見出し画像

勘違い野郎から自由にー『ファクトスルネス』を読んで


『ファクトフルネス』

【読書感想シリーズ】第3弾!
今回読んだ本は『ファクトフルネス』
この本の紹介をしつつ、感じたことを書きたいと思う。



実はとある研修会で、この本の冒頭に出てくる13問のクイズに挑戦した。
このクイズは全て3択クイズ。
内容は世界のこと。

例えば第3問目は、

質問3 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?
A 約2倍になった
B あまり変わっていない
C 半分になった


といった具合だ。

持ってる知識をフル活用して答えた結果、
僕の正解数は......たったの2問。

そう、チンパンジーでも3割、4問は正解するのに!
同じ研修会を受けていた人たちみんなも、正解数は1問、2問といったところだった。


みなさんもぜひこのクイズに挑戦してみて欲しい。
気になる人は上のAmazonのページから購入できます。


ちなみにこのクイズ、頭が良いからと言って正解率が上がる訳ではない。
むしろ、頭の良い人こそ、間違ってしまうようなクイズなのだ。

ではなぜ、このクイズはこんなに難しいんだろうか。
それは、人間は10個の本能によって勘違いを起こしているからだと著者は言う。

私たちは、世界の正しいデータを見ていないので、世界の有り様を勘違いしているのだ。



ファクトスルネスとは、10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣。

この本で言おうとしていることは、
世界は良くなっている ということだと思う。

そして、そのことを知らずに、
「(思い込みによって引き起こされる)不安や恐怖に怯えるのはやめよう、事実を正しく見て、豊かな生活を送ろう」
ということだ。


本書では、その10の思い込みを丁寧に説明してくれている。



『ファクトスルネス』を読む上での注意点


しかし、データに基づき世界を見て、
「世界は良くなっていっている」と思ったとしても、
世界の諸問題、例えば貧困の問題をどう見て、どう自分が関わるべきかということは、主観的な問題だと思う。

「貧困は少なくなってきている」というデータを見たとして、
じゃあ、今貧困で苦しむ人のことをどう考えればいいのだろうか。

「世界は良くなるから、私は関係ない。何もしなくていいや〜」
となってしまうと困るのだ。

世界の諸問題を解決しようと働く人々の努力の結果が、世界を良くしていっていることは忘れてはならない。

本書の趣旨は、世界を良くするためにみんな頑張ろう!というものではなく、あくまでファクトスルネスという概念を示すことだと思う。
だから、「ファクトスルネスという概念を学ぶこと」と「世界の諸問題にどう対応するか」という問題は、似ているようで別の問題であることに注意が必要だ。

もちろん著者たちは楽観主義ではない。彼らは、可能主義者という言葉を使い「根拠のない希望を持たず、根拠のない不安を持たず」に世界の可能性を見出そうとしているのだ。

**
むしろ、世界を正しく見れるようになった人は、自分にできることは何だろうか...と自分にできる可能性を探すようになると思う。**
少なくともこの本を読み終えた自分はそう思った。



勘違い野郎はお前だ!


本書の大部分は10の思い込みの説明である。
説明の中には、著者が実際に出会った勘違いをしている人々が登場する。

この本を読みながら、実際に自分の生活の中でも、その勘違いをしている人と出会っていくのが実に興味深かった。

例えば10の思い込みの中に、「犯人探し本能」というものがある。
最近、とある仕事場でトラブルが起きた。
すぐさま上の者は「誰がトラブルを起こしたか」を探すのに夢中になり、
後輩らを犯人と決めつけた。
その後輩らは「なんで俺たちが悪いんだ...」と納得のいかない様子だった。

その一部始終を外から見ていた僕だったが、
このトラブルは、原因が分かって解決したわけでなく、
犯人が見つかって解決していた様子だった。

全くおかしな話である。

この本を読んだ直後での事件だったので、すぐさま僕は
「これが犯人探し本能ってやつだな」と思った。

トラブルが起こった時、大切なことは犯人を探すことではなく、トラブルの原因を解明し、対策を打つことなのだ。
しかし、人間は本能によってすぐ犯人探しをしてしまう。



......とか考えていたのだが、この本を読み終えた頃、
実はこの犯人探しをしている人は、他の誰でもなく自分だったのではないだろうか、と思った。

"10の思い込み"をしている人は、本書の中の登場人物や、身の回りの事件の当事者だけでなく、自分もそうなのだ。

いや、むしろ、自分こそが、この思い込みから離れられていないのではないか?

**他人を指差して勘違いしているなとすぐ思ってしまうが、
実は自分こそが一番の勘違い野郎なのだと気づかされた。

「勘違いしている人がいる」と思うこと自体が勘違いだ。**

10の思い込みは、自分のことだという自覚の上でしかありえない。

この本をこれから読む人は、ぜひ「自分もこのような思い込みをしていないか?」と自問自答しながら読んでもらいたい。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

マガジン「読書感想ノート」を作成しました。
これからも読んだ本を紹介していくので、ぜひチェックして下さい〜!


いいなと思ったら応援しよう!

Okuda Shogo
読んでくださり、ありがとうございます! 頂いたサポートは、仏教と音楽の普及活動、仏教とサッカーの普及活動に充て、記事にします

この記事が参加している募集