たゝみ屋さん
ちょん。わたしが字をならうころには「ゝ」は使わなくなった。おなじ字がつづくときの「ちょん」。
だれから教えてもらったのか。「ゝ」は、なんというのか。
いまだに知りません。
(860文字)
たたみ屋さん
ベルサイユ宮殿に鏡の間があるように、日本家屋には「たたみの間」がある。いや、あったのです。
たたみという漢字は「畳」。
四畳半・六畳など、たたみ1枚からならべて部屋のひろさをはかる。あらわす。
いまは、あまり使わなくなったかも。
たゝみ屋さんは、たたみ屋さん。まえを通ると、いいかおり。
青い草のような、乾燥したような。
ちいさいころ、まちの「たゝみ」屋さんで「畳」を作ってた。
職人さんとイグサ
たゝみ屋さんの店。ガラスの向こうで何かをしていた。台の上で編んでいたのかな、うすぐらい店で。
「たたみ針」は太くてキケン、おばあちゃんが言ってた。だから店の奥で作ってたのかな。
陽に当たったりしてはダメだったのかな?
いまとなっては、わからない。
トラックの荷台に、みどりのウエハースができた。これから、配達。作っているところもまだあるんだ。
ここは、なに屋さんか、わからないお友だちもいるかもね。
「上敷」は上に敷くから、ゴザ。
たゝみ屋さんには、たたみのヘリの切れ端とか、ゴザのスジスジとか、粉とか、いっぱい散らばってた。
たたみの家は、コンクリートの家になり、たゝみ屋さんは、たたみ屋さんになった。
たたみとセットのゴザ。いつの間にか、床はフローリングに。ゴザではなく、じゅうたんを敷くようになりました。
たゝみ屋さんの看板が残る。
たゝみ屋さんは、引っ越したり、たたみを作らなくなった。
あのかおりは、どんなだったかな。
家のイグサのかおりは、いつのまにか消えてしまった。
令和のいま、
たたみは、レンタルする時代。
箱になって収納できたり。ベッドになったり。
「たたみ」を見るとほっとする。
「たゝみ」を見ると……。
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。
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