう乗り越えたかよりも、
目の症状そのものが問題視されてしまった。
面接は自分に向いていないと判断。
それからはインターンで自分をPR。
就職することを達成された。
「泉川さんから学んだこと」
・自分が自分に対し注目している部分と、
他者が自分に対して注目しいる部分は、
違っている場合が多い。
・自分を鍛えてくれる場所に身を投じることで、
自信を育てられる。
・壁にぶつかったときは、
自分の得意分野を活かして、
乗り越える。
・悩みを受け入れるのではなく、
悩みを持ち続けることで、
強くなることができる。
『物語4 好きなものとの出会いがすべてを変える』
私が思うのは、これまで私は好きなものに
助けられてきたってことなんです。
好きなものがないと、
「自分はどうして顔に症状があるんだろう」とか、
「どうしていじめられるんだろう」とか
そういく気持ちが頭の中を
ぐるぐる回ってしまいます。
もう一つ大事なことは、
自分と同じ好きなものを好きでいてくれる人が
必ず世の中にはいますから。
そういう人たちと繋がってほしいです。
「タガッシュさんから学んだこと」
・狭い世界に閉じこもると社会に対して
偏った考えをも持ってしまう。
思い切って新しい場所に行き、
違う価値観を持つ人たちと接することで、
社会に希望が持てるようになる。
・今の自分をそのままの状態で
受け入れてくれるような
コミニティを見つける
・自分が純粋に楽しめる好きなことを見つける。
好きなことをしていれば辛い現実が緩和され、
そのことをもっと楽しむために
新しい場所に行きたくなる。
また、同じものを好きな人と
繋がることができる。
『物語5 悩みのどん底を楽しむ』
人生にって何が起きるか本当にわからない。
あと、人生っはダメでもやり直しがきくということです。
みんなが思っているよりも、世の中はやり直しがきく。
「今は病気が本当に楽しいんですよ」
「武田さんから学んだこと」
・とことん悩み抜くことで、
自分の状態を受け入れられるようになる。
・本当に辛くなる前に、
周囲に誰かに助けてという。
・人生は本当にいつ何が起こるかわからない。
やりたいことはためらわずにやる。
・世の中にやり直しがきかないことはない。
『物語6 自分を輝かせてくれる場所は必ず見るかる』
高校3年のとき教師から
「自分のことを言わないよりも言ったほうがいい。
理解してもらえなくても、理解してもらえるように
努力したらいいんじゃなか」
と教えられた。
就職活動では、自分にあった場所を探すことを
頑張ることにしたんです。
「笠本さんから学んだこと」
・人との間にある壁は、相手ではなく
自分も作り出している。
・自分にあった居場所を探し続ければ、
居場所は必ず見つかる。
・高い基準を乗り越えようとすることで、
人は成長する。
・悩みを乗り越えるために
明るさを大事にする。
『物語7 コミュニケーションの苦手な人が気づくべきこと』
新聞配達が合っていた。
早朝で人目を気にしなくて。
あるとき、テレビ番組“電波少年”
をみて自転車旅へいくことにした。
一番大きく影響を受けた経験は
「人と話す」ということですね。
自転車旅で声をかけてもらう
機会が多かった。
自分は話したくないわけじゃなかった
ということに気づいた。
私は旅をするまで
「自分はコミュニケションが苦手」
「人と話したくない人間」
だと思っていた。
本当は人と話したいという欲があった。
3ヶ月で目標の与那国島に到着。
強烈な達成感があった。
自分でここにいくという目標を立て、
達成することができた。
自転車旅でやりたいことが見つかった。
“ホームレスの人の支援“です。
ホームレスの人たちが助かる仕組みを
作れば、自分を助けることに繋がる
のではないかと思った。
大きく「福祉」という言葉に
飲み込まれていきました。
顔の症状は見た目の問題というより、
コミュニケーションのも問題なんです。
「三橋さんから学んだこと」
・人生には「変えられないこと」と
「変えられること」がある。
変えられないことに囚われない、
変えられることに目を向ける。
・相手に警戒されるのは、
見た目の問題ではなく、
コミュニケーションの問題である。
・自分と同じ悩みを抱えた人を助けることで、
人は成長し、癒される。
『物語8 起きてしまった失敗をその後の人生にどう生かすか』
顔症状の手術の失敗を経験。
人生にどんな影響があったのか?
