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もと永和商店街 (大阪府 東大阪市)
ここは、かつては商店街だったのかもしれない。JRと近鉄の駅がある。俊徳道 (しゅんとくみち)駅ちかくのほそいみち。
(1361文字)
永和商店街 (えいわしょうてんがい)
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いっぽんのみち。パン・履物店・駄菓子・青果店・てんぷら。
ところどころにお店があります。
そして更地もあります。
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近くで、たてもの解体工事。ここは、いつ通っても影がのびている。シャッターも錆びついたまま。看板もない、風もとおらない車も通らない。
みんなどこにいったんだろう。
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緑のテント、店じまい。2軒に閉店の貼り紙。中は暗くて電気もついていない。
理容所、木の看板。理容室より古そうな。
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米穀店のおもいで
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時が止まったお米屋さん。
ちいさい時、近所にあったお米屋さんより古いタイプだ。そう「プラッシー」のカンバンがないから。
なぜか、お米屋さんで注文してたのが、ビン入りドリンク「プラッシー」
ちょっとクスリのような味がした
オレンジ色。
あのころは、お米も醤油も重いものは配達してくれた。いつからかスーパーに行くようになったから、すっかり忘れた米穀店。
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まだこんなお店があったのか。
ついつい……お店をのぞきこんでしまった。
店主さんらしき人がのっそりと。
「ゆっくり見てってな」
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豆がある。量り売り。米穀店だから、穀物もあるのがあたりまえ。
木の箱に、つやつや、まるまる。
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いちごう、一合。この単位は変わらない。炊飯器についているカップが、かろうじて教えてくれる。
「ここは、アーケードもあったんやで」
やっぱり商店街だったのか。
俊徳道商店街とか?
「なんという名前の商店街ですか?」
「永和商店街 (えいわしょうてんがい)やった」
この町の名前は「永和」
たしかに、ひとつむこうに「永和駅」がある。近鉄とJRの。俊徳道とおなじ。
大人の事情で、駅の所在地と町名は必ずしも一致しない。商店街の街灯もすでにないから。
「そこが、むかしは公設市場やったんや。」
店主さんが指さしたのは、まあたらしい接骨院。ここは営業中。
むかしの俊徳街道はすぐそこ。
俊徳道の駅もある。きっとこっちが繁栄していたのだろう。
つやつやのあずき。二合500円。
漢字で「小豆」と書くけれど、ちいさいなかに、おいしさがつまってる。紫がかった上品ないろ。
ビニール袋の豆をひさびさに買った。いや、あずきってこんなに重かったのかな?
またトシをとったからね。
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銭湯がぽつり
帰り道。やっとわかった。
ここに銭湯があること。銭湯は、ちかくにもう一軒ある。
ずっと前から、こんなところに銭湯があるのが不思議だった。
もと商店街のはしっこ、ひとで賑わっていたのですね。
忘れたころに、わかることがある。
やっぱり車は通らない。生活しているひとたちは、歩くか自転車。
銭湯の前には、すでにびっしり。
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まったくわからない
つぎの日、あずきを鍋にて入浴。
思ったよりも早く、やわらかくなった。そして つぶれた。
スーパーのは、カチカチで時間がかかるのに。
そうか。
「餅は餅屋で」
「豆は米穀店で」
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もと永和商店街。
また、あずきを買いに行こう。
店主さんのおはなしも。
まめに聞いてみよう。
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割れたら切腹とよくいわれた。
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「フォト・イラスト の日」
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。