「共通テスト試作問題」公開
昨日、11月9日に共通テストの試作問題が公開されました。
私の担当する数学やそれ以外にも大きな変更点があり、かなり話題になっています。
数学Ⅰ・A
数学Ⅰ・Aに関しては大きな変更点はなさそうです。
というのも、共通テストに名前が変わった2020年から時間が70分に延長、文章読解型の応用問題形式に変更しているため、今回の変更はそれほど無いように感じます。
ただ、整数が範囲から外れたことで選択問題がなくなったため、全問必答問題の4題構成となります。
データの分析の分量が多いのもこれまでの流れを踏襲したものであり、数学Ⅰ・Aに関しては波乱は無さそうです。
数学Ⅱ・B・C
数学Ⅱ・B・Cは出題する教科書の冊数と単元が増えたため、形式を大きく変更しています。
大問1~3が必答問題、4~7から3問を選択する形式になりました。
必答問題
大問1、2の解析分野からの出題はそれまで小問2つに分かれていたものが一つになり、分量が減っています。
それぞれが図形と方程式、三角関数からの出題となり、微積分は大問3に移行しました。
大問3ではこれまでの大問2にあった微積分が出題されています。
ただ、細かい数値計算で差がつくというよりは、方針や概略を考える形式にシフトしているのが特徴と言えます。
この辺りはこれまでのセンターから共通への変更に倣ったものになっています。
選択問題
さて、選択問題に関しては大きな変更があります。
大問4は数列、大問5は確率分布、大問6はベクトル、大問7が曲線と複素数平面、となっています。
数列はもともと複雑化する傾向にあったため、今回も同様の流れです。選択問題の中では最も変更が少ないかもしれません。
確率分布は旧課程の問題と比較してデータの統計的な取り扱いや、長い文章から情報を検索する能力が問われる傾向が強まっているようです。
ベクトルは難化して、実際に存在する図形への応用問題となっています。こうした傾向は今後も続くようです。
曲線と複素数に関しては、共通テストでこの分野は初出ということもあり、試作問題では明らかに簡単に感じました。
かなり基本的な性質の内容を問う問題が多く、無理やりひねり出す必要のない素直な問題であり、2次試験の対策を行っている受験生ならば問題ないレベル感です。
今後は難化していくでしょうが、ここ数年はこうした傾向は続くのではないでしょうか。
全体を通しての概観
全体を通しては、「法則化」と「推測」を問う問題が増加しています。
これは、これまで最後まで計算して解答を得る、というセンター試験の方向性とは異なる方針であることが読み取れます。
今後もこうした個別の事象から一般的な法則を導き出し、さらに高次化した推測を求める問題は増えるのではないかと考えられます。
このあたりは新課程で求められている学力観から落とし込んだものなのでしょう。
個人的にはこうした方向性に関して比較的賛成の立場ですが、教科の専門の方からは疑問の声や批判が集まるのではないでしょうか。
今後の動きに注目したいところです。