浮腫②|浮腫の仕組み
こんにちはSHOです。僕のnoteを読んで頂きありがとうございます。
今回はこちらの投稿の続きとなります。
早速前回の復習からやっていきます。
○前回の復習
浮腫になる原因は3つあるとお伝えいたしました。
浮腫とは、間質に過剰な間質液が溜まってしまった状態のことを指します。浮腫になる原因は
①血管にうまく吸収されない
これは血漿膠質浸透圧が低下した場合です。
②血管から水が出過ぎる
これは血管内静水圧の上昇、血管透過性の亢進です。
③リンパ管に回収がうまくいかない
これはリンパ管への流入障害です。
この3つに問題があったときに浮腫が起きます。今回はこれらを細かくみていくことにいたします。
①血管にうまく吸収されない
これは血漿膠質浸透圧の話になりますので、なんですかそれ?と思った方はこちらを一読ください。
血液内の血漿にはアルブミンというタンパク質が溶けています。なのでアルブミン濃度が高いのですが、間質液はアルブミンがあまりないということで濃度差が生じて、その濃度の差に応じて浸透圧が発生しています。これが血漿膠質浸透圧で、このお陰で間質液から水分を血管に引っ張ることができます。これが正常な状態です。
ただ、アルブミンが血漿内から少なくなると、アルブミン濃度が低くなることによって血漿膠質浸透圧も低くなります。そうすると、吸収する水分を減ってしまいますので間質に間質液が溜まっていきますので浮腫になります。
もう、ここまで読んで頂ければお分かりになるでしょうが、血漿膠質浸透圧が低下するときは、アルブミンが少なくなる時なのです。どういう時に空くなるのかという話ですが
・低栄養状態
アルブミンは肝臓で作られるのですが、そもそもアルブミンを作る材料がなければ作ることができません。
・肝硬変
栄養があっても肝臓が正常な機能を果たしていないのであればアルブミンは作ることができません。また、肝硬変になると、門脈の流れが悪くなり溜まりやすくなるのでこれも浮腫の原因になります。
・ネフローゼ症候群
アルブミンは身体にとって大事なたんぱく質なので、通常は簡単に体外に排出されることはありませんが、腎臓の病気でこの機能が正常に働かなくなると体外へ排出されていってしまいアルブミンが減ってしまいます。
②血管から水が出過ぎる
●血管内静水圧の上昇
まずは「静水圧」とはなんですか?という話からします。
こんな感じでビーカーに水が入っているものがあるとします。
お風呂に入っている時、プールで泳いでいる時など、あなたが水に浸かっている時には水圧を感じているはずです。そして、深くなればなるほどかかる水圧が強くなることもわかっているはずです。
だだ、水圧はあなただけにかかっているわけではありません。上のビーカーであれば、ビーカーの壁にも水圧がかかっています。水は触れているもの全てに水圧をかけているということになります。
このように、外部から押したり引いたりされないような水にかかる圧のことを静水圧といいます。血管内静水圧とはざっくり言ってしまえば血管に対する血液の水圧のことです。血管の中に血液が溜まれば血管内静水圧は高くなります。この力によって間質に間質液が染み出していくのです。
この時、血管内静水圧が上昇しすぎると、過剰に間質液が染み出していってしまうので浮腫になりますということです。
ちなみに、私たち人間は地球に生きている以上重力を感じています。この話の理屈通りに考えると、頭より足の方が血管内静水圧が高くなるのです。だから1日中立ったままの仕事をしている人とかはむくみやすいのです。とは言っても日常生活レベルの血管内静水圧の上昇で浮腫になることはあまりないです。心不全や腎疾患の時に起きやすいです。
●血管透過性の亢進
これは血管から間質液が出やすくなる現象のことです。血管透過性とは、血管壁における物質の通りやすさのことです。
通りやすくなったということは、水やアルブミンなどが間質に漏れ出るので浮腫になりやすいです。また、間質液と血漿の間のアルブミン濃度の差が少なくなるので、血漿膠質浸透圧が低くなります。なので、血管に水が戻りにくくなってさらに浮腫が増強されることになります。
血管透過性の亢進は炎症やアレルギーなどで引き起こされます。また別にお伝えしますので、あーそうなんだくらいで今は思っていてください。
③リンパ管に回収がうまくいかない
何らかの原因でリンパ管で間質液を回収することができなくなって浮腫が生じるものをリンパ浮腫といいます。
リンパ流の障害はどのような時に起きるのかというと、例えば悪性腫瘍(ガン)がリンパ管を圧迫したり詰まったりすると起きることがあります。また、ガンの手術なのでリンパ節を切断してしまうことがあるのですが(リンパ節郭清)、この後に、リンパの流れが滞ったりしてリンパ浮腫を起こすことがあります。
といった感じで、浮腫になる原因について詳しくみてきました。原因が分かると対策が立てやすくなりますので、これは何度もみておいて頂きたいものです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。