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記号系と概念系という形而下と形而上

数学における符号としては,最も初歩的なものは$${+}$$と$${-}$$である.
日本では中学の『正負の数』という単元で習う.

しかし,他にも符号というものはあり,例えば置換の符号というものがある.

この記事では「置換とは何か?」を知っている必要はない.
知っておいてほしいのは,置換における符号とは$${+}$$と$${-}$$ではなく,$${+1}$$と$${-1}$$であるということだ.

ポイントは,数学において$${\pm}$$と$${\pm1}$$をある意味で同一視しているという点だ.

僕の興味は「なぜ同一視できるのか?」というところから始まるが,そこで記号系と概念系というものを考えたときに見えて来る形而上の数学と形而下の数学について考察したい.


なぜ同一視できるのか

$${\pm}$$と$${\pm1}$$は似てはいるが,$${1}$$が付くか付かないかという明確な違いがある.

同じものではない.
しかし,同一視はできる.

「同じでないものを同一視できるのはどのような場合なのか」を理解するには数学の専門的な考え方が必要になるが,ここでは概観を掴んでもらえればよい.


$${5}$$という数字を用いて$${\pm}$$と$${\pm1}$$を比較してみる.

$${5}$$の前に$${+}$$を付ければ正の数の$${+5}$$($${=5}$$)となる.一方で,$${-}$$を付ければ負の数の$${-5}$$となる.

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