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「教員のにおいがしない」学校行事
ここ最近よく歌を聞いている歌手の方がいます。
「早希」さん、という女性ボーカリストです。
シンガーソングライターでもあります。
ソロ活動だけでなく、ソニーミュージックの若手アーティスト集団「ぷらそにか」にも所属するほか、「Love Harmony’s, Inc.」というアカペラグループでも活動をされています。
その早希さんが出演する彼女の高校時代の文化祭の生徒作成動画の出来が非常の良いので、それをテーマに書いていきます。
「教員のにおいがしない」動画
その動画がこれです。ちなみに女性メインボーカルが「早希」さんで、男性メインボーカルは「髙塚大夢」さんという男性アイドルの方です。
中央大学杉並高等学校の文化祭「緑苑祭」の2017年のテーマソングの動画です。
おそらくは生徒のテーマソングから撮影、編集までその年の卒業生中心となって行っている自主制作動画で、毎年制作されているようです。
特にこの2017年の出来は非常に素晴らしく、テーマソングの出来、歌唱力、編集などかなりのクオリティです。
しかし、この動画の最もすごいところは「教員のにおいがしない」ところです。
多くの学校の行事で「教員のにおいがする」
私の勤務校は私立高校です。学校行事の内容や雰囲気、盛り上がりなどは生徒募集に影響します。
そうなると、教職員の仕事として行事の運営からサポートまでが含まれてきます。
また、熱心な教員はついつい指導に熱が入り、生徒主導でないような行事運営になりがちです。
知人に聞く限り、これは公立でも同様のようです。
生徒募集には無関係とはいえ、地域住民やOBOGの期待を受けているため、とにかく行事を形にすることに力を注ぎ過ぎてしまうことはよくあるようです。
その結果どうなるかというと「教員のにおいがする」行事が出来上がります。
名ばかりの「生徒主体の行事」
多くの高校生は所詮、17、8の子供です。
もちろん能力や判断力が傑出している生徒もまれに存在します。
しかし、多くの生徒は行事などイベント開催においてノウハウを持っていない未熟なスタッフに過ぎません。
そのため、行事の成功を優先して考えると教員が手を出し、口を出し、していくことになります。
(教員が優秀かどうかは別として、蓄積された行事運営のノウハウとフォーマットは存在します。)
そうすると、教員から見た真面目さや熱心さを評価する雰囲気や、ふざけた場面であっても大人が喜びそうなやりとりに落ち着くなど、生徒主体とは名ばかりで、行事の端々に「教員のにおいがする」ことになります。
生徒の手で作られているのが伝わる
それと比較すると、この中央大学杉並高校の動画は明らかに教員のにおいがしません。
撮影やそれ以外のところにも外部の私からみてそのにおいが全く感じられないのです。
映画のおまけ映像のようにメイキングがYouTubeに上げてありますが、これを見る限り生徒が撮影を行い、教員など大人のにおいがしない動画であることが伝わるのではないでしょうか。
撮影、編集などは「釘本勇気」さんという当時の生徒の方で、現在は映像制作集団「RARERU」で活動をされているようです。
外部の人間からすると、教員がどこまで関わっているかどうかは不明ですが、それを感じさせないということは素晴らしい出来だと思います。
「教員のにおいがしない」理由
この理由に関して、この年卒業生が傑出した才能を持っていたという可能性もあるでしょう。
しかし、毎年の動画でも同じように非常に高いクオリティを維持できているということはそこに理由があるはずです。
この理由としては考えられるのは、中央大学杉並高校が高校受験ではそれなりの難関高校でありながら、高大一貫を謳った受験を考えなくてよい環境であるというところではないでしょうか。
同校では9割以上の生徒が中央大学に内部進学するようです。そのために、高校3年生の夏(夏服やプールのシーンから察するに)にこれほど大学受験以外のことに取り組み、成果を上げることができるのでしょう。
理想形=PEANUTS
私は学校行事に熱心になって指導するタイプの教員ではありません。行事関して興味関心が薄いのです。(きちんと仕事はしていますよ)
そんな私のような教員にとって、この中央大学杉並高校のこうした雰囲気の行事は理想形に近い形かもしれません。
こうした大人の姿が見えないようにうまく描かれた様子を見ると、SNOOPYのマンガ、PEANUTSのように大人が存在するが顔が見えない世界を思い出します。
あの巧みな描き方こそが、理想の教育機関の在り様ではないかとも思うのです。
先日YouTubeに「早希」さんの新曲の動画がリリースされたので、リンクを張っておきます。