元銀行員の僕が教える銀行員の黒い話
こんにちは。
僕は今の仕事を行う前、地方銀行で働いていました。
東京の大学を卒業後、
就職活動をする際に「就職するなら長男だし将来的なことも考えると、実家の近くで職を探した方が賢明かな」と感じていたからです。。
そこで、
色々悩んだ挙句地元の地方銀行に入社することにしました。。
地方銀行では主に、法人営業や個人ローン
(いわゆる住宅ローンや教育ローンなども)の担当をしておりました。
銀行という機関は、普通の人であれば基本誰でも使う機関です。
当時の僕は、「ここで一生懸命働いて頑張れば、世の為人の為になるかな」とかなり薄いボヤッとした未来を見ておりました。
これが大きな問題でした。
・・・実際に働いてみると、勿論人の為にはなるのですが、
銀行組織の利益重視のいわゆる「殿様商売」が主流でした。
(結論、これが嫌で退職したのですが・・)
銀行という場所は、「堅実」「安定」「信頼」というイメージがありますが、
内部に身を置いてみると外からは見えない一面があることも事実でした。
今回は、僕が体験したり聞いたりした銀行業界の「黒い話」をお伝えしたいと思います。
また保身の為にも説明しますが、
これが全ての銀行や全ての銀行員に当てはまるわけではないことをご理解ください。
最近では銀行という組織を取り巻くTV番組なども出回っておりますので、ご存知の方もいらっしゃる内容も多いかもしれませんのでそこら辺を踏まえた上で、読み進めて頂けますと幸いです。
1.ノルマの過酷さと「顧客第一主義」の矛盾
まず銀行というと「お金を貸してくれたり、お金を預かってくれる場所」というイメージが想像できると思います。
そうです、。簡単にいうと、
銀行は、お金を貸してその貸したお金の利息(収益)が働いている銀行員のお給料の源になっています!
(実際には複数、収益源はありますので、その部分は最後にお伝えします)
銀行員のノルマの厳しさは、想像以上のものでした。
毎月、融資額・投資信託の販売額・保険契約数などが細かく目標として設定され、達成できないと上司から激しい叱責を受けます。。。
(僕も一度や二度ではありませんでした。。)
その結果、顧客にとって必ずしも必要ではない金融商品を勧めざるを得ない場面もありました。
高齢の方にリスクの高い投資信託を勧めたり、短期間で解約されると不利益が生じる保険商品を販売したりと、「顧客第一」とはかけ離れた営業活動が行われることも。
まず進める前に、銀行の収益構造を説明させて頂きます。
2.金利収益(利鞘収益)
金利収益は、銀行の最も基本的な収益源です。
以下のような仕組みで成り立っています。
3.仕組み
銀行は、預金者から資金を預かる際に利息(預金金利)を支払います。
その資金を貸出や債券などに投資し、そこから得られる利息(貸出金利や投資収益)で収益を得ます。
貸出金利と預金金利の差(利鞘)が銀行の利益となります。
4.例
預金金利が年0.1%、貸出金利が年1.5%の場合、利鞘は1.4%です。
銀行全体の資金量が大きいほど、利鞘が薄くても収益が安定します。
5.手数料収益
近年、銀行における手数料収益の重要性が増しています。以下が主な手数料収益の種類です。
6.主な手数料
振込手数料:個人や企業が送金を行う際に徴収。
外貨両替手数料:為替取引時の手数料。
投資商品販売手数料:投資信託や保険など金融商品の販売時に得られる手数料。
信用保証手数料:ローン契約時に保証会社に支払う手数料の一部。
ATM手数料:他行利用や時間外引き出し時の手数料。
7.トレンド
預金金利が低い環境では金利収益が減少するため、手数料収益が銀行収益の重要な部分を占めています。
8.マーケット運用収益
銀行は、預金や自己資金の一部を金融市場で運用して収益を上げています。
9.主な運用先
国債や地方債:安全性が高い債券に投資。
外債:高い利回りを求めて外国債券に投資。
株式投資:自己資本での株式運用。
デリバティブ取引:金利スワップや為替ヘッジなど。
10.収益の特徴
マーケット運用収益は、金利動向や経済環境に左右されやすい。
金利上昇時には保有債券の価値が下がるなど、リスクも伴います。
11.その他の収益
銀行の業務多角化により、以下のような新しい収益源が増えています。
コンサルティング業務:企業や個人向けの資産運用アドバイス。
リース・クレジット業務:車両リースや分割払い商品販売の収益。
フィンテックサービス:デジタル決済や送金アプリの利用料。
不動産関連:不動産投資やローン関連の手数料。
12.銀行収益の課題
低金利環境
利鞘が縮小し、金利収益が減少している。競争激化
フィンテック企業や地方銀行との競争が収益圧迫要因に。デジタル化への対応
デジタルサービスの開発には多額の投資が必要。
13.まとめ
銀行の収益構造は、金利収益、手数料収益、マーケット運用収益が主軸ですが、経済環境や競争激化の影響を受けやすいのが特徴です。近年は多様なサービスの提供やデジタル化対応によって、収益源の多角化を進めています。
14.金利優遇の裏側
住宅ローンや事業融資で「金利優遇」という言葉を耳にすることがあると思います。しかし、その優遇条件には、さまざまな付帯条件が隠されています。
たとえば、「投資信託を購入」「保険に加入」「定期預金を契約」など、他の商品を契約することが条件になっているケースが少なくありません。。
これらは銀行が利益を得るための「クロスセル戦略」と呼ばれる手法ですが、顧客にその全貌が十分説明されないこともあります。。
15.営業店内の競争といじめ
銀行は成果主義が強く、特に営業店では数字が全てという文化があります。
そのため、成績が悪い社員が職場で孤立したり、露骨に冷遇されたりすることも。
新人やノルマ未達成の社員が昼休みの時間に上司から説教を受けたり、会議で「お前は銀行員に向いていない」と罵られたりする光景も目にしました。
精神的に追い詰められて退職する同僚も少なくありませんでした。。
16.「高齢者口座」の悪用リスク
銀行では、長年取引のある高齢者の資産が注目されます。そのため、相続対策や資産運用の名目で積極的に提案が行われますが、場合によっては顧客が内容を十分に理解しないまま契約することも。。本来あってはいけません。。
さらに一部では、顧客が口座を管理できなくなった状況を利用して、不正行為を行う事例も報告されています。これらは一部の悪質なケースですが、業界の信用を損なう行為として問題視されています。
17.内部告発の難しさ
銀行にはコンプライアンス部門がありますが、実際に問題を内部告発するのは容易ではありません。告発が受理されても、情報が現場に漏れ、結果的に告発者が人事異動や職場での孤立などの報復を受けることもあります。
そのため、多くの社員は「見て見ぬふり」をするか、問題を抱えながらも黙って働き続けるかの選択を強いられます。
18.最後に
銀行業界には、多くの優秀で真摯な社員が働いています。
一方で、こうした「黒い話」が業界に存在することも否定できません。
銀行にとっても顧客にとっても健全な関係を築くためには、透明性を高め、顧客本位のサービスを徹底する必要があります。
これから銀行と取引をする際、
あるいは銀行に就職を考えている方にとって、この話が少しでも参考になれば幸いです。