一番影響を受けたのは
「こういう経験をしたからには、
この経験をプラスに変えたい」
と考え始めたことですね。
それで自分と同じ症状を持つ人と
繋がろうと思ってインターネット掲示板
を立ち上げた。
新たな悩みも生まれた。
自分はかなり症状が軽い方だった。
社会人になって悩みを向け出せた。
顔に症状がない人でも色々悩みを抱えていて、
そもそも自分の状態を他者と比べることに
意味はないと思うようになりました。
だから自分がどう行動するかは、
「自分が何を得られるか」で判断すればいい。
「村上さんから学んだこと」
・手術するときは良い患者にならない。
セカンドオピニオンを必ず受け、
手術リスクなど気になることは
すべて聞き、情報を得る。
・自分の悩みを他者と比べる必要はない。
・自分が何を得られるかを基準にして、
行動を起こす。
・覆水盆に返らずらずだが、
地面に落ちた水で新たな芽を育てる。
『物語9 深い悩みの中で、どうやって前を向くか』
就職面接で不採用が続く。
それでも面接を受けるのをやめなかった。
なぜ?
不採用は割り切るしかない。
僕の外見に問題があり不採用あったとしても、
それは「相手の問題」であって、
変えることはできません。
母親の影響でこんな風に考えられるようになった。
あるとき、母にこんなことを言った。
「お母さんがこんな症状に産んだから悪いんだ」
そしてら母親は、
「私はあなたがこの状態で産まれて
良かったと思っている。
それがあなただから」
と言ったんです。
それで後から考えたときに、あのとき母親に
「こんな顔に産んでごめんね」と謝られてたら
辛かったろうなと思ったんです。
でも母親は、謝らなかった。
母親の教育方針は?
僕を普通の子供に育てるということ
だと思ます。
どうれば悩みを前向きに捉えられる?
誰でも生きていれば悩む。
外見に症状があるかは関係なく。
だから問題は、悩みを「どう捉えるか」
だと思います。
世の中にあるものは、どんなものにも
意味があるんだと思います。
この症状を持っている自分だからこそ
できることがあるんじゃないか。
「私も障害を持っているが、
あなたが働く姿をみて勇気づけられた」
バイト先の店にそんなメールが届いた。
誰がみてもい一瞬でわかる症状だから、
誰かを勇気づけることができた。
「石田さんから学んだこと」
・相手を変えることはできない。
変えられないことは割り切って
「自分の変えられること」に目を向ける。
・悩みに対して
「自分の行く手を阻むもの」ではなく
「自分のためになるもの」だと
捉えることで乗り越えられる。
・世の中にあるものは、
どんなものにも必ず何か意味がある。
『終わりに』
どうしてこんなにも心が揺さぶられるのだろう。
それは彼ら・彼女らは人生で辛い出来事を
経験し、悩み抜き、それを乗り越えたにも関わらず
「これからも悩みは続くだろう」
と答えていたからです。
そして、その姿勢は、世の中に多くある実用書が
「こうすれば悩みは解決する」
と簡単に言っているのとは
対極にある姿勢だと感じました。
彼ら・彼女らもそんな実用書を見聞き
したことがあったはず。
それでも解決しなかったからこそ、
自分自身で考え、悩み抜き、それそれの解決法を
見出していきました。
だからこそ彼ら・彼女らが口にした言葉には、
オリジナリティと深みがあり、また同時に、
悩みから解放されることはないという
厳しい現実にたどり着いたのでしょう。
これからも悩みと向き合い乗り越えていこう
という姿勢に、深く心を動かされることに
なりました。
「乗り越えた悩みが大きいほど、人は魅力的になれる」
本書に登場した人たちには
目に見えない美しさがありました。
そして、悩みがなくならないということは、
その美しさもまた、どこまでも深めて
いくことができる。
この事実こそが最大の希望だと感じます。
本書が見た目という分野を超えて
現代を生きるすべての人の悩みを
乗り越えるきっかけになることを
心より願っています。
『読書感想』
アドラー心理学の実践
本書を読んでをそう感じた。
“課題の分離“
自分が悩んでいる症状を
どう捉えるかは、他者の問題。
自分ではコントロールできないから、
自分の課題ではない。
“他者貢献の導きの星“
他者にどう思われるかでななく、
自分がただひたすら、
他者のためにやりたいことを、
導きの星に向かって突きつめる。
アドラー心理学は論理的で、無情的。
アドラー心理学を実践するには、
知った年齢の半分の年月が
必要とといわれている。
本書に登場する人たちは
そんなアドラー心理学を
自身の経験から身につけた
凄い人たちだった。
僕は本書に登場する人たち、
著者の水野敬也さんの
素晴らしい文章を、
人生の手本としたい。
そう感じることができた。