モーセの割った海
富裕層がうどんを海に流している
「余るほどあるのさ、うどんなんて」
贅沢な笑みを浮かべて、次から次へと投げ込む
「我々の力を見せつけてやるんだよ」
麺は海に浮かび、そして沈み、ゆらゆらと漂う
魚たちは困惑している、その意図が分からない
そして、対岸ではモーセがそれを見て唸っている
「なんだ、なんだ、何をしている!」
海はうどんの海と化そうとしている
海藻に巻きつき、クラゲを呑み込む
遂に海全体が濁りだし、モーセが叫ぶ
「お前たち、何をしている!海は聖なるものだ!」
モーセは荒い息をつき
その手に握った杖を地に突き立てる
「神はかつて、この海を二つに割った、我々を救うために」
だが、富裕層はそんな話など興味もなく
またもやうどんをざぶざぶと投げ込み続ける
「今や我らが道を作るのだ、うどんでな!」