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教育問題に関する私見と雑観

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私が書いた記事のうち、教育全般に関する個人的な意見などのものをまとめています。
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#教育実習

教育現場は教育実習で教職を諦めるという必然をいつまで放置するのか

教育現場は教育実習で教職を諦めるという必然をいつまで放置するのか


教員不足対策の現状昨今、全国的な教員不足が問題となっていますが、その対応が各自治体や教育委員会で行われています。その中でも最たる例が試験の日程の前倒しです。

民間企業の面接よりも先に試験を実施することで、民間の内定前に採用者を確保しようという目論見のようです。

しかし、この内定の日程はあくまでも公的なものであり、実際にはすでに内々定で就職先が決定しているというケースは少なくありません。

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教員採用試験の受験の有無で実習の受け入れ可否を決める思い上がり

教員採用試験の受験の有無で実習の受け入れ可否を決める思い上がり


愛知県と名古屋市の教育委員会愛知県及び名古屋市の教育委員会は学生の教育実習受け入れ時に“採用試験受ける意思の有無”回答させていたことがニュースになっています。

愛知県はすでに取りやめているとのことですが、名古屋市は現在も継続中のようです。

教員不足が叫ばれる昨今において、採用試験を受験しなければ教育実習を受けさせないとは上から目線の横暴なふるまいというだけでなく、潜在的な教員を減らすという自

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なぜ教育学部の学生だけは教育現場を「過酷というのは偏見」と捉えるのか

なぜ教育学部の学生だけは教育現場を「過酷というのは偏見」と捉えるのか


教育実習が教員を減らす公立学校の教員採用試験の志願者が減り、学生が教職を敬遠する状況が続いています。

かなりの数の自治体の志願者倍率が1倍台に落ちるなどしており、非正規の講師の数は減少、代理を受け持つ人材の枯渇は深刻な状況になっています。

新卒の学生が教員を避ける原因の一つに、過酷な勤務実態を知り教員という選択肢を選ばなくなる、というものがあります。

そしてその原因の一つが、教育実習の経験

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教員採用試験の前倒しという行き当たりばったりの愚策

教員採用試験の前倒しという行き当たりばったりの愚策

この数年、教員不足が顕在化し採用試験の倍率低下はとどまるところを知りません。

この状況に対し政府や文科省も一応の対策を行う方針を見せていますが、それもどこまで実効性があるのか微妙なところでしょう。

なぜならば、場当たり的な賃金引上げ(しかも僅かな金額)や免許制度を緩める案が大半で、現場の業務量削減に関しての具体的な方針が見えないからです。

そして、ここにきて更なる悪手に彼らは手をつけるようで

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教員になるつもりのない教育実習生の存在

教員になるつもりのない教育実習生の存在

学校のスケジュールとして、入学や新学期の喧騒から落ち着いた雰囲気となる5月の後半から6月にかけては教育実習の時期となります。

私の勤務校や近隣校でも実習時期のようですし、どうやら全国的にも同様のようです。

教育実習生の本音教育実習に行く前に大学では事前指導が行われていますが、その中で強く注意されたことがあります。

内容としては「採用試験を受験しない」、「教員になる予定はない」、「就活をしてい

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教育実習におけるハラスメントの問題は教育業界の体質が影響している可能性がある

教育実習におけるハラスメントの問題は教育業界の体質が影響している可能性がある

先日、高知県において教育実習生が実習先の高校で担当教員からハラスメントを受けたことで記者会見を行った件が報道されていました。

ハラスメント被害を訴えたのは22歳の女子大学生で、高知市内の県立高校において教育実習を行っているときに繰り返しハラスメントに当たる言動を受けたということのようです。

詳しいハラスメントの内容ハラスメントは具体的には以下のようなものが行われたということです。

作成した指

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教員免許の2種を4年制大学に拡充するより、教育実習を無くす方が免許取得のハードルは下がるのではないか

教員免許の2種を4年制大学に拡充するより、教育実習を無くす方が免許取得のハードルは下がるのではないか

小中学校の教員不足が問題となる中、文科省はまたもやピントのずれた施策を思いついたようです。

従来は4年制大学では1種免許しか認めていませんでしたが、これを短大などで取得する2種免許の取得を可能とし、取得単位数を減らすことで免許取得者を増やすことを狙ったようです。

インセンティブの低さがそもそもの原因教員不足の根本的な問題はそもそもが、教員という職業のインセンティブの低さに原因があります。

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教員は若者を「選ぶ」側ではなく、「選ばれる」側になった

教員は若者を「選ぶ」側ではなく、「選ばれる」側になった

多くの学校では、5月も後半は教育実習の時期となっているのではないでしょうか。

以前、教育実習について記事を書きました。

ここで触れた、教育実習生に対する現場の向き合い方について考えていきたいと思います。

旧態依然とした「実習観」先日、twitterで以下のツイートが流れてきました。

これに対し結構な数の批判的なリプが見られました。

教育実習生は寝食を忘れて必死になって取り組むべきだ、とい

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教育実習生の心を折るブラック労働

教育実習生の心を折るブラック労働

教育実習生を受け入れることに関して、学校現場はなぜか上から目線で実習生に接しています。

「採用試験を受けない実習生は受け入れない」

「忙しい先生方が無償で指導しているのだから、平身低頭で望みなさい」

「就活などもってのほか、他の予定はすべて断りなさい」

自分たちがボランティアで受け入れていると言わんばかりの態度や対応であるケースが多いようです。

今回はこのことについて考察していきます。

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