
[本・レビュー] 小学館版 少年少女 学習まんが 日本の歴史②飛鳥の朝廷
8月の小学館版 まんが日本の歴史シリーズ全巻無料公開
せっかくなので、8月中に読破を目指してみようと思います。
私個人としては、講談社版の日本の歴史の購入を検討していたので、こちらを一通り読み終えた上で、比較をしてみたいとも思います。
第1巻は日本の誕生ですが歴史的人物が少ないこともあり、第2巻からスタートしてみようと思います。
絵柄は昭和のにおいがプンプンしますが、さすがにこの分野の先駆けだけあり、内容が非常に洗練されています。
子供の頃にも読んだことがあり、その頃は意識していませんでしたが、服装・机や道具を描く際にも、時代錯誤がないようにかなりの配慮がなされていることがわかります。
本書の最後に「おうちの方へ」という形で、京都教育大学名誉教授 高山博之先生の学習のポイントが記載されていますが、これが非常にまとまっています。
少し調整しながら、ほぼそのままを記載させていただきます。
第1章 「大王と古墳」
古墳は3~7世紀に各地で造られたが、特に近畿地方には4、5世紀の巨大な古墳が集中している。古墳の存在は、その地域にたくさんの人々を労役にかりたてることができる強力な豪族の存在を示唆する。
近畿地方では大王とよばれる強大な豪族を中心に大和政権が生まれ、国土統一を進めていく。
第2章 「聖徳太子と仏教伝来」
仏教信仰が広がってきた6世紀後半は、氏姓制社会がゆきづまり豪族の対立が激化し、朝鮮半島でも日本の勢力が後退するなど、内外とも動揺が大きくなった時期。仏教伝来をめぐる蘇我・物部両氏の争いはそれらを象徴した出来事。
聖徳太子の政治改革は、天皇の権威の確立、朝鮮問題への対処、中国との対等外交など多くの難問に取り組み、古代国家の変革に先鞭をつけた。
第3章 「大化の改新」
聖徳太子の死後、巨大な権力を誇った蘇我氏を、中大兄皇子(後の天智天皇)らが倒し、新しい国家体制をめざして行った変革が大化の改新。中国の唐の律令制度にならった政治を目標とし、公地公民制を基礎に天皇中心の中央集権国家の設立を目指した。
対外的には朝鮮半島で唐、新羅連合軍に日本軍が大敗する(白村江の戦い)など、争乱が続いた。
第4章 「壬申の乱」
天智天皇の死後に起こった古代における最大の内乱、壬申の乱。
改新政治によって生じた不満や対立が皇位継承の争いとかかわって爆発したのが壬申の乱だが、勝った天武天皇、持統天皇の二代にわたり律令制度が整えられ、文武天皇の701年に大宝律令が完成し、天皇中心の中央集権国家体制が確立。
先にこれらを読んでから、まんがをみると、さらにすっきり理解できるかもしれません。
さて、読み終わった感想ですが、「争い、争いの連続」です。
権力闘争ばかりです。
非常に血なまぐさいです。また女性の天皇も数多く登場します。
教科書や授業では濁されますが、大化の改新で敗れた蘇我蝦夷・入鹿親子。本書の始めに、主要人物紹介で、その生没年も記載されていますが、いずれも?年~645年となっています。これはつまり、そういうことです。
後に天武天皇となる、天智天皇の弟である大海人皇子も後継者争いによる命の危険から吉野へ移り、出家をしていた記載があります。結局、天智天皇の長男である大友皇子とバトルし、結果大友皇子は自害、天武天皇即位となります。
それだけでは終わりません。天武天皇の後継者を争っても、きな臭い動きが満載です。そもそも、中大兄皇子(天智天皇)がかなり様々な陰謀に加わっていたようです。
前回ご紹介した本で、世界史をざっと見とおした後で、強く印象に残った点があります。それは、権力闘争によって政治の主導者はめまぐるしく変わるものの、天皇を中心とした国家体制は数世紀にわたってゆらぐことがない点です。世界の歴史をみわたせば、天皇制自体が崩壊し、全く違った国家体制になっていてもおかしくないと思われます。ここは非常に興味深い点です。今後意識しながら、日本史・世界史を学びたいと思います。
さて、歴史が苦手な私ですが、この範囲はわりと記憶に残っていました。
考えてみると、小・中・高とこの範囲は何度も授業を受けた記憶があります。
社会科は自分で勉強しなかったので、私の知識は授業中心でしたが、授業はいつも、終わりまでいかなかった記憶があります。
たいがい江戸時代、しかもかなり前半ぐらいで受験だったり、卒業を迎えた印象です。
勉強本をみても、エビングハウスの忘却曲線にみられるように、一度読んだだけの記憶はすぐに消えてしまいます。そうであれば、まずは軽く、全範囲を一通りカバーしてしまい、その後にもどりながら細部をつめていく方がよさそうです。しかも大学受験では、近現代からの出現がかなりのウエートを占めます。
受験本を見ても、大切なのは「必要な知識、カバーすべき範囲を予め認識し、逆算的に勉強を進める態度」です。
特に面白みもなく、テキストの朗読に近いような授業をダラダラと続けている先生はかなり多い気がするのですが、いかがでしょうか。
ポイントだけおさえながら、まずはざっと読み通す。次は細部をおさえながらもう少し詳しく読み進める。記憶に残らないところをチェックしながら、三度め以降を繰り返す。
この戦略が自分にあっていれば、あらゆる教科に活かせるかもしれません。自分には理解力がない、暗記力がないと思う前に、「たいていの人間の記憶力なんて、そこまで大きな差がない。努力は報われる」という認識にたって勉強を進めるわけです。
私がこれを知っていれば、人生かなり違うものになっていたような気がしてなりません(人生がスムーズだった代わりにかなり頭の固い人間になっていた可能性は否めませんが...)。