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【本考察 #026】 絵本 『ふたりのももたろう』 を、大人の視点から考察する


伝統的なももたろうの物語と鬼に育てられたももたろうの物語の対比

一方は私たちが馴染み深い伝統的な『ももたろう』の物語を、もう一方では鬼に育てられたももたろうの物語を描いていました。

達観してみると、環境が個人の成長に与える影響を示唆しているように思います。環境が人格形成に重要であるという理論がたびたび心理学や生態系理論でも語られると思いますが、「個人を取り巻く複数のシステムが相互に影響しあって人格が形成されるということ」によって意見の相違や行動に差が出ていることを子どもにもわかりやすいメッセージで伝えられています


「違い」を受容する、平和で理想的な世界の描写

絵本の中で、鬼に育てられたももたろうは「違い」を受容することの重要性を学んでいきました。社会心理学における「イングループとアウトグループ」の概念ですね。自分たちのグループ(イングループ)を好む傾向があり、異なるグループ(アウトグループ)に対しては偏見を持つことがあることを描写されていました。また、異なるグループの人々との接触を増やすことで、偏見を減らし、相互理解を深めることができることまで伝えるのは少々困難ですが(苦笑)


自己と他者の違いを認識し、尊重する学習

自己と他者の違いを認識し、それを尊重することの大切さを教えています。自己他者認識は、自分と他人を区別し、他人の視点を理解する重要な能力で、共感的な行動や社会的スキルの発達に不可欠です。異なる背景を持つ「ももたろう」の物語を通じて、子どもたちは多様性を受け入れ、他者と協力することが伝えられているメッセージだと思います。


ただの物語を超えて、子どもたちに重要な社会的スキルと価値観を教える教育ツールとして大変わかりやすい一冊でした。

純粋に違いを気にしない子もいれば、違いを「変」だと感じる子もいると思いますので、この現代の必読絵本に思います。。


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